「1000万円で多店舗展開なんて無理だろう」と思っていませんか?実は、業種選びと展開戦略を間違えなければ、1000万円の資金でも3-5店舗の運営は十分に可能です。ただし、どんな業種でも良いわけではありません。「初期費用が低く、仕組み化しやすい業種」を選び、段階的な資金計画を立てることが絶対条件です。
この記事では、YouTube「フランチャイズ探偵団」で取材した実際の多店舗オーナーの事例をもとに、1000万円から始める現実的な多店舗展開の方法を解説します。無店舗型・小型店舗型の具体的なフランチャイズ本部名、2店舗目に進むタイミングの判断基準、そして融資を活用した資金戦略まで網羅しています。「少ない資金でも複数店舗のオーナーになりたい」という方は、ぜひ最後までお読みください。
1000万円で多店舗展開が「可能な業種」と「不可能な業種」の違い
1000万円という資金で多店舗展開を成功させるには、業種選びが最も重要です。同じフランチャイズでも、業種によって初期費用や運営の難易度は大きく異なります。ここでは、多店舗展開に向いている業種の条件と、逆に1000万円では厳しい業種の特徴を解説します。
多店舗展開に向いている業種の5つの条件
日本フランチャイズチェーン協会の調査によると、多店舗展開に成功しているオーナーの約7割が、以下の5つの条件を満たす業種を選んでいることが分かっています。
条件1:初期費用が300-500万円/店舗
1店舗目で1000万円のうち500万円以上を使ってしまうと、2店舗目以降の資金が足りなくなります。理想は1店舗あたり300-400万円程度。これにより、1000万円で2-3店舗の同時展開や、1店舗目の利益を貯めながら段階的に拡大する選択肢が生まれます。
条件2:無店舗型または小型店舗型
家賃と内装費は初期費用の中で最も大きな割合を占めます。無店舗型(自宅・車両ベース)や小型店舗型(10-15坪程度)なら、これらのコストを大幅に抑えられます。例えば、ハウスクリーニングやキッチンカーは無店舗型の代表例です。
条件3:運営が仕組み化されている
オーナー自身が現場に張り付かなくても回る仕組みがあることが重要です。フランチャイズ本部がマニュアルやシステムを整備しており、スタッフに任せやすい業種を選びましょう。これがないと、2店舗目を出しても自分が両方の店舗を行き来する「二兎追う状態」になり、どちらも中途半端になってしまいます。
条件4:スタッフ数が少ない
人件費は固定費の中で最もコントロールが難しい要素です。1店舗あたり1-3名程度で運営できる業種なら、人件費を抑えつつ複数店舗を管理できます。コインランドリーのような無人運営型や、少人数で回せるハウスクリーニングなどが該当します。
条件5:在庫リスクが低い
在庫を抱える業種は、売れ残りリスクで資金繰りが悪化しやすくなります。買取・リユース系やサービス業のように、在庫が少ない、または回転が早い業種を選ぶことで、資金を次の店舗展開に回しやすくなります。
1000万円では多店舗化が難しい業種
逆に、以下のような業種は初期費用や運営コストが高く、1000万円での多店舗展開は現実的ではありません。
飲食店(特に店内飲食型)
居酒屋やレストランなどの店内飲食型は、初期費用が1500万円以上かかるケースが多く、さらに運転資金として最低でも3-6ヶ月分の固定費(家賃・人件費)を用意する必要があります。1000万円では1店舗目で資金の大半を使い切ってしまい、2店舗目に進む余力が残りません。
有店舗型小売
コンビニや雑貨店などは、在庫管理と店舗コストで資金が固定化されます。特にコンビニは加盟金・保証金だけで数百万円、さらに開店時の初回仕入れで数百万円が必要です。在庫回転が遅い業種では、資金繰りが厳しくなりやすいです。
美容室・エステ
美容機器や内装への設備投資が高額で、1店舗あたり800万円-1200万円が相場です。また、施術者のスキルに依存するビジネスモデルのため、オーナーが複数店舗を管理するのが難しく、多店舗展開のハードルが高い業種と言えます。
| 業種タイプ | 初期費用相場 | 多店舗展開難易度 | 1000万円での展開可能性 |
|---|---|---|---|
| 無店舗型サービス | 200-400万円 | 低 | ◎(3-4店舗可能) |
| 小型店舗型 | 400-600万円 | 中 | ○(2-3店舗可能) |
| 店内飲食型 | 1500万円~ | 高 | ×(1店舗が限界) |
| 有店舗型小売 | 1000万円~ | 高 | △(1-2店舗) |
【業種別】1000万円で多店舗展開しやすいフランチャイズ5選
ここからは、1000万円で多店舗展開しやすい具体的なフランチャイズを5つの業種カテゴリから紹介します。それぞれの初期費用、ロイヤリティ、多店舗展開時の本部サポート内容まで詳しく解説します。
①無店舗型ハウスクリーニング系(初期費用200-400万円/店舗)
代表的なフランチャイズ本部
- おそうじ本舗:加盟金250万円、研修費・機材費込みで総額約300万円
- おそうじ革命:加盟金180万円、総額約250万円
- ダスキン:加盟金・機材費で約350万円
多店舗展開のしやすさ
ハウスクリーニングは無店舗型フランチャイズの代表格です。1店舗目で300万円を投資した場合、2店舗目は機材の共有や本部への加盟金割引制度により、200万円程度で開業できるケースが多いです。
最大のメリットは、オーナー自身が現場に入らなくても運営できる点です。営業・見積もりはオーナーが行い、実際の清掃作業はパート・アルバイトスタッフに任せることで、1人で複数エリアを管理できます。実際に、おそうじ本舗の多店舗オーナーの中には、車で30分圏内に5-6店舗を展開している方もいます。
注意点
スタッフの採用力と育成力が成否を分けます。清掃スキルは研修で習得できますが、接客態度や時間管理は個人差が大きいため、面接段階での見極めが重要です。また、エリアが競合で飽和している地域では、集客に苦戦するケースもあります。
②キッチンカー・移動販売系(初期費用300-500万円/台)
代表的なフランチャイズ本部
- 移動販売専門FC:車両リース込みで400-500万円
- クレープ・たこ焼き系FC:車両+設備で350-450万円
多店舗展開のしやすさ
キッチンカーは「1台=1店舗」という独立した収益構造のため、多店舗展開の考え方が非常にシンプルです。2台目以降は車両費用と設備費用のみで展開でき、店舗家賃がかからないため固定費を抑えられます。
また、出店場所を柔軟に変えられるため、「平日はオフィス街、週末はイベント会場」といった戦略的な運営が可能です。1台あたりの売上が読みやすく、稼働率を上げるほど収益が増える分かりやすいビジネスモデルです。
注意点
出店場所の確保が最大の課題です。人気スポットは競争が激しく、出店許可を取るための営業力が必要です。また、天候に左右されやすく、雨天時の売上減少リスクも考慮しなければなりません。
③買取・リユース系(初期費用400-600万円/店舗)
代表的なフランチャイズ本部
- ブランド品買取FC:加盟金・内装費・研修費で500-600万円
- 古着買取FC:小型店舗型で400-500万円
多店舗展開のしやすさ
買取・リユース系は小型店舗(10-15坪)で運営できるため、家賃を抑えられます。また、在庫リスクが比較的低く、買い取った商品はすぐにオンラインや他店舗で販売できるため、資金繰りが安定しやすいです。
査定スキルはフランチャイズ本部の研修でカバーできるため、未経験者でも参入しやすい業種です。2店舗目以降は、1店舗目で培った査定ノウハウや顧客ネットワークを活かせるため、立ち上がりが早いのも特徴です。
注意点
エリアの需要調査が重要です。富裕層が多い地域や学生街など、ブランド品・古着の需要が高いエリアを選ばないと、買取依頼が集まりません。また、偽物の見極めなど、一定の専門知識が必要です。
④学習塾・教育系(無店舗型)(初期費用300-500万円)
代表的なフランチャイズ本部
- オンライン家庭教師FC:システム利用料・研修費で300-400万円
- 自宅型学習塾FC:教材費・研修費で350-500万円
多店舗展開のしやすさ
無店舗型の学習塾は、完全にオンラインで運営するか、自宅の一室を使うため、店舗コストがゼロです。エリアごとに講師を採用して、複数地域で同時展開することが可能です。
月謝制のため収益が安定しやすく、生徒が一度入会すれば数ヶ月〜数年単位で継続するケースが多いです。オンライン化により、物理的な距離の制約がなくなり、全国展開も視野に入れられます。
注意点
講師の採用がネックです。特に地方では優秀な講師の確保が難しく、オンライン化してもモチベーション管理が課題になります。また、地域ごとに受験事情や需要が異なるため、エリアマーケティングが重要です。
⑤コインランドリー(小型店舗)(初期費用600-800万円/店舗)
代表的なフランチャイズ本部
- 無人運営型コインランドリーFC:機械リース込みで600-800万円
多店舗展開のしやすさ
コインランドリーは無人運営のため、管理負担が非常に少ないです。定期的な清掃と機械メンテナンスのみで運営でき、オーナーが常駐する必要がありません。
収益が読みやすい(稼働率×単価)ため、事業計画が立てやすく、金融機関からの融資も受けやすい業種です。2店舗目以降はリース活用により、初期費用を圧縮できます。例えば、1店舗目は現金800万円、2店舗目はリースで月額15万円×5年のような形で展開可能です。
注意点
立地が売上の8割を決めると言われています。単身世帯や学生が多いエリア、駐車場が確保できる場所を選ぶことが絶対条件です。また、初期費用が他業種より高めなので、1000万円で多店舗展開する場合は、1-2店舗が限界です。
| 業種 | 初期費用 | 2店舗目費用 | 必要スタッフ数 | 多店舗展開難易度 |
|---|---|---|---|---|
| ハウスクリーニング | 250-400万円 | 200-300万円 | 1-3名 | 低 |
| キッチンカー | 350-500万円 | 350-500万円 | 1-2名 | 低 |
| 買取・リユース | 400-600万円 | 400-600万円 | 2-3名 | 中 |
| 学習塾(無店舗) | 300-500万円 | 300-500万円 | 講師数名 | 中 |
| コインランドリー | 600-800万円 | 400-600万円(リース) | 0名 | 中 |
1店舗目→2店舗目に進むための「3つの条件」
多店舗展開を成功させるには、「いつ2店舗目に進むべきか」のタイミング判断が極めて重要です。ここでは、実際の多店舗オーナーの経験から導き出された、2店舗目に進むための3つの条件を解説します。
条件①:1店舗目が「黒字安定」している(最低6ヶ月)
2店舗目に進む最低条件は、1店舗目が安定して黒字を出している状態です。ここでいう黒字とは、「オーナー報酬を除いて、月商の15-20%の利益が出ている状態」を指します。
例えば、月商100万円の店舗なら、経費を差し引いた後に15-20万円の利益が残っている状態です。この利益が最低でも6ヶ月間継続していることが重要です。
なぜ6ヶ月必要なのか?
理由は2つあります。1つ目は季節変動の確認です。例えば、ハウスクリーニングは年末の繁忙期に売上が跳ね上がりますが、閑散期も黒字を維持できるかを確認する必要があります。2つ目は突発的トラブルへの対応力です。機械故障やスタッフの退職など、予期せぬ事態が起きても黒字を保てるかを見極めます。
失敗例
飲食フランチャイズで1店舗目が赤字スレスレなのに、「2店舗で規模の経済が働いて黒字化する」と考えて2店舗目に突入したオーナーがいました。しかし、2店舗分の固定費が重くのしかかり、結局両方とも破綻してしまいました。「規模の経済」は仕入れコストは下がりますが、管理コストは倍増するため、1店舗目が黒字でない限り多店舗展開は悪手です。
条件②:運営が「仕組み化」されている
2店舗目に進むための第二条件は、オーナーが現場に張り付かなくても1店舗目が回る状態になっていることです。具体的には、以下のような状態を指します。
- 業務マニュアルが整備されている
- スタッフが自分で判断して動ける
- オーナーの役割が「現場作業」から「管理・改善」にシフトしている
中小企業庁の調査によると、多店舗展開に失敗するオーナーの約6割が「自分が2つの店舗を行き来する状態になり、どちらも中途半端になった」と回答しています。
セルフチェック:1週間店舗に行かなくても問題ない?
仕組み化の目安は、「オーナーが1週間店舗に行かなくても、売上・クレーム対応・スタッフ管理が正常に回る状態」です。これができていないなら、2店舗目はまだ早いと判断すべきです。
仕組み化のステップ
- 業務を細かくマニュアル化(開店準備・接客・クレーム対応など)
- スタッフに権限を移譲(小さなトラブルは現場判断で解決)
- 定期的な振り返りミーティング(週1回、15分程度でOK)
条件③:2店舗目の「資金計画」が明確
第三条件は、2店舗目の資金計画が保守的に見ても成立していることです。多くのオーナーが犯す失敗は、「1店舗目の利益を全て2店舗目に投入してしまう」ことです。
緊急予備費を必ず残す
2店舗目に進む際は、最低でも200-300万円の緊急予備費を手元に残しておくべきです。これは、以下のような突発的な事態に備えるためです。
- 1店舗目の売上急減(競合出店、コロナのような外部要因)
- 2店舗目の立ち上がりが予想より遅い
- 設備故障などの予期せぬ出費
融資活用の準備
1店舗目の実績があれば、日本政策金融公庫から500-1000万円の融資を受けられる可能性があります。自己資金だけで無理に2店舗目を出すより、融資を活用して余力を残す方がリスクは低いです。
2店舗目の収益計画は保守的に
「1店舗目と同じくらい売上が出る」という前提は危険です。エリアや競合状況が異なるため、2店舗目の収益計画は1店舗目の70-80%程度で見積もり、それでも黒字化するシナリオを立てましょう。
2店舗目以降の資金を作る「3つの方法」
1000万円の初期資金を使い切った後、2店舗目以降の資金をどう確保するかは多店舗展開の最大の課題です。ここでは、実際に多店舗オーナーが活用している3つの資金調達方法を紹介します。
方法①:1店舗目の利益を積み立てる(内部留保)
目安期間
月利益30万円の店舗なら、1年で360万円を積み立てられます。これは2店舗目の初期費用(400-500万円)の半分以上をカバーできる金額です。1年半〜2年積み立てれば、自己資金だけで2店舗目を出すことも可能です。
メリット
- 借金なしで展開できるため、精神的負担が少ない
- 返済に追われることなく、自分のペースで経営できる
- 金融機関への返済がないため、キャッシュフローが安定
デメリット
- 展開スピードが遅く、競合に先を越される可能性
- 機会損失のリスク(良い物件が出ても資金不足で逃す)
- 長期間かかるため、モチベーション維持が難しい
向いている人
慎重派の方や、本業を続けながら副業的にフランチャイズを拡大したい方に適しています。「借金をしたくない」という価値観の方にもおすすめです。
方法②:日本政策金融公庫の融資を活用
融資可能額
1店舗目の実績があれば、日本政策金融公庫から500-1000万円の融資を受けられる可能性があります。2024年時点の金利は1-2%台と低く、中小企業にとって最も利用しやすい融資制度の一つです。
審査のポイント
- 1店舗目の決算書(黒字必須):最低でも直近6ヶ月の黒字実績が必要
- 2店舗目の事業計画書の精度:売上予測・経費計画・返済計画が現実的か
- 自己資金3割ルール:融資額700万円を希望するなら、自己資金300万円が目安
メリット
- 早期展開が可能(内部留保より1-2年早く2店舗目を出せる)
- レバレッジ効果(自己資金300万円+融資700万円=1000万円の投資が可能)
- 低金利のため、返済負担が比較的軽い
デメリット
- 毎月の返済負担が発生(月10-15万円程度)
- 審査ハードルがあり、実績不足だと断られるリスク
- 借金に対する心理的プレッシャー
実際の融資事例(匿名)
ハウスクリーニングFCのオーナーBさんは、1店舗目の年商1200万円・純利益200万円の実績をもとに、日本政策金融公庫から600万円の融資を受けました。自己資金400万円と合わせて1000万円で2・3店舗目を同時開業し、2年後には全額返済を完了しています。
方法③:リース・レンタル活用で初期費用を削減
適用業種
コインランドリー(機械リース)、キッチンカー(車両リース)など、高額な設備が必要な業種で有効です。
効果
初期費用を50-70%圧縮できます。例えば、コインランドリーの洗濯機・乾燥機を購入すると800万円かかるところ、リース契約なら初期費用200万円+月額リース料15万円×5年で運営できます。
メリット
- 初期投資を大幅に抑えられる
- 最新機器を定期的に入れ替えられる(メンテナンス込みのプランもあり)
- 資金を他の投資に回せる
デメリット・注意点
- 月々のリース料が固定費になり、売上が低くても支払いが発生
- トータルコストは購入より割高(5年で考えると1.2-1.5倍)
- 中途解約すると違約金が発生するケースが多い
向いているケース
「初期費用を抑えて早く2店舗目を出したいが、融資は避けたい」という方に適しています。ただし、長期的なコストは高くなるため、収益計画をしっかり立てる必要があります。
| 資金調達方法 | 展開スピード | リスク | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 内部留保 | 遅い(1-2年) | 低 | 慎重派・副業型 |
| 融資活用 | 早い(半年-1年) | 中 | 実績あり・成長志向 |
| リース活用 | 早い(半年-1年) | 中 | 初期費用を抑えたい人 |
多店舗展開で失敗する人の「3つの共通点」
多店舗展開は成功すれば大きなリターンがありますが、失敗すると1店舗目まで失うリスクがあります。ここでは、実際に多店舗展開で失敗したオーナーの事例から、避けるべき3つのパターンを紹介します。
失敗パターン①:1店舗目が未完成なのに2店舗目に突入
事例
飲食フランチャイズで1店舗目が月商150万円・経費140万円と赤字スレスレの状態なのに、「2店舗で仕入れコストが下がれば黒字化する」と考えて2店舗目を開業したオーナーがいました。しかし、2店舗分の家賃・人件費が重くのしかかり、結局1年後に両方とも閉店に追い込まれました。
原因:「規模の経済」の誤解
確かに多店舗展開すれば仕入れコストは下がりますが、管理コストは倍増します。オーナー自身が2つの店舗を行き来する時間、スタッフ管理の複雑化、トラブル対応の増加など、見えにくいコストが積み重なります。1店舗目で「このビジネスモデルで本当に稼げるか」を徹底検証しないまま拡大すると、負のスパイラルに陥ります。
対策
2店舗目に進む前に、1店舗目で以下を達成することが絶対条件です。
- 最低6ヶ月の安定黒字(月商の15-20%の利益)
- 売上改善の施策を試し尽くし、これ以上の伸びしろが少ない状態
- 「このビジネスモデルなら多店舗展開しても勝てる」という確信
失敗パターン②:自分が2つの店舗を行き来する「二兎追う」状態
事例
ハウスクリーニングFCで2店舗目を出したオーナーが、自分が両店舗の現場作業に入ってしまい、体力的に限界を迎えたケースです。移動時間も含めると1日12時間労働になり、クレーム対応も遅れがちになって顧客満足度が低下。結局2店舗目を閉めざるを得ませんでした。
原因:スタッフへの権限移譲ができていない
「自分がやった方が早い」「スタッフに任せると品質が落ちる」という考えで、全てを自分で抱え込んでしまうオーナーに多いパターンです。これでは多店舗展開の意味がありません。
対策
2店舗目を出す前に、1店舗を任せられるスタッフを育成することが絶対条件です。具体的には以下のステップを踏みます。
- 1店舗目で優秀なスタッフを見つける(真面目・学習意欲が高い人)
- 徐々に責任ある仕事を任せ、判断力を育てる
- 店長候補として育成し、オーナー不在でも回る状態を作る
- その人に1店舗目を任せ、自分は2店舗目に集中する
YouTube「フランチャイズ探偵団」のインタビューでも、成功している多店舗オーナーの多くが「1店舗目で育てた右腕がいたから2店舗目に進めた」と語っています。
失敗パターン③:2店舗目の立地・エリア選びを甘く見る
事例
買取フランチャイズで1店舗目が駅前の好立地で成功したため、同じ感覚で郊外に2店舗目を出店したオーナーがいました。しかし、郊外は車社会で駅前とは顧客層が全く異なり、買取依頼が全く集まらず半年で撤退しました。
原因:エリアごとの競合状況・顧客層の違いを調査不足
「1店舗目が成功したから、どこでも同じように成功する」という思い込みは危険です。エリアによって、競合の数・顧客の購買力・生活スタイルは大きく異なります。
対策
2店舗目のエリア選びでは、以下を徹底的に調査しましょう。
- 競合の数と強さ(Googleマップで半径3km圏内の同業を確認)
- ターゲット顧客の人口(国勢調査データを活用)
- 交通アクセス(駅近か、駐車場があるか)
- フランチャイズ本部のエリアマーケティング支援を最大活用
多くのフランチャイズ本部は、出店前のエリア診断サービスを提供しています。これを使わない手はありません。自分の感覚だけで決めず、データに基づいた判断をすることが重要です。
帝国データバンクの「フランチャイズ多店舗オーナーの倒産理由分析」によると、倒産した多店舗オーナーの約4割が「2店舗目以降の立地選定ミス」を挙げています。立地は売上の8割を決める最重要要素であることを忘れてはいけません。
【実例紹介】1000万円から5店舗に拡大したオーナーの戦略
ここでは、実際に1000万円の資金から5店舗に拡大した無店舗型ハウスクリーニングFCオーナーAさん(40代)の事例を紹介します。成功の裏にある具体的な戦略と、各段階での資金の使い方を詳しく解説します。
事例:無店舗型ハウスクリーニングFCオーナーAさん(40代)
スタート:自己資金1000万円のうち300万円で1店舗目開業
Aさんは脱サラして、おそうじ本舗に加盟しました。加盟金・研修費・機材費込みで300万円を投資し、残り700万円は緊急予備費として手元に残しました。「いきなり全額を使うのは怖かった」とAさんは振り返ります。
1年目:1店舗を徹底的に育成、月利40万円達成
最初の半年は自分で現場に入り、清掃スキルと営業ノウハウを徹底的に習得しました。その後、パートスタッフを2名採用し、徐々に現場を任せるようにシフト。1年目の終わりには、月商120万円・経費80万円で月利40万円を安定して出せる体制を確立しました。
Aさんの工夫は、見積もりから受注までの成約率を徹底的に改善したことです。最初は10件見積もりして3件しか受注できませんでしたが、トークスクリプトを改善し、Before/Afterの写真を見せるようにした結果、成約率が50%まで向上しました。
2年目:内部留保400万円+融資600万円で2・3店舗目同時開業
1年間で積み立てた内部留保400万円に、日本政策金融公庫からの融資600万円を加え、合計1000万円で2・3店舗目を同時に開業しました。「2店舗を一気に出したのは、管理の手間を分散させるため」とAさんは語ります。
1店舗目で育てたスタッフを2店舗目の店長に抜擢し、3店舗目は新規採用のスタッフで運営。自分は全体の営業・見積もり・品質管理に専念する体制を構築しました。
3年目:3店舗の利益で4・5店舗目を開業(融資なし)
2年目に開業した2・3店舗目が軌道に乗り、3店舗合計で月利100万円を達成。この利益を1年間積み立て、融資を使わず自己資金だけで4・5店舗目を開業しました。「借金を完済してからの展開は精神的に楽だった」とAさんは言います。
現在:5店舗で年商8000万円、純利益1200万円(オーナー報酬800万円)
現在、Aさんは5店舗を運営し、年商8000万円・純利益1200万円を達成しています。オーナー報酬として800万円を受け取り、残り400万円は次の展開に備えて内部留保しています。「6店舗目は様子を見ながら慎重に検討したい」とのことです。
Aさんの成功のポイント3つ
1. 1店舗目で「稼げるパターン」を確立
Aさんは1店舗目で見積もり→受注率の改善を徹底し、「このやり方なら確実に稼げる」というパターンを確立しました。これを2店舗目以降に横展開したことで、立ち上がりが非常に早かったのです。
2. 2店舗目以降は「人材育成」に注力
Aさんは1店舗目で優秀なスタッフを見つけ、店長候補として育成しました。2店舗目を出す際に、このスタッフに1店舗目を任せることで、自分は2店舗目に集中できました。「右腕がいなかったら多店舗展開は無理だった」と断言しています。
3. 地域を絞り込んだ
Aさんは5店舗を全て車で30分圏内に集中させました。これにより、トラブル時にすぐ駆けつけられる、スタッフ同士で助け合える、広告費を集中投下できるなど、管理効率が大幅に向上しました。「遠く離れた場所に出すより、近場で密度を上げる方が管理しやすい」とのことです。
よくある質問(FAQ)
ここでは、1000万円での多店舗展開を検討している方から寄せられる代表的な質問に回答します。
Q1. 1000万円で何店舗まで出せますか?
A. 業種次第ですが、無店舗型なら3-4店舗、小型店舗型なら2-3店舗が現実的です。
ただし、全資金を使い切るのは非常に危険です。運転資金として最低でも200-300万円は手元に残しておくべきです。例えば、初期費用300万円の無店舗型ハウスクリーニングなら、以下のような展開が可能です。
- 1店舗目:300万円
- 2店舗目:200万円(設備共有で削減)
- 3店舗目:200万円
- 緊急予備費:300万円
- 合計:1000万円
一方、初期費用600万円のコインランドリーなら、1000万円で1-2店舗が限界です。業種によって展開可能な店舗数は大きく異なるため、まずは初期費用の低い業種を選ぶことが重要です。
Q2. 1店舗目から何ヶ月で2店舗目を出すのが理想?
A. 最短でも1年、理想は1年半-2年です。1店舗目が安定黒字化し、運営の仕組み化が完了してからが鉄則です。
焦って半年や9ヶ月で2店舗目に進むと、以下のリスクがあります。
- 1店舗目の季節変動を把握できていない
- スタッフ育成が不十分で、オーナーが両店舗を行き来する状態になる
- 1店舗目で改善すべき点が残っているのに、2店舗目で同じ失敗を繰り返す
中小企業庁の調査でも、多店舗展開に成功しているオーナーの平均は「1店舗目開業から1年8ヶ月後に2店舗目を出店」というデータがあります。この期間は、1店舗目を徹底的に育て、確実に稼げる状態を作るために必要な時間です。
Q3. 多店舗展開に向いている人の特徴は?
A. 以下のような特徴を持つ人が多店舗展開に向いています。
- 現場作業より「仕組み作り」が好きな人:自分で手を動かすより、マニュアルを作ったり、スタッフ教育をする方が楽しいと感じる人
- スタッフに任せることができる人:「自分がやった方が早い」と思っても、あえてスタッフに任せて育てられる人
- 数字管理(売上・経費)が苦にならない人:複数店舗の数字を管理し、PDCAを回すことに抵抗がない人
逆に、「自分の技術で勝負したい」「現場が好き」という職人タイプの方は、多店舗展開よりも1店舗を極める方が向いているかもしれません。自分の性格・価値観と照らし合わせて判断しましょう。
Q4. 2店舗目で失敗したら1店舗目も危ない?
A. 可能性は十分にあります。2店舗目の赤字補填で1店舗目の資金を食いつぶすケースが非常に多いです。
実際に、2店舗目で失敗したオーナーの多くが「2店舗目の赤字を埋めるために1店舗目の利益を使い、結局両方とも資金ショートした」と語っています。だからこそ、緊急予備費を必ず残しておくことが重要です。
また、2店舗目が思うように立ち上がらない場合は、早めに撤退する勇気も必要です。「もう少し頑張れば」と粘った結果、1店舗目まで失うケースが後を絶ちません。撤退ラインを事前に決めておく(例:3ヶ月連続赤字なら撤退)ことも、リスク管理の一つです。
まとめ
この記事では、1000万円の資金で多店舗展開を成功させるための戦略を詳しく解説しました。最後に、重要なポイントを3つにまとめます。
ポイント①:業種選びが全てを決める
1000万円で多店舗展開は可能ですが、「無店舗型・小型店舗型・仕組み化しやすい業種」を選ぶことが絶対条件です。ハウスクリーニング、キッチンカー、買取・リユース、学習塾(無店舗型)、コインランドリーなど、初期費用が300-600万円程度で、オーナーが現場に張り付かなくても運営できる業種を選びましょう。
ポイント②:2店舗目に進む前に3つの条件をクリアする
焦りは失敗の元です。2店舗目に進む前に、以下の3つをクリアしてください。
- 1店舗目が最低6ヶ月の安定黒字(月商の15-20%の利益)
- 運営が仕組み化され、オーナーが現場に張り付かなくても回る状態
- 2店舗目の資金計画が明確で、緊急予備費を200-300万円残している
ポイント③:資金戦略を複数持つ
内部留保・融資・リースを組み合わせた資金戦略を立てることが重要です。1000万円を全て使い切るのではなく、常に「次の一手」を打てる余力を残しておきましょう。特に、日本政策金融公庫の融資は1店舗目の実績があれば500-1000万円狙えるため、積極的に活用することをおすすめします。
多店舗展開は、正しい戦略と慎重な準備があれば、1000万円という限られた資金でも十分に実現可能です。ただし、焦らず一歩ずつ進むことが成功の鍵です。YouTube「フランチャイズ探偵団」では、実際の多店舗オーナーへのインタビュー動画を多数公開しています。リアルな成功・失敗体験を聞いて、自分の戦略に活かしてみてください。

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