宅配弁当フランチャイズは「在庫リスクが少ない」「初期投資が比較的小さい」といったメリットから、脱サラ組やシニア起業家に人気のビジネスモデルです。しかし、開業後に多くのオーナーが直面する最大の課題が「配達員の確保」です。実は、配達員不足が原因で廃業に追い込まれるケースも少なくありません。
この記事では、宅配弁当フランチャイズにおける配達員確保の実態から、なぜ採用が難しいのか、そして成功しているオーナーが実践している具体的な方法まで、業界データと実例をもとに詳しく解説します。YouTube「フランチャイズ探偵団」で取材したオーナーの生の声も交えながら、開業前にリスク対策を立てたい方、すでに配達員採用に苦戦している方に向けて、実践的な情報をお届けします。
宅配弁当フランチャイズにおける配達員確保の実態
宅配弁当フランチャイズの経営において、配達員の確保は想像以上に困難な課題です。多くのオーナーが開業前には「アルバイトを数名雇えば大丈夫だろう」と考えますが、実際には求人を出しても応募がない、採用しても短期間で辞めてしまうという現実に直面します。
飲食業界全体で人手不足が深刻化していますが、宅配弁当業態は特に厳しい状況にあります。厚生労働省の調査によると、飲食サービス業の有効求人倍率は約3倍となっており、1人の求職者に対して3つの求人がある状態です。しかし、宅配弁当の配達員に限定すると、その競争はさらに激しくなります。
配達員の離職率も大きな問題です。業界平均では、3ヶ月以内に約40%の配達員が退職するというデータもあります。これは、コンビニやファミリーレストランなどの他の飲食業態と比較しても高い数字です。つまり、せっかく採用しても半分近くが短期間で辞めてしまうため、常に採用活動を続けなければならない状況に陥りやすいのです。
さらに、配達員不足による機会損失も深刻です。注文が入っても配達できる人員がいないため、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまうケースが頻発しています。特に昼食や夕食のピーク時間帯に配達が集中するため、この時間帯に十分な配達員を確保できないと、売上の機会を大きく失ってしまいます。
主要宅配弁当FCブランドの人材確保状況
宅配弁当フランチャイズの主要ブランドとして「宅配クック123」「まごころ弁当」「ライフデリ」などがありますが、配達員確保の課題はどのブランドでも共通して存在します。ただし、本部からの人材採用サポート体制には差があるのが現状です。
例えば、一部のブランドでは求人広告のテンプレート提供や採用ノウハウの共有を行っていますが、実際の採用活動は各加盟店オーナーの裁量に委ねられているケースが多いです。本部が人材紹介会社と提携しているブランドもありますが、紹介料が高額(採用1名あたり10-20万円程度)になることもあり、コスト面での負担が大きくなります。
重要なのは、どのブランドを選んでも配達員確保は自店の努力が必要という認識を持つことです。「このブランドなら人材確保が簡単」という甘い考えは持たない方が賢明でしょう。
【実例】配達員不足で苦しむオーナーの声
実際のオーナーの声を聞くと、配達員確保の深刻さがより具体的に理解できます。YouTube「フランチャイズ探偵団」でインタビューしたあるオーナーは、次のように語っています。
「開業3ヶ月目に、それまで働いてくれていた配達員3人が立て続けに退職してしまいました。理由はそれぞれ違いましたが、体力的にきつい、他にもっと条件の良い仕事が見つかったなどでした。急遽、自分が1日8配達を週4日こなす日々が続き、本来やるべき営業活動や顧客開拓が全くできなくなりました」
別のオーナーは、採用活動の難しさをこう表現しています。「求人広告に月5万円かけても応募がゼロという月が続きました。ハローワーク、求人サイト、地域のチラシなど、あらゆる方法を試しましたが、面接までたどり着く応募者すら少ない状況です。やっと来てくれた方も、時給や勤務時間の条件が合わず、採用に至りませんでした」
これらの実例は決して特殊なケースではなく、多くの宅配弁当フランチャイズオーナーが直面している現実なのです。
| 業態 | 人材確保難易度 | 離職率(3ヶ月以内) | オーナー自身が現場に出る割合 |
|---|---|---|---|
| 宅配弁当FC | 高 | 約40% | 約70% |
| コンビニFC | 中 | 約30% | 約60% |
| ハウスクリーニングFC | 中 | 約35% | 約50% |
| 学習塾FC | 低 | 約20% | 約40% |
なぜ宅配弁当FCは配達員確保が難しいのか?5つの構造的要因
配達員確保が困難な理由は、単なる人手不足だけではありません。宅配弁当フランチャイズという業態特有の構造的な問題が存在します。ここでは、その5つの要因を詳しく見ていきましょう。
①配達時間が昼・夕のピークに集中する
宅配弁当の配達は、昼食時間帯(10:30-13:00)と夕食時間帯(16:30-19:00)の2つのピークに集中します。この時間帯は1日のうちわずか5時間程度であり、フルタイムの仕事を探している人にとっては物足りない勤務時間です。
例えば、週5日勤務で1日2時間半働いたとしても、時給1,200円の場合は月収約6万円程度にしかなりません。これでは生活の主要な収入源にはなりにくく、「他のアルバイトと掛け持ちしたい」と考える人が多いのですが、ピーク時間帯が固定されているため、他の仕事との両立が難しいという矛盾が生じます。
また、この時間帯は飲食店や配送業も忙しい時間であり、他業種との人材の取り合いが発生します。より条件の良い仕事があれば、そちらに人材が流れてしまうのは当然の結果と言えるでしょう。
②体力的負担が大きい(特に高齢者配達の場合)
宅配弁当の配達は、見た目以上に体力を必要とする仕事です。1回の配達で5-10kg程度のお弁当を運び、1日に10-20件の配達をこなします。高齢者向けの配達が多いため、エレベーターのない集合住宅の階段を何度も昇降することも珍しくありません。
夏の暑さや冬の寒さの中での配達は、想像以上に体力を消耗します。特に夏場は車内が高温になり、冷房をかけながらの頻繁な乗り降りで体調を崩す配達員も少なくありません。短時間勤務とはいえ、肉体労働の密度が非常に高いのが実情です。
この体力的負担が、採用のハードルを上げる要因になっています。若年層は体力があっても時給の低さがネックになり、シニア層は意欲があっても体力面で続けられないケースが多いのです。
③時給相場の低さ(Uber Eats等との競合)
宅配弁当配達員の時給相場は、地方で1,100-1,400円程度、都市部でも1,300-1,600円程度です。一方、Uber EatsやWoltなどのフードデリバリーサービスは、時給換算で1,500-2,000円程度の収入を得ることも可能です。
さらに、ギグワークの最大の魅力は「好きな時間に働ける自由度」です。固定シフトに縛られることなく、自分の都合の良い時間だけ働けるため、特に若年層にとっては魅力的な選択肢となっています。
宅配弁当の配達は固定シフトが基本であり、「今週は月・水・金」といった形で事前にシフトを組む必要があります。この柔軟性の低さが、人材獲得競争において不利に働いているのです。
④運転免許・自動車保有が必須の地域が多い
宅配弁当フランチャイズの多くは、配達に自動車を使用します。そのため、運転免許を持っていることが応募条件になり、さらに自家用車を業務使用することを求められるケースも多いです。
しかし、警察庁の統計によると、20代の運転免許保有率は約70%まで低下しています。都市部では公共交通機関が発達しているため、「免許は持っているが運転経験がほとんどない」「そもそも車を所有していない」という若年層が増えているのです。
また、自家用車を業務使用することに心理的抵抗を感じる人も少なくありません。事故のリスク、車の消耗、保険の問題などを考えると、自分の車を使ってまで働きたくないと考える人が多いのは理解できます。
配達車両を提供するFC本部やオーナーは一部にとどまっており、この点が採用のハードルをさらに高めています。
⑤顧客対応のストレス(クレーム・時間厳守)
宅配弁当の配達は、単に商品を届けるだけではありません。高齢者のお客様が多いため、「少し話を聞いてほしい」「今日の体調を伝えたい」といったコミュニケーションが発生することもあります。これ自体は良いことですが、慣れていない配達員にとってはストレスになることもあります。
また、「必ず12時ちょうどに来てほしい」といった厳密な時間指定も少なくありません。配達ルートの都合で多少前後することもありますが、それがクレームにつながることもあり、時間厳守のプレッシャーが常にあります。
配達ミスが発生した場合の対応も配達員の負担になります。「注文と違うお弁当が届いた」「箸やスプーンが入っていない」といった小さなミスでも、お客様の食事に直結する問題であり、クレームになりやすいのです。
これらの顧客対応のストレスが、短期離職の一因となっています。厚生労働省の調査でも、飲食サービス業の離職理由として「精神的・肉体的負担」が上位に挙がっており、宅配弁当業態も例外ではありません。
配達員不足がもたらす経営への具体的影響
配達員が確保できないことによる影響は、単に「人手が足りない」という問題にとどまりません。経営の根幹を揺るがす深刻な事態を引き起こす可能性があります。
まず、売上への直接的な影響です。配達できる件数には限界があるため、注文が入っても受けられないという機会損失が発生します。特に昼食・夕食のピーク時間帯に配達が集中するため、この時間帯に十分な配達員がいないと、1日の売上の大部分を逃すことになります。
次に、コストの増加です。配達員を確保するために時給を引き上げたり、人材紹介会社を利用したりすると、人件費が想定を大きく上回ります。売上が伸びない中でコストだけが増えていく状況は、利益率を大きく圧迫します。
さらに深刻なのが、オーナー自身の疲弊です。配達員が不足すると、オーナー自身が配達に出ざるを得なくなります。配達に時間を取られることで、本来やるべき営業活動、新規顧客の開拓、経営管理などの業務ができなくなり、ビジネスの成長が止まってしまいます。
ケーススタディ:配達員不足で月商が30%減少した実例
ある宅配弁当フランチャイズオーナーの事例を見てみましょう。開業当初は配達員を4名確保し、1日30件の配達をこなしていました。月商は約100万円、利益率は20%で順調な滑り出しでした。
しかし、半年後に配達員2名が相次いで退職。新たな採用もうまくいかず、配達可能件数が1日20件程度に減少しました。その結果、新規の注文依頼を断らざるを得ない状況が続き、既存顧客の中にも「いつも断られるから他を探す」と離れていく人が出始めました。
最終的に月商は約70万円まで減少。しかし、家賃や光熱費などの固定費は変わらないため、利益率は5%以下にまで落ち込みました。売上が30%減少しても、利益は75%以上減少するという厳しい現実に直面したのです。
このオーナーは「配達員不足が売上減少の引き金になるとは思っていなかった。人件費をケチったことが、かえって大きな損失を生んでしまった」と振り返っています。
オーナー自身が配達する場合の時間コスト
多くのオーナーが「配達員が見つからないなら自分がやればいい」と考えますが、これには大きな落とし穴があります。
仮にオーナーが1日3-4時間を配達に費やすとしましょう。その間、営業活動、新規顧客の開拓、既存顧客のフォロー、スタッフ管理、経理業務などはできません。配達員を時給1,200円で雇えば済む仕事を、経営者としての時間を使って行うことになるのです。
経営者の時間を時給換算すると、仮に年収600万円を目指すなら、時給は約3,000円相当になります。つまり、時給3,000円の価値がある時間を、時給1,200円の仕事に使っているという非効率な状態です。
もちろん、配達に出ることで顧客と直接接点を持ち、ニーズを把握できるというメリットもあります。開業初期や、顧客との関係構築を重視する段階では、オーナー自身が配達することも有効な戦略です。しかし、それが恒常化してしまうと、ビジネスの成長が止まり、結果的に経営が立ち行かなくなるリスクがあります。
配達員確保に成功しているオーナーの共通点
一方で、配達員確保に成功し、安定した経営を実現しているオーナーも存在します。彼らに共通するのは、「採用」だけでなく「定着」と「仕組み化」に注力している点です。単に時給を上げるだけでは解決しない問題に対し、多角的なアプローチを取っているのです。
特徴①ターゲット人材を明確にしている
成功しているオーナーは、「誰でも良いから来てほしい」という姿勢ではなく、自店の配達スタイルに適した人材層を明確にターゲットにしています。
代表的な成功パターンは、シニア層(60-70代)を主要ターゲットにすることです。定年退職後の男性やリタイア組は、時間に余裕があり、地域貢献への意識も高く、運転にも慣れています。時給が多少低くても、「やりがい」「社会とのつながり」「健康維持」といった金銭以外の価値を重視する傾向があります。
また、主婦・主夫層(40-50代)も有力なターゲットです。子育て中でフルタイムは無理だが、短時間なら働けるという層は意外に多く、扶養内勤務を希望する人も多いため、週3日・1日2-3時間という宅配弁当の勤務形態がマッチします。
「この層なら採用できる」という確信を持って採用活動を行うことで、効率的に人材を確保できるのです。
特徴②採用チャネルを多様化している
成功オーナーは、ハローワークだけに頼らず、複数の採用チャネルを活用しています。
例えば、シニア層をターゲットにする場合は、シルバー人材センターへの登録が効果的です。また、地域の公民館や老人クラブの掲示板にチラシを貼ったり、地域紙の折込求人を活用したりすることで、インターネットをあまり使わないシニア層にもアプローチできます。
主婦・主夫層には、ママ向けアプリ(マチマチなど)や、幼稚園・学校の保護者ネットワークを通じた口コミが有効です。「地域の○○さんが働いているなら安心」という信頼感が、応募のハードルを下げます。
さらに、口コミ・紹介制度を構築しているオーナーも多いです。既存の配達員に「知り合いを紹介してくれたら謝礼金3万円」といったインセンティブを設定することで、適性のある人材を紹介してもらえる可能性が高まります。
特徴③定着率向上の工夫をしている
採用できても短期間で辞められてしまっては意味がありません。成功オーナーは、配達員が長く働き続けられる環境づくりに力を入れています。
その一つが配達ルートの固定化です。毎日同じエリアを担当させることで、道を覚えやすく、配達効率が上がります。また、お客様との顔なじみの関係が築け、「○○さんが来てくれるから嬉しい」と言われることが配達員のモチベーションにもなります。
また、感謝の仕組みを作っているオーナーもいます。配達後の短いミーティングで、お客様から「美味しかった」「ありがとう」といった声があったことを配達員に伝えたり、月間MVP制度を設けて頑張りを可視化したりすることで、やりがいを感じてもらう工夫をしています。
さらに、柔軟なシフト設計も重要です。「週3日〜OK」「午前のみOK」など、働く側の都合に合わせられる体制を作ることで、「ここなら長く続けられそう」と思ってもらえます。
【具体策】配達員を確保する7つの実践的方法
ここからは、配達員を確保するための具体的な方法を7つ紹介します。それぞれメリット・デメリット・コストがあるため、自店の状況に合わせて組み合わせることが重要です。
①シニア層(60-70代)をターゲットにする
なぜ有効か:シニア層は定年退職後で時間に余裕があり、地域貢献への意識が高く、長年の運転経験があるため、宅配弁当の配達に適しています。また、「誰かの役に立ちたい」「社会とつながっていたい」という動機で働く人が多く、時給が多少低くても応募してくれる可能性があります。
採用方法:
- シルバー人材センターへの求人登録
- 地域の老人クラブや公民館への掲示板チラシ
- 地域紙の折込求人(シニア層は紙媒体をよく見る)
- 既存のシニア配達員からの紹介
時給相場:1,000-1,200円程度でも応募が見込めます。ただし、交通費やガソリン代は別途支給が望ましいです。
デメリット:体力面での配慮が必要です。重いものを持たせすぎない、夏場の配達時間を短縮するなどの工夫が求められます。また、急な体調不良や通院などで欠勤する可能性もあるため、バックアップ体制が必要です。
②主婦・主夫層(40-50代)の短時間勤務ニーズに応える
狙い:子育て中でフルタイムは無理だが、短時間なら働けるという主婦・主夫層は多く存在します。特に、子どもが学校に行っている間の午前中や、夕方の数時間だけ働きたいというニーズは根強いです。
求人文面例:
- 「10:30-13:00だけOK!子育て中のママ活躍中」
- 「週3日〜OK!扶養内勤務歓迎」
- 「学校行事や子どもの急な体調不良にも柔軟対応」
採用方法:
- ママ向けアプリ(マチマチ、ジモティーなど)への求人掲載
- 幼稚園・小学校の保護者ネットワーク(PTAなど)での口コミ
- 地域のスーパーや児童館の掲示板
メリット:責任感が強く、丁寧な配達が期待できます。また、地域に密着しているため、口コミで新規顧客を紹介してくれることもあります。
③リタイア後の男性(元サラリーマン)を狙う
狙い:定年退職後の男性は、「生きがい」「小遣い稼ぎ」「社会とのつながり」を求めています。長年の運転経験があり、責任感も強いため、宅配弁当の配達に向いている層です。
訴求ポイント:
- 「ありがとうと言われる仕事」(感謝される喜び)
- 「地域貢献」(高齢者の食生活を支える社会的意義)
- 「健康維持」(適度な運動になる)
採用方法:
- ハローワークへの求人掲載(60代以上も積極採用と明記)
- 地域紙の折込求人
- 退職者向けセミナーやイベントでのチラシ配布
注意点:プライドが高い人もいるため、「アルバイト」ではなく「配達パートナー」といった呼称にするなど、言葉遣いに配慮しましょう。
④口コミ・紹介制度を構築する
紹介インセンティブ:既存の配達員に「知り合いを紹介してくれたら謝礼金3万円」といった制度を設けます。紹介された人が3ヶ月以上勤務したら支払うなど、条件を設定することで、本気で紹介してもらえる仕組みにします。
なぜ効果的か:既存配達員からの紹介は、最も定着率が高い採用方法です。「この仕事はこういう感じだよ」と事前に説明してもらえるため、入社後のミスマッチが少なく、紹介者との関係もあるため簡単には辞めにくいからです。
注意点:紹介した人が辞めた場合でも、紹介者の責任にならない設計が重要です。「○○さんが紹介した人が辞めちゃったね」という雰囲気にならないよう、「紹介してくれてありがとう。今回はご縁がなかっただけ」というスタンスを明確にしましょう。
⑤配達代行サービス・業務委託を活用する
サービス例:「デリキャスト」「シェアフル」などのスポット配達サービスがあります。必要な時だけ配達を依頼できるため、繁忙期や急な欠勤時のバックアップとして活用できます。
コスト:1配達あたり500-800円程度で、直接雇用の1.5-2倍のコストがかかります。月間の配達件数が多いと、コスト負担が大きくなるため、常用は難しいかもしれません。
メリット:
- 人材確保の手間が不要
- 繁忙期だけ、急な欠勤時だけなど柔軟に利用可能
- 採用リスクがない
デメリット:
- コストが高い
- 顧客との継続的な関係構築ができない
- 配達品質のコントロールが難しい
活用方法:常用ではなく、緊急時や繁忙期のバックアップとして位置づけるのが現実的です。
⑥配達車両をFC本部や自店で用意する
狙い:「運転免許は持っているが車がない」という層を取り込むことができます。特に都市部では、免許は持っているが車を所有していない人が多いため、配達車両を用意することで採用のハードルが大幅に下がります。
方法:
- 軽バン・軽トラのリース(月3-5万円程度)
- 中古車の購入(初期投資50-100万円)
- FC本部が車両リースプランを提供している場合もある
メリット:「車がない」という理由で応募をためらっていた層にアプローチでき、応募者数が増える可能性があります。また、車両に店名を入れることで、走る広告としての効果も期待できます。
デメリット:初期投資またはリース費用がかかります。また、事故時の責任の所在、保険の問題なども事前に明確にしておく必要があります。
⑦待遇改善(時給+α)で差別化
時給+配達件数インセンティブ:基本時給に加えて、1件配達するごとに+50円などのインセンティブを設定することで、やる気を引き出せます。例えば、時給1,200円+1件50円で、1日20件配達すれば、実質時給2,200円相当になります。
交通費・ガソリン代の全額支給:自家用車を使用する場合、ガソリン代を実費で支給することで、配達員の負担を軽減できます。1kmあたり15-20円程度が相場です。
社会保険加入:週20時間以上勤務する配達員には社会保険に加入させることで、安心して長く働ける環境を提供できます。法令遵守の観点からも重要です。
注意点:時給だけを上げても、限界があります。「働きやすさ」「やりがい」「職場の雰囲気」といった金銭以外の要素とセットで改善することが大切です。
| 採用方法 | ターゲット層 | コスト | 難易度 | 定着率 | 即効性 |
|---|---|---|---|---|---|
| シニア層採用 | 60-70代 | 低 | 中 | 高 | 中 |
| 主婦・主夫採用 | 40-50代 | 中 | 中 | 高 | 中 |
| リタイア組採用 | 60代以上 | 低 | 中 | 高 | 低 |
| 口コミ紹介 | 全年代 | 中 | 低 | 非常に高 | 低 |
| 配達代行サービス | – | 非常に高 | 非常に低 | – | 高 |
| 配達車両提供 | 免許保有者 | 高 | 低 | 中 | 中 |
| 待遇改善 | 全年代 | 中〜高 | 中 | 中 | 中 |
配達員の定着率を上げるための5つの工夫
配達員を採用できても、短期間で辞められてしまっては意味がありません。「採用」と「定着」はセットで考えることが重要です。ここでは、配達員の定着率を上げるための具体的な工夫を紹介します。
①配達ルートの固定化と最適化
毎日同じエリアを担当させることには、大きなメリットがあります。まず、道を覚えやすく、配達効率が上がります。最初は1件15分かかっていた配達が、慣れると10分でこなせるようになり、配達員自身も達成感を得られます。
また、お客様との顔なじみの関係が築けるため、「○○さんが来てくれるから嬉しい」と言われることが配達員のやりがいになります。「今日もありがとう」「いつも助かっているよ」といった言葉が、仕事を続ける動機づけになるのです。
さらに、配達順を最適化し、無駄な移動を減らすことで、体力的な負担も軽減できます。地図にルートを書き込み、配達員全員で共有することで、効率的な配達が可能になります。
②コミュニケーションと感謝の仕組み
配達後の短いミーティング(10分程度でも可)を設けることで、配達員とのコミュニケーションを図りましょう。「今日はどうでしたか?」「何か困ったことはありましたか?」と声をかけるだけでも、配達員は「気にかけてもらえている」と感じます。
また、お客様から「美味しかった」「ありがとう」といった声があったことを配達員に伝えることも重要です。「○○さん、今日のお客様から『いつもありがとう』と言われていましたよ」と伝えることで、配達員のモチベーションが上がります。
月間MVP制度を設けて、頑張りを可視化することも効果的です。「今月の最優秀配達員」として表彰し、小さな報奨金(5,000円程度)を渡すだけでも、やる気は大きく変わります。
③トラブル対応のサポート体制
クレームが発生した場合、配達員に責任を押し付けるのではなく、オーナーが矢面に立つ姿勢が大切です。「何かあったら私が対応するから、安心して配達してください」と伝えることで、配達員は安心して働けます。
配達ミスが起きた場合も、「次から気をつけてね」と優しく注意し、フォロー体制を整えましょう。「ミスをしたら怒られる」という恐怖感があると、配達員は萎縮してしまい、さらにミスが増える悪循環に陥ります。
また、緊急時(事故、体調不良など)の連絡体制を明確にしておくことも重要です。「何かあったらすぐに連絡してください。すぐに駆けつけます」という安心感が、配達員の心の支えになります。
④柔軟なシフト設計
「週3日〜OK」「午前のみOK」など、柔軟なシフトを組めることは、定着率向上に大きく寄与します。特にシニア層や主婦・主夫層は、家族の用事や通院などで急な休みが必要になることもあるため、柔軟に対応できる体制が求められます。
希望休を優先することも大切です。「来月の○日は孫の運動会があるので休みたい」といった要望には、できる限り応えましょう。そのためには、配達員を多めに確保し、誰かが休んでも回る体制を作っておくことが前提になります。
急な休みや早退にも対応できるよう、代行体制を構築しておくことも重要です。オーナー自身がバックアップに入る、他の配達員に臨時で入ってもらうなど、柔軟な対応が可能な仕組みを作りましょう。
⑤スキルアップとキャリアパス
配達効率の改善研修を定期的に行うことで、配達員のスキルアップを支援しましょう。「こうすれば5分短縮できる」「この道の方が渋滞を避けられる」といったノウハウを共有することで、配達員自身も成長を実感できます。
また、「ベテラン配達員」としての位置づけを与えることで、プライドを持って働いてもらえます。「新人配達員の指導役をお願いします」と依頼することで、責任感とやりがいを感じてもらえるでしょう。
将来的には、やる気のある配達員を店舗責任者候補として育成する道も考えられます。「将来的には店舗運営を任せたい」と伝えることで、長期的に働く動機づけになります。
FC本部のサポート体制を事前確認すべき3つのポイント
宅配弁当フランチャイズを開業する前に、本部がどれだけ人材確保をサポートしてくれるかを確認することは非常に重要です。本部によってサポート体制の手厚さは大きく異なるため、契約前に必ず確認しましょう。
①求人広告の支援体制
本部が求人原稿のテンプレートを提供してくれるか、求人媒体の推奨があるかを確認しましょう。経験のないオーナーが一から求人原稿を作るのは難しいため、成功事例を共有してもらえると助かります。
また、求人広告費用の一部を本部が負担してくれるケースもあります。「開業から3ヶ月間は求人費用を本部が負担」といった支援制度があるかどうかも確認しておきましょう。
採用成功事例の共有があるかも重要です。「このエリアではこういう方法で採用に成功した」といった情報を本部が提供してくれるかどうかで、採用活動の成功確率が変わります。
②配達員研修プログラムの有無
本部が配達員向けの研修を実施しているかも重要なポイントです。オーナー自身が配達員教育をすべて行うのは負担が大きいため、本部が研修プログラムを用意していると助かります。
マニュアルの整備状況も確認しましょう。配達手順、お客様対応、トラブル時の対処法などが明文化されているかどうかで、配達員の育成のしやすさが変わります。
オンライン研修やOJT支援の有無もチェックしましょう。動画で配達手順を学べるシステムがあったり、本部スタッフが実地で指導に来てくれたりすると、スムーズに配達員を育成できます。
③配達代行・人材派遣との提携
本部が配達代行サービスと提携しているかも確認しましょう。緊急時や繁忙期に配達代行を使える体制があると、リスクヘッジになります。
また、他加盟店からの応援体制があるかも重要です。「急に配達員が全員休んでしまった」といった緊急事態に、近隣の加盟店から応援してもらえる仕組みがあると安心です。
人材紹介会社との連携があるかもチェックしましょう。本部が特定の人材紹介会社と契約していて、優遇料金で利用できるケースもあります。
契約前に確認すべき質問リスト:
- 求人広告のテンプレートや成功事例を提供してもらえますか?
- 配達員向けの研修プログラムはありますか?
- 配達マニュアルは整備されていますか?
- 配達代行サービスと提携していますか?
- 他加盟店からの応援体制はありますか?
- 人材紹介会社との提携はありますか?
- 開業後の人材確保で困った場合、どのようなサポートを受けられますか?
【FAQ】宅配弁当FCの配達員確保に関するよくある質問
Q1: 配達員を雇わず、オーナー1人で回すことは可能ですか?
A: 可能ですが、限界があります。オーナー1人で対応できる配達件数は1日10-15件程度が限界でしょう。これは月商50-70万円程度に相当します。開業初期はこれでも良いかもしれませんが、成長を目指すなら配達員の確保は必須です。
また、オーナーが配達に出ている間は、営業活動や新規顧客の開拓ができません。目の前の配達業務に追われて、ビジネスの成長が止まってしまうリスクがあります。体力的な持続可能性も考慮する必要があるでしょう。
Q2: 配達員の時給相場はどのくらいですか?
A: 地方では時給1,100-1,400円程度、都市部では時給1,300-1,600円程度が相場です。これに加えて、交通費やガソリン代を実費支給するのが一般的です。
業務委託の場合は、1配達あたり400-600円程度が相場になります。配達件数に応じた報酬体系のため、配達員のやる気を引き出しやすいメリットがありますが、配達件数が少ない日は収入が低くなるデメリットもあります。
Q3: 配達員は何人いれば安定経営できますか?
A: 1日30件の配達をこなす場合、午前・午後のシフトで3-4名の配達員が必要です。ただし、欠勤や退職のリスクを考えると、4-5名いると安心です。
1人依存は非常に危険です。「この配達員さんに辞められたら店が回らない」という状況は避けるべきです。誰か1人が休んでも、退職しても、すぐに対応できる体制を作っておくことが、安定経営の鍵となります。
Q4: 配達員の社会保険加入は必須ですか?
A: 週20時間以上勤務する配達員には、社会保険加入の義務があります。例えば、1日4時間×週5日=週20時間の場合、雇用保険・健康保険・厚生年金への加入が必要です。
パートや短時間勤務者(週20時間未満)の場合は、雇用保険のみの加入で済むケースもあります。ただし、法令遵守は経営者の責任であり、適切な保険加入は信頼につながります。不明な点は社会保険労務士に相談することをおすすめします。
Q5: 配達代行サービスだけで運営できますか?
A: コスト的には厳しいでしょう。配達代行サービスは1配達あたり500-800円程度かかります。月間600配達の場合、30-48万円ものコストになり、人件費が売上を圧迫します。
配達代行サービスは、繁忙期や緊急時のバックアップとして活用するのが現実的です。常用ではなく、「配達員が急に休んだ」「注文が予想以上に多い」といった場合の保険として考えましょう。
また、配達代行では顧客との継続的な関係構築ができないデメリットもあります。宅配弁当は「いつも同じ人が届けてくれる安心感」が重要なビジネスであり、その価値を失うリスクも考慮すべきです。
配達員不足を理由に開業を諦めるべきか?最終判断のポイント
ここまで読んで、「配達員確保が大変そうだから開業を諦めよう」と思った方もいるかもしれません。しかし、配達員不足=諦める、ではありません。重要なのは、リスクを正しく理解し、対策を立てた上で挑戦することです。
ただし、甘く見ると失敗するのも事実です。「なんとかなるだろう」という楽観的な姿勢ではなく、自分の適性、地域性、覚悟を冷静に見極めることが大切です。
開業に向いているケース
以下のような方は、配達員確保のハードルを乗り越えやすいでしょう:
- 人脈があり、配達員候補が既にいる:知り合いに配達を手伝ってもらえる見込みがある場合、開業初期のリスクを大幅に減らせます。
- 地方在住でシニア層が多い地域:シニア層は宅配弁当の配達に適しており、地方では採用しやすい傾向があります。
- 自分が配達に出ることを前向きに捉えられる:少なくとも最初の1年は自分が配達に出る覚悟がある方は、開業初期を乗り切れる可能性が高いです。
- 営業力があり、顧客開拓に自信がある:配達員を雇える売上を早期に確保できる見込みがあるなら、リスクは低くなります。
慎重に検討すべきケース
以下のような方は、開業前により慎重な検討が必要です:
- 都市部で競合(Uber Eats等)が強いエリア:ギグワークとの競争が激しく、配達員確保が非常に難しい可能性があります。
- 人脈がなく、採用活動に不安がある:採用経験がない、地域とのつながりがないという場合、苦戦する可能性が高いです。
- 配達に出る体力・時間がない:配達員が確保できない場合、自分が出る必要がありますが、それが難しい場合は厳しいでしょう。
- 本部の人材サポートが薄い:本部から十分なサポートが得られない場合、孤軍奮闘することになり、挫折しやすくなります。
失敗を避けるためのチェックリスト:
- □ 配達員候補の心当たりが複数ある
- □ 自分が配達に出る体力と時間がある
- □ 地域にシニア層や主婦層が多い
- □ FC本部の人材サポート体制が充実している
- □ 採用活動に月5万円以上の予算を確保できる
- □ 配達代行サービスを緊急時に使える予算がある
- □ 最低1年は自分が配達に出る覚悟がある
7項目中5項目以上に該当するなら、開業に挑戦する価値はあります。3項目以下の場合は、開業前にもう一度慎重に検討することをおすすめします。
まとめ
宅配弁当フランチャイズにおける配達員確保の難しさは、「業界最大のリスク」と言っても過言ではありません。しかし、この記事で紹介したように、対策を講じれば克服可能な課題でもあります。実際に、配達員を10名以上確保し、安定した経営を実現しているオーナーも数多く存在します。
重要なのは、開業前にリスクを正しく理解し、対策を立てることです。「配達員は簡単に見つかるだろう」という甘い考えは捨て、具体的な採用計画と定着策を準備してから開業に踏み切りましょう。
本部選びの際は、人材サポート体制を必ず確認してください。求人広告の支援、配達員研修プログラム、配達代行サービスとの提携など、本部のサポ

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