「せっかく採用したスタッフが3ヶ月で辞めてしまった…」介護フランチャイズのオーナーから、このような悩みをYouTube『フランチャイズ探偵団』で何度も聞いてきました。実は、介護業界の離職率は全産業平均の約1.5倍。経営を圧迫する最大のリスクと言っても過言ではありません。
この記事では、30件以上の介護フランチャイズオーナーを取材して明らかになったスタッフが辞める本当の理由と、定着率を劇的に上げる具体的な対策を解説します。採用コストを抑え、スタッフが長く働きてくれる職場を作る方法が分かります。人材問題は避けられませんが、適切な対策で大幅に改善できることをお伝えします。
介護フランチャイズの離職率の実態|全産業平均との比較
介護業界の離職率の高さは、多くの経営者が肌で感じていることでしょう。しかし、具体的な数字を見ると、その深刻さがより明確になります。ここでは、厚生労働省のデータをもとに、介護業界の離職率の実態を全産業平均と比較しながら見ていきます。
介護業界の離職率は平均15.0〜18.0%(2022-2024年)
厚生労働省が発表している「介護労働実態調査」によると、介護業界全体の離職率は15.0〜18.0%で推移しています。これは全産業平均の11.9%と比較すると、約1.5倍の高さです。
事業形態別に見ると、離職率には明確な差があります:
- 訪問介護事業所:18.0%(最も高い)
- 通所介護(デイサービス):14.5%
- 特別養護老人ホーム:12.5%(比較的低い)
特に訪問介護事業所の離職率が高い理由は、スタッフが1人で利用者宅を訪問するため、孤独感や責任の重さを感じやすいことが挙げられます。また、移動時間が長く、実働時間に対する効率が悪いと感じるスタッフも多いのです。
重要なのは、フランチャイズに加盟したからといって離職率が低くなるわけではないという点です。本部のブランド力や採用サポートがあっても、職場環境や待遇が改善されなければ、離職率は業界平均と大差ありません。
離職の時期は「3ヶ月以内」が最多
離職のタイミングを分析すると、より深刻な問題が見えてきます。公益財団法人介護労働安定センターの調査によると、入職後3ヶ月以内の離職が全体の約40%を占めています。さらに、1年以内の離職が約60%に達します。
これが経営に与える影響は計り知れません。採用・育成にかけたコストが完全に無駄になるからです。
具体的な試算をしてみましょう:
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 求人広告費(1人あたり) | 20万円 |
| 面接・研修時間のコスト | 10万円 |
| 制服・備品購入費 | 5万円 |
| 初期教育担当者の人件費 | 15万円 |
| 合計(1人あたり) | 50万円 |
もし年間で4人が3ヶ月以内に辞めた場合、200万円の損失が発生します。小規模な介護フランチャイズにとって、この金額は利益を大きく圧迫する要因になります。
フランチャイズ加盟店の離職率は独立系と大差なし
「フランチャイズに加盟すれば、本部の採用サポートがあるから人材問題は解決する」と考える方も多いでしょう。しかし、現実は厳しいものがあります。
YouTube『フランチャイズ探偵団』で取材した某大手介護フランチャイズの加盟店でも、離職率は17%と業界平均とほぼ同じでした。本部の採用サポートの実態を調べてみると、多くの場合は「求人媒体の紹介」「求人原稿のテンプレート提供」程度にとどまっていることが分かりました。
本部のブランド知名度が採用に有利に働くケースもありますが、それは都市部の大手ブランドに限られます。地方の中小フランチャイズでは、ブランド力による差はほとんど見られません。
結論として、フランチャイズ本部に依存するのではなく、オーナー自身が職場環境を改善する努力が不可欠です。
介護フランチャイズのスタッフが辞める5つの本当の理由
スタッフが辞める理由を表面的に捉えると、「給料が安い」「仕事がきつい」といった答えが返ってきます。しかし、実際に退職したスタッフへのインタビューや、オーナーからの聞き取り調査を重ねると、より深層にある理由が見えてきました。ここでは、介護フランチャイズのスタッフが辞める5つの本当の理由を解説します。
理由①:期待と現実のギャップ(入社前の説明不足)
離職理由の第1位と言っても過言ではないのが、入社前の期待と入社後の現実のギャップです。特に「未経験OK」「丁寧に教えます」という求人文言で採用されたスタッフに多く見られます。
具体的には、以下のようなギャップが挙げられます:
- 身体介護の大変さ(排泄介助、入浴介助、移乗介助など)の認識不足
- 夜勤・早番・遅番のシフト制への適応困難
- 利用者からの暴言・暴力などのハラスメント
- 記録業務の多さと残業時間
ある訪問介護事業所のオーナーは、こう語っています:「『人と接するのが好きだから』という理由で応募してきた20代の女性がいました。しかし、初めての排泄介助の現場で『こんなはずじゃなかった』と涙を流し、1週間で辞めてしまいました」
対策の方向性としては、採用時に「リアルな仕事内容」を正直に開示することが重要です。きれいごとを並べて採用しても、結局は早期離職につながり、採用コストの無駄になります。
理由②:給与・待遇への不満(処遇改善加算が反映されていない)
介護職員の平均年収は約340万円と、全産業平均より80万円低い水準です。給与の低さは確かに離職理由の一つですが、問題はそれだけではありません。
最も深刻なのは、国の処遇改善加算を取得しているのに、スタッフに還元していないケースです。処遇改善加算とは、介護職員の賃金改善を目的として、国が介護報酬に上乗せして支給する制度です。事業所がこの加算を取得すると、月1〜3万円程度の手当を職員に支給する義務があります。
しかし、一部のフランチャイズ加盟店では、この加算を取得しているにもかかわらず、ロイヤリティや諸経費に充ててしまい、スタッフへの還元が不十分なケースがあります。
実際のオーナーの証言です:「本部へのロイヤリティが月20万円かかります。その分を給与に回せれば、もっとスタッフに還元できるのですが…」
スタッフは給与明細を見て、「国が賃金改善のために加算を出しているのに、自分の給料に反映されていない」と感じると、不信感を抱きます。これが離職の大きな要因になっています。
理由③:人間関係のトラブル(小規模事業所特有の問題)
介護労働実態調査では、離職理由の第1位が「職場の人間関係」(25.3%)です。これは給与(18.9%)よりも高い割合を占めています。
特に訪問介護事業所やデイサービスなどの小規模事業所では、平均スタッフ数が5〜10人と少ないため、人間関係が濃密になります。1人との不和が職場全体の雰囲気を悪化させることも珍しくありません。
さらに、オーナー自身のマネジメントスキル不足も問題です。介護の現場経験はあっても、経営者としてのマネジメント経験がないオーナーは、スタッフ間のトラブルにうまく対処できません。
ある加盟店オーナーは、こう振り返ります:「ベテランスタッフと新人スタッフの間で、ケアの方針を巡って対立が起きました。私はどちらの味方もできず、結局新人が辞めてしまいました。あのとき、どう対処すれば良かったのか、今でも分かりません」
フランチャイズ本部は、採用や研修のサポートはできても、現場の人間関係の調整までは対応できません。これはオーナーが自ら学び、解決しなければならない課題です。
理由④:キャリアパスが見えない(将来不安)
介護職のキャリアアップは、一般的に「介護福祉士→ケアマネージャー」という道筋があります。しかし、小規模なフランチャイズ加盟店では、管理職ポストが限られているため、キャリアアップの機会がほとんどありません。
さらに、昇給幅が小さく、「長く働くメリットが感じられない」とスタッフは感じます。介護労働安定センターの調査では、離職理由の第2位が「将来の見込みが立たない」(18.2%)でした。
ある30代の介護職員は、こう語っています:「5年働いても、給料は月5,000円しか上がりませんでした。このまま10年働いても、生活は楽にならないと思い、転職を決意しました」
キャリアパスの明示と、資格取得支援などの具体的な成長機会を提供することが、定着率向上のカギになります。
理由⑤:オーナーの「事業主」としての姿勢不足
最後の理由は、オーナー自身の姿勢です。フランチャイズに加盟すると、「本部が何とかしてくれる」という依存心が生まれがちです。しかし、現場のスタッフが見ているのは、本部ではなく、オーナーです。
YouTube『フランチャイズ探偵団』で取材したある加盟店では、オーナーが週に1回も現場に顔を出さず、スタッフとのコミュニケーションがほとんどありませんでした。その結果、スタッフのモチベーションは低下し、離職率は25%にまで達していました。
スタッフが求めているのは、経営者としてのビジョンや理念です。「なぜこの事業をやっているのか」「どんな介護サービスを提供したいのか」というメッセージがないと、スタッフは単なる作業員としてしか働けません。
反対に、オーナーが現場に積極的に関わり、スタッフと対話し、感謝の言葉を伝えている事業所では、離職率が大幅に低い傾向があります。
離職率が高いことで発生する3つの経営リスク
離職率の高さは、単にスタッフが辞めるという問題にとどまりません。経営全体に深刻な影響を及ぼします。ここでは、離職率が高いことで発生する3つの経営リスクを、具体的な数字とともに解説します。
リスク①:採用・教育コストの膨張
前述の通り、1人のスタッフを採用して育成するまでに約50万円のコストがかかります。この内訳は以下の通りです:
- 求人広告費(求人サイト掲載、チラシ作成など):20万円
- 面接・研修時間のコスト(オーナーや先輩スタッフの時給換算):10万円
- 制服・備品購入費:5万円
- 初期教育担当者の人件費(同行研修、OJTなど):15万円
もし年間で5人を採用し、そのうち3人が3ヶ月以内に辞めた場合、無駄になるコストは150万円です。これは小規模な介護事業所にとって、利益を大きく圧迫する金額です。
さらに、フランチャイズ本部から人材を紹介してもらう場合、紹介料が発生するケースもあります。この場合、1人あたり30〜50万円の追加コストが発生することもあります。
| 離職率 | 年間採用人数 | 離職人数 | 無駄なコスト |
|---|---|---|---|
| 10% | 3人 | 1人 | 50万円 |
| 18%(業界平均) | 5人 | 3人 | 150万円 |
| 30% | 8人 | 6人 | 300万円 |
この表を見れば、離職率を10%下げるだけで、年間100万円以上のコスト削減が可能であることが分かります。
リスク②:派遣スタッフ依存による利益圧迫
人手不足が深刻化すると、多くの事業所は派遣スタッフに頼らざるを得なくなります。しかし、派遣スタッフの人件費は正社員の約1.5〜2倍です。
具体的な数字を見てみましょう:
- 正社員の時給:1,500円
- 派遣スタッフの時給:2,500円〜3,000円
月商200万円のデイサービス事業所で、正社員5人・派遣スタッフ2人という体制になった場合、人件費は以下のようになります:
- 正社員5人の人件費:1,500円×8時間×20日×5人=120万円
- 派遣スタッフ2人の人件費:2,800円×8時間×20日×2人=89.6万円
- 合計人件費:209.6万円
月商200万円に対して人件費が209.6万円では、赤字です。これに加えて、家賃、光熱費、ロイヤリティなどの固定費を支払うと、さらに赤字幅が広がります。
実際に、YouTube『フランチャイズ探偵団』で取材したある訪問介護事業所は、派遣スタッフ依存により、月20万円の赤字に転落していました。オーナーは「派遣を使わないとサービスが回らないが、使えば使うほど赤字が膨らむ」というジレンマに陥っていました。
リスク③:サービス品質低下による利用者離れ
スタッフの入れ替わりが激しいと、利用者との信頼関係が築けません。介護サービスは、利用者との長期的な関係性の中で提供されるものです。新しいスタッフが来るたびに、利用者は不安を感じます。
さらに、経験の浅いスタッフばかりになると、ケアの質が低下します。これがクレームにつながり、ケアマネージャーからの紹介が減少するという悪循環に陥ります。
業界の調査では、スタッフ定着率が高い事業所は利用者満足度も20%高いという結果が出ています。反対に、離職率が高い事業所は、以下のような悪循環に陥ります:
- スタッフの入れ替わりが激しい
- ケアの質が低下する
- 利用者からのクレームが増える
- ケアマネージャーからの紹介が減る
- 利用者数が減少し、収益が悪化する
- 待遇改善ができず、さらに離職が増える
この悪循環を断ち切るには、まず離職率を下げることが最優先です。
今すぐ実践できる「スタッフ定着率を上げる」7つの具体策
ここからは、明日からでも実践できる具体的な定着率向上の施策を、優先順位順に紹介します。いずれも、高額な投資を必要としない、オーナーの姿勢次第で実現できる方法です。
対策①:採用時の「リアルな仕事内容」開示を徹底
最も効果的で、かつコストがかからない対策が、採用時に仕事の現実を正直に伝えることです。
具体的な方法:
- 体験入社(1日職場見学)の実施:面接前に、実際の現場を見てもらう
- 「きれいごと」を言わず、大変な部分(排泄介助、夜勤など)も正直に伝える
- 既存スタッフとの面談機会を設け、リアルな声を聞いてもらう
ある訪問介護事業所では、この方法を導入した結果、入社後3ヶ月以内の離職が50%減少しました。オーナーはこう語ります:「最初はリアルな話をすると応募者が減るのではと不安でした。しかし、実際には『正直に話してくれてありがたい』と感謝されました」
コスト:ほぼゼロ(時間のみ)
対策②:処遇改善加算の「全額スタッフ還元」を明示
国の処遇改善加算(月1〜3万円/人)を確実に取得し、その金額を給与明細に「処遇改善手当」として明記することが重要です。
多くの事業所では、処遇改善加算を基本給に含めてしまい、スタッフは「国が賃金改善のために出している加算」を実感できていません。これを別枠で明示することで、スタッフの納得感が大きく変わります。
注意点として、フランチャイズ本部がロイヤリティに処遇改善加算を含めていないか、契約書を確認してください。もし含まれている場合は、本部と交渉する必要があります。
実例:ある訪問介護事業所では、処遇改善手当を明示した後、応募数が2倍に増加しました。求職者は「この事業所はちゃんと国の制度を活用して、スタッフに還元している」と評価したのです。
対策③:月1回の「1on1ミーティング」でコミュニケーション強化
離職理由の第1位である「人間関係」の問題を早期に発見するには、定期的な個別面談が効果的です。
具体的な方法:
- オーナーとスタッフの15分個別面談を月1回実施
- 業務の話だけでなく、プライベートの悩みも聞く
- 不満の早期発見→退職前に対処可能に
あるデイサービス事業所では、この方法を導入した結果、離職率が18%→12%に改善しました。オーナーは「スタッフの小さな不満を早期にキャッチし、対処することで、退職を防げるようになった」と語っています。
ポイント:
- 傾聴姿勢:まず相手の話を最後まで聞く
- 否定しない:スタッフの感情を受け止める
- 具体的な改善アクション:「来月までに○○を改善します」と約束する
対策④:キャリアパスの明示と資格取得支援
スタッフが「将来の見込みが立たない」と感じないよう、明確なキャリアパスを示すことが重要です。
具体的な方法:
- 「1年後→リーダー候補、3年後→サービス提供責任者」と明確化
- 介護福祉士・実務者研修の受講費用を会社が負担
- 資格取得者には月額2万円の資格手当を支給
費用:資格取得支援で年間20万円/人の投資が必要ですが、離職防止で採用コスト100万円を節約できれば、十分に元が取れます。
業界データによると、資格取得者の定着率は一般スタッフの2倍です。会社が成長を支援してくれると感じたスタッフは、長く働こうと思うのです。
対策⑤:シフトの柔軟性確保(ワークライフバランス)
介護職員の多くは、子育て中の主婦層や、親の介護をしている中高年層です。シフトの柔軟性は、定着率に大きく影響します。
具体的な方法:
- 希望休を月2〜3回取りやすくする
- 子育て世代への配慮(学校行事、急な子どもの病気に対応)
- 時短勤務の導入
調査データによると、「休みが取りやすい」職場の離職率は平均より5ポイント低いという結果が出ています。
注意点:人員不足の状態で無理に柔軟化すると、他のスタッフに負担が集中し、逆効果になります。まず適正な人員数を確保してから、柔軟性を高めることが重要です。
対策⑥:小さな成功体験の共有と感謝の言葉
介護職は、利用者からの感謝の言葉が大きなやりがいになります。しかし、日々の業務に追われると、そうした瞬間を見落としがちです。
具体的な方法:
- 利用者家族からの感謝の手紙を朝礼で共有
- 月1回の「グッドケア賞」(社内表彰)を実施
- オーナー自身が「ありがとう」「助かっています」と日常的に伝える
これらは内発的動機づけを高める効果があります。金銭的な報酬だけでなく、「自分の仕事が認められている」という実感が、スタッフの定着につながります。
コスト:ほぼゼロ
対策⑦:FC本部の採用ツール・ノウハウをフル活用
最後に、フランチャイズ本部が提供する採用サポートを最大限に活用しましょう。
具体的な活用方法:
- 本部提供の採用パンフレット、動画を求人サイトに掲載
- 本部主催の合同説明会への積極的な参加
- 他加盟店の成功事例を本部に共有してもらう
注意点:本部任せにせず、自分でもアクションを起こすことが重要です。本部のサポートは「道具」であり、それを使いこなすのはオーナー自身です。
【事例研究】離職率を劇的に改善した3つのFC加盟店
ここからは、実際に離職率を大幅に改善したフランチャイズ加盟店の事例を紹介します。いずれも、特別な投資をしたわけではなく、オーナーの姿勢と小さな工夫の積み重ねで成果を上げています。
事例①:訪問介護Tさん(40代女性・開業3年目)
状況:開業1年目、離職率30%で年間8人が退職。採用コストで赤字に転落寸前でした。
打ち手:
- 採用時に必ず1日の同行体験を実施(リアルな仕事を体験してもらう)
- 処遇改善加算を給与明細に明記(月2.5万円)
- 月1回のスタッフランチ会(コミュニケーション強化、会社負担で1人2,000円)
結果:2年目から離職率10%に改善。採用コストが年間150万円削減され、黒字化に成功しました。
学び:「大きな投資は必要ありません。小さな施策の積み重ねが、スタッフの信頼を生みます」(Tさん)
事例②:デイサービスKさん(50代男性・開業5年目)
状況:スタッフの平均勤続年数が1.5年。ベテラン不在でサービス品質が低下し、利用者からのクレームが増加していました。
打ち手:
- キャリアパス制度の導入(1年後リーダー、3年後管理者、昇給基準を明確化)
- 介護福祉士資格取得者に月2万円の資格手当を新設
- 年2回の個別面談で将来設計をサポート
結果:平均勤続年数が3.8年に延長。ベテランスタッフが定着し、利用者満足度も向上しました。ケアマネージャーからの紹介も増加し、稼働率が85%→95%に改善しました。
学び:「スタッフは『将来への投資』が見えれば、長く働いてくれます。目先のコスト削減より、長期的な投資が重要です」(Kさん)
事例③:訪問介護からデイサービスに転換したMさん(30代男性)
状況:訪問介護の離職率18%に疲弊。スタッフが1人で利用者宅を訪問するため、孤独感や責任の重さから退職者が続出していました。
打ち手:
- デイサービスへの事業転換(複数スタッフでの運営=人間関係のリスク分散)
- 施設型は勤務時間が固定=ワークライフバランス改善
- チームでケアを行うため、1人あたりの心理的負担が軽減
結果:離職率が18%→8%に改善。スタッフから「チームで働ける安心感がある」「相談できる仲間がいるのがありがたい」という声が聞かれました。
学び:「事業形態の選択も、離職率に大きく影響します。自分の経営スタイルに合った事業形態を選ぶことが重要です」(Mさん)
FC本部選びで重視すべき「人材サポート」の3つのチェックポイント
これから介護フランチャイズに加盟する方は、本部選びの段階で「人材サポート」の質を見極めることが重要です。契約後に「思っていたのと違う」とならないよう、以下の3つのチェックポイントを確認してください。
チェックポイント①:採用サポートの「具体的な内容」を確認
多くのフランチャイズ本部は「採用支援あり」と謳っていますが、その中身は本部によって大きく異なります。契約前に、以下を確認してください:
✅ 確認すべき採用サポート内容:
- 求人原稿の作成代行(テンプレートではなく、個別対応か)
- 本部専用の求人サイトの有無
- 面接ノウハウ研修(ロールプレイングなど)
- 採用活動の同行サポート
❌ 実質的なサポートがないケース:
- 単なる求人媒体の紹介だけ(これでは独自開業と変わらない)
- 「自分で頑張ってください」と丸投げ
質問例:「他の加盟店の平均採用成功率は何%ですか?」「採用までの平均期間はどれくらいですか?」
これらの質問に具体的な数字で答えられない本部は、採用サポートが機能していない可能性があります。
チェックポイント②:スタッフ教育・研修制度の充実度
初期研修だけでなく、継続研修があるかどうかが重要です。介護技術は日々進化しており、定期的なスキルアップが必要です。
確認すべきポイント:
- 本部主催の研修の頻度(月1回? 年4回?)
- 研修の開催場所(遠方だと参加しづらい)
- eラーニングなどのオンライン教育ツールの提供
- 研修費用の負担(無料? 有料?)
実例:某フランチャイズ本部は、月1回の無料オンライン研修を提供しています。これにより、スタッフのスキルが向上し、定着率も改善しています。
チェックポイント③:既存加盟店の離職率データを開示してもらう
最も重要なのは、既存加盟店の実績データです。本部に以下の質問をしてください:
「御社の加盟店の平均離職率は何%ですか?」
もし本部が開示を渋る場合は、要注意です。データを持っていないか、悪い数字を隠している可能性があります。
さらに、本部が紹介する既存オーナーだけでなく、自分で探したオーナーにも話を聞くことをおすすめします。本部紹介のオーナーは、成功事例だけを話す傾向があるためです。
判断基準:業界平均(15-18%)より低ければ、本部のサポートが機能している証拠です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 介護業界の離職率は今後改善する見込みはありますか?
A: 国の処遇改善策(2024年2月から月6,000円のベースアップ支援)により、やや改善傾向にあります。ただし、根本的な労働環境の改善が進まない限り、劇的な改善は難しいと言われています。フランチャイズ加盟店としては、業界全体の改善を待つのではなく、自社での定着施策が重要です。国の制度を最大限に活用しつつ、職場環境を整えることで、競合他社よりも優位に立てます。
Q2. FC本部の採用サポートは本当に役立ちますか?
A: 本部によって大きく差があります。大手フランチャイズ本部は、求人媒体との提携や、ブランド力による応募者増加が期待できます。ただし、「採用サポートがあるから安心」と依存するのは危険です。最終的には、あなた自身の職場環境・待遇が応募者に選ばれるかどうかを決めます。本部のサポートは「道具」であり、それを使いこなすのはオーナー自身です。
Q3. 離職率を下げるために最も効果的な施策は何ですか?
A: 単一の特効薬はありませんが、最もコストパフォーマンスが高いのは「採用時のリアルな仕事内容の開示」と「定期的な1on1コミュニケーション」です。この2つで、入社後のギャップと人間関係トラブルの大部分を防げます。費用はほぼかからず、オーナーの姿勢次第で実現できます。まずはこの2つから始めることをおすすめします。
Q4. 給与を上げれば離職率は下がりますか?
A: 給与アップは効果的ですが、それだけでは不十分です。介護労働実態調査では、離職理由の第1位は「職場の人間関係」(25.3%)で、「給与が少ない」は第3位(18.9%)です。給与以外の要素(人間関係、やりがい、ワークライフバランス)の改善が重要です。特に、処遇改善加算を給与明細に明記することで、実質的な給与アップがなくても、スタッフの納得感が高まります。
Q5. 訪問介護とデイサービス、どちらが離職率が低いですか?
A: 一般的にデイサービスの方が離職率は低めです(訪問介護18.0% vs デイサービス14.5%)。理由は、複数スタッフでの運営による心理的負担の軽減、勤務時間の固定によるワークライフバランスの良さなどです。ただし、事業形態の選択は、立地条件、初期投資額、オーナーの経営スタイルも考慮すべきです。訪問介護でも、適切な対策を取れば離職率10%以下は可能です。
まとめ
介護フランチャイズの離職率の高さは、経営を圧迫する最大のリスクです。この記事で解説した重要なポイントを、改めて整理します:
- 業界平均18%の離職率は、年間200万円以上の採用コスト増を意味する:離職問題を放置すると、採用コスト、派遣スタッフ依存、サービス品質低下という3つのリスクが経営を直撃します。早期の対策が不可欠です。
- FC本部任せにせず、オーナー自身の職場環境改善が不可欠:フランチャイズに加盟しても、本部の採用サポートだけでは離職率は下がりません。オーナー自身が、採用時のリアルな開示、1on1コミュニケーション、キャリアパス明示などに取り組む必要があります。
- 小さな施策(1on1、体験入社、感謝の言葉)の積み重ねで10%以下も可能:高額な投資は必要ありません。今日からできる小さな工夫の積み重ねが、スタッフの信頼を生み、定着率を劇的に改善します。実際に、多くの加盟店が離職率を半減させています。
次のアクションとして、まず今日から既存スタッフとの15分面談を始めてみてください。スタッフの小さな不満や悩みを早期にキャッチすることで、退職を防げるようになります。
また、YouTube『フランチャイズ探偵団』では、実際に離職率を改善したオーナーの具体的な取り組みを動画で紹介しています。ぜひ参考にしてください。
人材定着は一朝一夕では実現しません。しかし、諦めずに取り組めば、必ず結果は出ます。あなたの事業が、スタッフにとって「長く働きたい」と思える職場になることを願っています。

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