「安定した収入が得られそう」「有名ブランドだから集客も安心」そんな期待を持ってコンビニフランチャイズを検討している方は多いのではないでしょうか。しかし、実際に開業したオーナーからは「思ったより儲からない」「赤字になった」という声も少なくありません。
本記事では、コンビニフランチャイズの収益構造を具体的な数字で徹底解説します。月商別の詳細な収支シミュレーション、大手3社のロイヤリティ比較、そして実際のオーナーへのインタビューデータをもとに、「本当に儲かるのか?儲からないのか?」の真実を明らかにします。この記事を読むことで、現実的な年収や生活可能性を判断する材料が得られるはずです。
コンビニFCの収益構造|売上と利益は全く別物
コンビニフランチャイズを考える上で、まず理解しておかなければならないのが「売上と利益は全く別物」という事実です。月商500万円と聞くと「すごく儲かりそう」と思うかもしれませんが、実際にオーナーの手元に残る利益は想像以上に少ないのが現実です。
売上→粗利→ロイヤリティ→経費→利益の流れ
まずは、売上から最終的な利益が生まれるまでの流れを、月商500万円の店舗を例に見ていきましょう。
- 月商(売上): 500万円
- 原価(約70%): ▲350万円
- 売上総利益(粗利・30%): 150万円
- ロイヤリティ(粗利の約50%): ▲75万円
- 人件費: ▲70万円
- 光熱費: ▲18万円
- 廃棄ロス: ▲12万円
- その他経費(消耗品・修繕等): ▲15万円
- 営業利益(オーナーの手取り): マイナス40万円
このように、月商500万円でも最終的にオーナーの手元に残る利益は月40万円程度(年収約480万円)にしかなりません。しかも、この金額から税金や社会保険料を支払うため、実際の手取りは月30万円前後になることも珍しくないのです。
ロイヤリティとは何か?
コンビニフランチャイズで最も大きな負担となるのがロイヤリティ(チャージ)です。これは本部に支払う対価で、売上ではなく売上総利益(粗利)に対して計算されます。
例えば、100円の商品を売った場合:
- 売上: 100円
- 原価: 70円
- 粗利: 30円
- ロイヤリティ(50%の場合): 15円
- オーナーの取り分: 15円
本部はこのロイヤリティの対価として、ブランド使用権・商品開発・物流システム・POSシステム・経営指導などを提供します。しかし、オーナー側からすれば「粗利の半分以上を持っていかれる」という印象は拭えません。
オーナーの収入源は「営業利益」のみ
ここで重要なのは、レジに入る売上金は全て本部に納付するという点です。オーナーが自由に使えるのは、全ての経費を差し引いた後の「営業利益」だけ。そこから生活費・税金・ローン返済を賄わなければなりません。
「月商1000万円のオーナー」と聞くと羽振りが良さそうですが、実際の手取りは月30-50万円程度というケースが大半です。しかも、週に80-100時間働いているオーナーも多く、時給に換算すると1,000-1,500円程度にしかならないという現実があります。
コンビニFCが儲からない5つの理由
なぜコンビニフランチャイズは「儲からない」と言われるのでしょうか。その構造的な理由を5つ解説します。
理由①ロイヤリティが粗利の40-70%と高い
コンビニフランチャイズ最大の負担は、やはりロイヤリティの高さです。大手3社の標準的なロイヤリティ率は以下の通りです。
- セブンイレブン: 43-70%(売上に応じた変動制)
- ローソン: 45-60%程度
- ファミリーマート: 40-55%程度
特にセブンイレブンは、売上が増えるほどチャージ率も上がる累進制を採用しています。月商600万円を超えると60%以上になるため、「頑張って売上を伸ばしても本部の取り分ばかり増える」という不満を持つオーナーも少なくありません。
粗利の半分以上を本部に持っていかれるため、オーナーの利益率は一定以上上がらない構造になっているのです。
理由②人件費負担が重すぎる
コンビニは基本的に24時間営業のため、最低でも5-8名のアルバイトスタッフが必要です。人件費の目安は以下の通りです。
- 時給: 1,100-1,500円(地域・時間帯により変動)
- 深夜割増: 1.25倍
- 月間人件費: 70-120万円
特に深夜帯は割増賃金が発生するため、時給1,500円以上になることも珍しくありません。さらに、社会保険加入義務の拡大により、週20時間以上勤務するスタッフには社会保険料の負担も発生します。
人件費だけで粗利の50%以上が消えてしまうケースも多く、これがオーナーの利益を大きく圧迫しています。
理由③廃棄ロスは全額オーナー負担
コンビニで避けられないのが廃棄ロスの問題です。弁当・おにぎり・サンドイッチなど消費期限の短い商品は、売れ残ると全て廃棄しなければなりません。
廃棄ロスの実態:
- 月間廃棄額: 10-20万円(売上の2-3%)
- 廃棄負担: 全額オーナー負担
- 本部のリスク: ゼロ(原価で納品済み)
さらに、見切り販売(値引き)も原則禁止されているため、在庫を処分する手段もありません。発注予測を誤ると、そのまま損失が拡大してしまうのです。
本部は「ブランドイメージ維持」を理由に値引きを禁止していますが、公正取引委員会からも問題視されています。しかし、現状では改善は限定的で、廃棄ロスはオーナーの大きな負担となり続けています。
理由④光熱費・設備費などの固定費
24時間営業のコンビニは、光熱費や設備費などの固定費も無視できません。
- 光熱費: 月15-25万円(冷蔵・冷凍設備の電気代が特に高い)
- 設備メンテナンス費: 月5-10万円
- POSシステム利用料: 月2-3万円
- 看板・改装費用: 本部指示で数年ごとに発生
これらの固定費だけで月30-50万円かかるため、売上が少ない月でも確実に利益を圧迫します。
理由⑤価格決定権がなく利益率を上げられない
コンビニフランチャイズでは、価格決定権がオーナーにありません。商品価格は全て本部が決定し、オーナーは変更できないのです。
- 商品価格は本部が決定(変更不可)
- 原価も本部指定の仕入先から
- 値引き販売禁止で在庫処分もできない
- 独自商品の販売も基本不可
つまり、コスト削減の余地がほぼないのです。一般的な小売業であれば、仕入先を変更したり、値引きで在庫を処分したりできますが、コンビニFCではそれができません。利益率を上げる手段が限られているため、「儲からない」という声が多いのです。
具体的な収益シミュレーション|月商別3パターン
ここからは、月商300万円・500万円・800万円の3パターンで、実際の収支をシミュレーションしてみましょう。
【パターンA】月商300万円の小規模店舗
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上(月商) | 300万円 |
| 原価(70%) | ▲210万円 |
| 粗利(30%) | 90万円 |
| ロイヤリティ(55%) | ▲49.5万円 |
| 人件費 | ▲50万円 |
| 光熱費 | ▲15万円 |
| 廃棄ロス | ▲8万円 |
| その他経費 | ▲10万円 |
| 営業利益 | ▲42.5万円(赤字) |
結論: 月商300万円では完全に赤字です。この規模では生活することすらできません。開業直後や立地が悪い店舗では、このパターンに陥るリスクがあります。
【パターンB】月商500万円の平均的店舗
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上(月商) | 500万円 |
| 原価(70%) | ▲350万円 |
| 粗利(30%) | 150万円 |
| ロイヤリティ(50%) | ▲75万円 |
| 人件費 | ▲70万円 |
| 光熱費 | ▲18万円 |
| 廃棄ロス | ▲12万円 |
| その他経費 | ▲15万円 |
| 営業利益 | ▲40万円 |
| 年収(税引前) | 480万円 |
| 手取り年収 | 350-400万円 |
結論: 辛うじて黒字ですが、手取りは月30万円程度。週80-100時間働いて時給換算すると1,000円前後にしかなりません。生活はできますが、労働時間を考えると「割に合わない」と感じるオーナーが多いのが現実です。
【パターンC】月商800万円の好立地店舗
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上(月商) | 800万円 |
| 原価(70%) | ▲560万円 |
| 粗利(30%) | 240万円 |
| ロイヤリティ(48%) | ▲115万円 |
| 人件費 | ▲90万円 |
| 光熱費 | ▲22万円 |
| 廃棄ロス | ▲18万円 |
| その他経費 | ▲20万円 |
| 営業利益 | ▲25万円 |
| 年収(税引前) | 600万円 |
| 手取り年収 | 450-500万円 |
結論: まともな収入になりますが、それでも激務に対する対価として十分かは疑問です。駅前やオフィス街など超好立地でなければこの売上は維持できません。
投資回収シミュレーション
初期投資は300-400万円(加盟金・研修費・運転資金等)が一般的です。投資回収にかかる期間を計算すると:
- 月商500万円の場合: 利益月40万円として、回収に7.5-10年
- 月商800万円の場合: 利益月75万円として、回収に4-5年
ただし、途中で設備更新・店舗改装費用(本部指示)が発生するため、実質的な回収期間は10年以上になるケースが多いと言われています。
大手3社のロイヤリティ徹底比較
セブンイレブン・ローソン・ファミリーマートのロイヤリティ体系には違いがあります。どこが一番有利なのでしょうか。
セブンイレブンのチャージ制
セブンイレブンはチャージ率方式を採用しており、契約タイプにより以下のように変動します。
- Aタイプ(本部が土地建物用意): チャージ率70%
- Cタイプ(オーナーが土地建物持ち): チャージ率43%
- 売上に応じた累進制: 月商600万円超えると60%以上
特徴は、売上が増えるほどチャージ率も上がる点です。頑張って売上を伸ばしても、本部の取り分が増えるため、オーナーの利益率は一定以上改善しにくい構造になっています。
ローソンの粗利分配方式
ローソンは粗利分配方式を採用しています。
- オーナー取り分: 40-55%
- 本部取り分: 45-60%
- 契約タイプ(A・C)により変動
セブンよりやや有利と言われることもありますが、実際には大きな差はありません。
ファミリーマートの分配方式
ファミリーマートもローソンに近い粗利分配方式です。
- オーナー取り分: 40-55%程度
- 契約タイプにより変動
3社の中で大きな差はないというのが実情です。
結局どこが一番儲かる?
結論から言うと、ロイヤリティ率だけで判断することはできません。重要なのは以下の総合評価です。
- 立地(駅前・オフィス街など)
- ブランド力(集客力)
- 本部のサポート体制
- 商品開発力
実際のオーナーの手取りは、どこも似たり寄ったりというのが現実です。ロイヤリティ以外の要素を総合的に検討することが重要です。
廃棄ロス問題の実態|月10-20万円が消える
コンビニ経営で見落とされがちなのが廃棄ロスの重さです。この問題について詳しく見ていきましょう。
どんな商品が廃棄になるか
消費期限の短い商品が主な廃棄対象です。
- 弁当・おにぎり・サンドイッチ(消費期限数時間-24時間)
- パン・デザート類
- 恵方巻き・クリスマスケーキなどイベント商品
- 季節商品の売れ残り
廃棄率は全商品の2-5%(店舗により差)で、金額にすると月10-20万円にもなります。
なぜ見切り販売(値引き)ができないのか
多くのオーナーが疑問に思うのが「なぜ値引きして売ってはいけないのか」という点です。
本部が見切り販売を禁止する理由:
- ブランドイメージ維持(値引き商品が並ぶと安売り店に見える)
- 値引き待ちの客が増える(通常価格で売れなくなる)
- 他店舗との公平性
この問題は公正取引委員会も問題視し、2009年に「見切り販売制限は独占禁止法違反の恐れがある」と指摘しました。しかし、現状では改善は限定的で、実質的に値引き販売は難しいままです。
廃棄を減らす工夫と限界
オーナーができる廃棄削減の工夫:
- 発注精度を上げる(POSデータ活用)
- 天候・イベントを考慮した発注
- 曜日・時間帯別の販売傾向分析
しかし、本部からの発注ノルマも存在するため、発注を絞りすぎると品切れでクレームになります。結局、月10-20万円の廃棄は避けられないというのが多くのオーナーの実感です。
それでも儲かっている店舗の5つの特徴
ここまでネガティブな話が多くなりましたが、実際に儲かっている店舗も存在します。その特徴を見ていきましょう。
特徴①駅前・オフィス街などの超好立地
やはり最も重要なのは立地です。儲かっている店舗の特徴:
- 月商800万円以上を維持できる立地
- 固定客が多く売上が安定
- 深夜も売上が立つ
- 駅前・オフィス街・大学近く
ただし、こうした物件は争奪戦で、個人オーナーが取得するのは極めて困難です。
特徴②家族経営で人件費を抑制
儲かっているオーナーの多くは家族経営です。
- 夫婦+親族で回せる体制
- 人件費を月30-50万円削減
- その分が利益に直結
ただし、家族の犠牲(長時間労働・プライベート時間の喪失)が前提となる点は覚悟が必要です。
特徴③効率化・ムダ排除の徹底
細かい改善の積み重ねも重要です。
- 発注精度を上げて廃棄を最小化
- シフト管理を最適化(ムダな人件費削減)
- 電気代削減の工夫(LED化・空調管理)
- POSデータを徹底分析
これらの積み重ねで、月5-10万円の利益改善が可能になります。
特徴④多店舗展開で規模の経済
1店舗では厳しくても、3店舗以上の多店舗経営で安定するケースもあります。
- 優秀な店長を育成して任せる
- 本部との交渉力も上がる
- リスク分散ができる
ただし、初期投資が1000万円×店舗数必要で、最初の地獄を乗り越える覚悟が必要です。
特徴⑤10年以上の長期視点
短期的な利益を追うのではなく、10年以上の長期視点で考えることも重要です。
- 短期では回収できない覚悟
- ローン完済後は利益率改善
- 地域密着で常連客確保
- 後継者に引き継ぐ資産形成
10年後にローンを完済し、設備投資も一巡すれば、利益率は改善します。長期的な視点で取り組めるかが成功の分かれ目です。
よくある質問(FAQ)
コンビニフランチャイズの収益に関してよくある質問にお答えします。
Q1. コンビニオーナーの平均年収は?
平均年収は400-600万円(税引前)、手取りで300-450万円程度と言われています。ただし、労働時間は週80-100時間に及ぶため、時給換算すると1,000円前後にしかなりません。
これは一般的な会社員の平均年収とほぼ同じですが、労働時間を考えると決して高いとは言えないでしょう。
Q2. 年収1000万円は可能?
1店舗では極めて困難です。年収1000万円を実現するには:
- 超好立地で月商1000万円以上(現実的には難しい)
- 3店舗以上の多店舗経営(初期投資1000万円×店舗数が必要)
多店舗経営であれば可能ですが、そのためには優秀な店長の育成と、初期の激務を乗り越える必要があります。
Q3. 赤字になることはある?
月商300万円未満の店舗は赤字リスクが高いと言われています。特に以下のケースで赤字になりやすいです。
- 開業直後の半年-1年(認知度が低く客数が少ない)
- 立地が悪い店舗
- 廃棄ロスが多い店舗
運転資金が尽きて廃業するオーナーも実際に存在します。開業時は最低でも6ヶ月分の運転資金を確保しておくことが重要です。
Q4. 本部は儲かっているのになぜオーナーは儲からない?
これは多くのオーナーが抱く疑問です。理由は以下の通りです。
- 本部はロイヤリティを確実に取れる仕組み(売上がある限り必ず入る)
- リスクはオーナーが負担(廃棄・人件費・固定費)
- 本部は安定収益、オーナーは変動リスク
フランチャイズビジネスは、本部がリスクを最小化し、オーナーがリスクを負う構造になっているのです。
Q5. 独立開業と比べてどっちが儲かる?
それぞれメリット・デメリットがあります。
フランチャイズのメリット:
- 知名度・ブランド力がある
- 仕入れルート・商品開発が整っている
- 経営ノウハウのサポートがある
独立開業のメリット:
- ロイヤリティ負担がない(利益率が高い)
- 価格決定権がある
- 独自の工夫ができる
独立開業の方が利益率は高いですが、集客・ブランド構築が必要です。一長一短で、経営能力次第と言えるでしょう。
まとめ
コンビニフランチャイズは、月商500万円でもオーナー年収400万円程度が現実です。ロイヤリティ・人件費・廃棄ロスで利益の大半が消える構造になっており、「思ったより儲からない」というのが多くのオーナーの本音です。
ただし、以下の条件を満たせば儲かる可能性はあります:
- 駅前・オフィス街など超好立地を確保(月商800万円以上)
- 家族経営で人件費を抑制(月30-50万円削減)
- 多店舗展開で規模の経済を実現(3店舗以上)
しかし、激務(週80-100時間労働)と低利益率を考えると、「割に合わない」との声が多いのも事実です。コンビニフランチャイズを検討する際は、具体的な収支シミュレーションを作成し、自分のライフプランと照らし合わせて判断することが重要です。
次のステップとしては、実際の加盟説明会に参加して詳細な収支モデルを確認したり、他業種のフランチャイズと利益率を比較したりすることをおすすめします。安易に「有名ブランドだから安心」と考えず、冷静に数字を見て判断しましょう。

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