テイクアウトフランチャイズのコロナ後の需要減少リスク

コロナ禍で一気に注目を集めたテイクアウトフランチャイズ。2020年から2021年にかけて、唐揚げ専門店やゴーストレストランが次々と出店し、「これからはテイクアウトの時代だ」と言われていました。しかし2024年現在、イートインが復活し「あの盛り上がりは一時的だったのでは?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、YouTube「フランチャイズ探偵団」での複数のテイクアウトFC本部への取材実績と、実際に開業したオーナーへのインタビューを基に、以下の内容を解説します:

  • 実際の市場データから見るテイクアウト需要の変化(感覚ではなく数字で判断)
  • テイクアウトFCで失敗する3つの典型パターン(事前に回避すべきリスク)
  • それでも年商3,000万円を維持する店舗の共通点(再現可能な成功戦略)

「コロナ特需」に踊らされず、持続可能なビジネスモデルを見極めるための判断材料を提供します。

  1. テイクアウト市場の「コロナ前→コロナ中→現在」の推移データ
    1. コロナ前(2019年)との比較
    2. 2024年現在のリアルな数字
  2. 「需要減少リスク」が特に高いテイクアウトFC業態3選
    1. ①唐揚げ・弁当系(低価格帯テイクアウト専門)
    2. ②ゴーストレストラン(デリバリー専業)
    3. ③スイーツ・デザート系テイクアウト
  3. テイクアウトFCで失敗する3つの典型パターン
    1. パターン①:「コロナ特需」を恒久的需要と誤解
    2. パターン②:デリバリープラットフォーム依存
    3. パターン③:立地選定の失敗(住宅地vs商業地)
  4. それでも成功しているテイクアウトFCの5つの共通点
    1. ①「テイクアウト+α」の複合型ビジネスモデル
    2. ②リピート購入される商品ジャンル
    3. ③自社アプリ・LINE連携で固定客化
    4. ④商圏内の競合分析を徹底
    5. ⑤本部のサポート体制が充実
  5. 2024年以降も需要が見込めるテイクアウトFC業態
    1. 高齢者向け宅配弁当(シニア向け)
    2. 冷凍食品・ミールキット型
    3. 専門性の高い業態(ヴィーガン、グルテンフリーなど)
  6. テイクアウトFC選びで必ずチェックすべき5つの質問
    1. 質問①:「2023年以降の既存店の売上推移を教えてください」
    2. 質問②:「デリバリー売上の比率は何%ですか?」
    3. 質問③:「撤退した加盟店の理由を教えてください」
    4. 質問④:「競合が近隣に出店した場合のサポートは?」
    5. 質問⑤:「食材原価の変動リスクをどう分担しますか?」
  7. 【実例】コロナ後も年商3,000万円を維持する唐揚げFC店オーナーの戦略
    1. 立地戦略:住宅地×駅近の「中間地点」を選定
    2. 商品戦略:テイクアウト専門でも「店内で揚げたて提供」
    3. 販促戦略:LINE公式で「常連客」を月間150人確保
  8. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. コロナ前の水準まで需要は戻ると思いますか?
    2. Q2. デリバリー専門(ゴーストレストラン)はもうやめたほうがいい?
    3. Q3. テイクアウトFCの初期投資はいくらくらい?
    4. Q4. 未経験でも成功できますか?
    5. Q5. 今から参入するなら何に注意すべき?
  9. まとめ

テイクアウト市場の「コロナ前→コロナ中→現在」の推移データ

まず、感覚ではなく客観的な数字でテイクアウト市場の現状を把握しましょう。「需要が減った」という報道だけを見ると不安になりますが、実際のデータを見ると違った景色が見えてきます。

コロナ前(2019年)との比較

日本フードサービス協会のデータによると、2019年の中食市場規模は約10兆円でした。この時点では、テイクアウト専門店は主に駅ナカや商業施設の一角に限られており、独立店舗としての業態はまだ少数派でした。

テイクアウト専門業態の店舗数も、コロナ前は緩やかな増加傾向にとどまっていました。当時は「外食=店内飲食」が主流で、テイクアウトは「ついで需要」という位置づけだったのです。

2024年現在のリアルな数字

では、2024年現在の状況はどうでしょうか。矢野経済研究所の調査によると、2024年の中食市場規模は約12兆円と推定されています。これはコロナ前(2019年)比で約120%という数字です。

ただし、ここで重要なのは「コロナ中のピーク」との比較です。2021年の緊急事態宣言下では市場規模が約14兆円まで膨らんでいたため、そこからは約14%減少しています。

業態による明暗も顕著です。唐揚げ専門店を例に取ると、2020-2021年には月間50店舗以上のペースで新規出店が続きましたが、2023年以降は出店と閉店がほぼ同数という状況になっています。駅前の同じエリアに3店舗が同時期に出店し、1年後には2店舗が閉店するケースも珍しくありません。

一方で、日常食としての弁当や惣菜を扱う業態は比較的安定しており、イートイン型居酒屋よりも早く売上が回復しています。つまり、「テイクアウト市場全体が縮小している」というより、「業態による二極化が進んでいる」と言えます。

結論:テイクアウト需要は2021年のピークからは減少しましたが、コロナ前よりは依然として20%高い水準を維持しています。「一時的なブーム」ではなく、「生活様式の変化」として定着しつつあると考えられます。

※出典:日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」、矢野経済研究所「中食市場に関する調査」

「需要減少リスク」が特に高いテイクアウトFC業態3選

テイクアウト市場全体は堅調でも、参入する業態を間違えると失敗リスクは極めて高くなります。ここでは、特にリスクが高い3つの業態を具体的に解説します。

①唐揚げ・弁当系(低価格帯テイクアウト専門)

最もリスクが高いのが、低価格帯の唐揚げ・弁当専門店です。2020-2021年には「唐揚げFC元年」とも呼ばれるほど出店ラッシュが起きましたが、2023年以降は閉店ラッシュに転じています。

失敗の主な原因は以下の3点です:

  • 差別化が困難:どの店も「揚げたて」「国産鶏肉」など似たようなコンセプトで、商品の違いが分かりにくい
  • 価格競争に巻き込まれやすい:客単価500-800円のため、近隣に競合が出店すると値下げ合戦に
  • 立地依存度が極めて高い:駅から徒歩5分以内でないと集客が難しく、そうした好立地は家賃が高騰

実例:ある地方都市の駅前では、2021年に3つの唐揚げFC店舗が半径200m以内に同時期に出店しました。初月は各店とも月商200万円を超えましたが、1年後には2店舗が閉店。残った1店舗も月商は120万円まで落ち込み、オーナーは「家賃と人件費を払うと手元に残るのは月15万円程度」と話しています。

ただし、全ての唐揚げFCが失敗するわけではありません。後述する「成功店舗の共通点」を押さえた店は、コロナ後も年商3,000万円を維持しています。

②ゴーストレストラン(デリバリー専業)

次にリスクが高いのが、店舗を持たずデリバリーのみで営業するゴーストレストランです。コロナ禍では「低コストで開業できる」と注目されましたが、現在は厳しい状況が続いています。

最大の問題はプラットフォーム依存です。Uber Eatsや出前館といったデリバリーアプリの手数料は売上の35-40%にもなります。これは粗利を大きく圧迫します。

実際のオーナーの声を紹介します:

「月商100万円あっても、プラットフォーム手数料が40万円、食材原価が30万円で粗利は30万円。そこから人件費15万円、家賃10万円、その他経費5万円を引くと、手元に残るのはゼロです。売上は立つのに利益が残らない典型例です」

さらに、プラットフォーム側の規約変更リスクもあります。手数料率の引き上げや、表示アルゴリズムの変更で一気に注文が減るケースも報告されています。自社での集客力がないため、プラットフォームに依存せざるを得ない構造的な弱さがあります。

③スイーツ・デザート系テイクアウト

3つ目がスイーツ・デザート系のテイクアウト専門店です。タピオカブームやマリトッツォブームの教訓が忘れられていないでしょうか?

この業態の主なリスク:

  • 流行に左右されやすい:SNSで話題になって一時的に売れても、半年後には誰も話題にしなくなる
  • リピート率が低い:「一度食べたら満足」という商品特性上、週に何度も購入する客は少ない
  • 廃棄ロスが大きい:原価率は低くても、賞味期限が短く売れ残りが出やすい
  • 季節変動が激しい:夏は行列ができても、冬は1日10杯も売れないというケースも

実際に、2020-2021年に人気だったタピオカ専門店の多くが、2023年には姿を消しています。「流行っている今がチャンス」と飛びついた結果、ブームが去った後に大量の在庫と設備が残るリスクを軽視してしまったのです。

ただし、これも全てが悪いわけではありません。季節ごとに商品を変えたり、スイーツに加えて軽食も提供するなど、複合的に展開している店舗は安定した売上を維持しています。

テイクアウトFCで失敗する3つの典型パターン

業態選び以外にも、テイクアウトFCで失敗する典型的なパターンがあります。ここでは、実際の失敗オーナーの事例を基に3つのパターンを解説します。

パターン①:「コロナ特需」を恒久的需要と誤解

最も多い失敗パターンが、2020-2021年の売上をベースに事業計画を立ててしまうケースです。

あるオーナーは、2021年3月に唐揚げFC店舗を開業しました。開業時のシミュレーションでは、本部から提示された「月商300万円」という数字を基に計画を立てていました。実際、開業後半年間は月商280-320万円で推移し、「このまま順調に行ける」と感じていたそうです。

しかし、2023年に入ると状況が一変します。月商が180万円まで減少したのです。約40%の売上減です。

収支シミュレーション(月商300万円→180万円の場合):

項目 月商300万円時 月商180万円時
売上 300万円 180万円
原価(30%) 90万円 54万円
人件費 80万円 80万円
家賃 30万円 30万円
ロイヤリティ(5%) 15万円 9万円
その他経費 30万円 25万円
営業利益 55万円 -18万円(赤字)

人件費と家賃は売上が減っても固定費として残るため、一気に赤字転落します。このオーナーは結局、開業から2年半で閉店を決断しました。

教訓:本部が提示する売上シミュレーションが「コロナ中の数字」でないか必ず確認し、2024年以降の既存店実績を必ず開示してもらいましょう。

パターン②:デリバリープラットフォーム依存

2つ目の失敗パターンが、自店舗での集客力がないまま、デリバリーアプリに依存してしまうケースです。

あるゴーストレストランのオーナーは、「店舗を持たないから家賃が安い」という点に魅力を感じて開業しました。立地は住宅地の中のシェアキッチンで、家賃は月10万円と確かに安価でした。

しかし、店頭での集客ができないため、売上の90%がUber Eatsと出前館経由になりました。

実際の収支計算(月商100万円の場合):

  • 売上:100万円
  • プラットフォーム手数料(40%):40万円
  • 食材原価(30%):30万円
  • 粗利:30万円
  • 人件費:15万円
  • 家賃:10万円
  • その他経費(梱包材、光熱費など):5万円
  • 営業利益:0円

「売上は立つのに利益が残らない」という状況です。しかも、プラットフォーム側の手数料率引き上げや、表示順位の変動で売上が一気に30%減少するリスクも常にあります。

このオーナーは、「自社のLINE公式アカウントで直接注文を受ける仕組みを作るべきだった」と後悔していました。

教訓:デリバリー売上比率は全体の30%以下に抑え、店頭販売や自社アプリでの集客を並行して行うことが重要です。

パターン③:立地選定の失敗(住宅地vs商業地)

3つ目が、「家賃が安い」という理由だけで住宅地の奥を選んでしまう失敗です。

テイクアウト専門店は、イートイン客を取り込めない分、通行人の目に留まる立地が極めて重要です。しかし、「原価を抑えたい」という思いから、駅から徒歩10分以上の住宅地奥に出店してしまうケースがあります。

あるオーナーは、家賃月15万円の住宅地物件で唐揚げ専門店を開業しました。駅前の物件は月30万円だったため、「家賃を抑えれば利益が出る」と判断したのです。

しかし、実際には:

  • 通行人が少なく、看板を出しても認知されない
  • チラシを配っても「遠い」という理由でリピートされない
  • デリバリーエリア内でも「配達時間が長い」と敬遠される

結果、月商は100万円にも届かず、家賃15万円でも割に合わない状況に陥りました。一方、駅前で家賃30万円を払っている競合店は月商250万円を維持しており、「高い家賃でも売上が立てば結果的に利益は出る」ことを痛感したそうです。

教訓:テイクアウト専門店は「視認性」と「アクセスの良さ」が命です。家賃が高くても、駅から徒歩5分以内、または幹線道路沿いなど人目につく場所を選ぶべきです。

それでも成功しているテイクアウトFCの5つの共通点

ここまでリスクや失敗例を見てきましたが、実際にコロナ後も安定した売上を維持している店舗も多数存在します。成功している店舗には、以下の5つの共通点があります。

①「テイクアウト+α」の複合型ビジネスモデル

最も成功率が高いのが、テイクアウト専業ではなく、小規模でもイートインスペースを設けている店舗です。

ある弁当FC店舗では、売上構成が以下のようになっています:

  • 店頭テイクアウト:60%
  • デリバリー:30%
  • イートイン(カウンター席4席のみ):10%

「たった4席でもイートインがあることで、雨の日でも客足が途切れない」とオーナーは言います。また、イートイン客の30%がテイクアウトもリピート購入しており、「一度店内で食べて気に入った人が、次は持ち帰りで買ってくれる」という好循環が生まれています。

デリバリーも30%に抑えることで、プラットフォーム手数料の負担を軽減しつつ、売上の柱を分散しています。このように「3本柱」でリスクを分散するモデルが、コロナ後の環境変化に強いのです。

②リピート購入される商品ジャンル

成功している店舗の多くは、「日常食」としてリピート購入される商品を扱っています。

例えば、惣菜弁当や定食系のテイクアウト店では、常連客が週3回以上購入するケースが珍しくありません。「今日の夕食」として日常的に利用されるため、売上が安定します。

一方、ハレの日需要(記念日や特別な日)だけに頼る商品は、リピート率が低く売上が不安定になります。誕生日ケーキや特別なスイーツは単価が高い反面、「月に1回買うかどうか」という頻度では固定客を作りにくいのです。

ある惣菜FC店舗では、「週3回以上来店する常連客」が全体の40%を占めています。このリピーター層が売上の65%を支えているため、月ごとの売上変動が少なく経営が安定しています。

ポイント:「特別な日」ではなく「日常的に食べたくなる」商品設計が、長期的な成功の鍵です。

③自社アプリ・LINE連携で固定客化

成功店舗の多くが、デリバリープラットフォーム依存から脱却し、自社での顧客管理を徹底しています。

ある唐揚げFC店舗では、LINE公式アカウントを活用して以下の施策を実施しています:

  • 来店客に「LINE登録で次回50円引き」のクーポン配布
  • 登録者限定で「毎週水曜日は唐揚げ1個増量」などの特典
  • 月に2回、新商品やキャンペーン情報を配信

その結果、LINE登録者数は月間150人に達し、リピーター比率は60%以上を維持しています。デリバリー売上比率も20%に抑えられており、プラットフォーム手数料の負担が軽いのです。

「最初はUber Eatsに頼っていましたが、手数料が重すぎて利益が出ませんでした。LINE公式で直接つながることで、手数料ゼロでリピーターを増やせるようになりました」とオーナーは語っています。

CRM(顧客関係管理)の重要性:一度来店した客を「二度と来ない客」にするのではなく、定期的に情報を届けて思い出してもらう仕組みが、安定経営の土台です。

④商圏内の競合分析を徹底

成功しているオーナーは、出店前に半径500m以内の競合を徹底調査しています。

ある弁当FC店舗のオーナーは、出店前に以下の調査を行いました:

  • 同業態の店舗数と営業時間
  • 各店舗の客単価と混雑時間帯
  • メニュー構成と価格帯
  • デリバリー対応の有無

その結果、「競合が多いエリアだが、夜20時以降に営業している店が少ない」ことを発見。そこで自店舗は夜22時まで営業することで、「帰宅途中に夕食を買いたい会社員」というニッチな需要を取り込むことに成功しました。

また、「競合が全くいない空白地帯」も実はリスクです。空白=需要がない可能性もあるため、「適度に競合がいる=需要が確認されているエリア」を選ぶ方が安全です。

ポイント:競合分析は「避ける」ためではなく、「差別化ポイントを見つける」ために行います。

⑤本部のサポート体制が充実

最後に、本部のサポート体制も成功を左右する重要な要素です。

成功しているFC本部には、以下の特徴があります:

  • メニュー改定の頻度が高い:季節ごとに新商品を投入し、飽きさせない工夫
  • 販促支援が具体的:「チラシを配りましょう」だけでなく、配布タイミングや反響率まで分析
  • 競合対応の相談に乗ってくれる:近隣に競合が出店した際の対策を一緒に考えてくれる
  • 定期的な店舗訪問:本部スタッフが月1回以上店舗を訪問し、改善提案を行う

あるオーナーは、「本部が毎月新商品を開発してくれるので、常連客も飽きずに来店してくれます。また、近隣に競合が出店した際も、本部が価格戦略や販促方法をアドバイスしてくれて助かりました」と話しています。

逆に、サポートが薄い本部では「契約後は放置」というケースもあります。加盟前に、既存オーナーへのヒアリングを必ず行い、実際のサポート内容を確認しましょう。

2024年以降も需要が見込めるテイクアウトFC業態

ここまでの分析を踏まえて、2024年以降も安定した需要が見込める業態を3つ紹介します。

高齢者向け宅配弁当(シニア向け)

最も将来性が高いのが、高齢者向けの宅配弁当です。

日本の65歳以上人口は2024年時点で約3,600万人(全人口の約29%)に達しており、2040年には約3,900万人(約35%)まで増加すると予測されています。高齢化は「確実に起こる未来」であり、人口動態から見て需要が保証されている数少ない業態です。

ビジネスモデルの特徴:

  • 平均客単価:500-700円(1食あたり)
  • 利用頻度:週5-7回(ほぼ毎日)
  • リピート率:80%以上(一度契約すると継続利用が多い)
  • 利益率:粗利25-30%(食材原価率が低め)

ただし、参入障壁も高いです。調理設備は保健所の許可が必要で、栄養士の監修や衛生管理も求められます。また、配達時の高齢者とのコミュニケーション能力も重要です。

既存の成功事例では、「見守りサービス」を付加価値として提供し、家族からの信頼を得ている店舗もあります。単なる食事提供だけでなく、「安否確認」という社会的意義がある点も魅力です。

冷凍食品・ミールキット型

次に注目されているのが、冷凍食品やミールキットを扱うテイクアウトFCです。

この業態の強み:

  • 保存が効くため廃棄ロスが少ない:賞味期限が数ヶ月単位のため、売れ残りリスクが低い
  • サブスクリプションモデルとの相性が良い:「月額5,000円で冷凍弁当10食」など定期購入の仕組みが作りやすい
  • 「まとめ買い」需要:週末に1週間分をまとめて購入する客が多く、客単価が高い(平均3,000-5,000円)

共働き世帯や単身高齢者にとって、「調理の手間を省きたいが外食は高い」というニーズに応える商品です。市場規模も、矢野経済研究所によると2024年時点で約8,000億円、年平均5-7%の成長が見込まれています。

実際の店舗では、「冷凍庫レンタル」サービスを提供し、自宅に冷凍庫がない客でも購入しやすくしている事例もあります。

専門性の高い業態(ヴィーガン、グルテンフリーなど)

3つ目が、ヴィーガンやグルテンフリーなど、専門性の高い業態です。

この業態の特徴:

  • ニッチだがロイヤリティの高い顧客層:アレルギーや宗教的理由、健康志向など「選択肢が少ない」人々にとって貴重な存在
  • 単価が高く利益率確保しやすい:一般的な弁当が500円なのに対し、ヴィーガン弁当は800-1,200円でも売れる
  • 競合が少ないブルーオーシャン戦略:まだ参入企業が少なく、先行者利益を得やすい

ただし、万人向けではない点に注意が必要です。商圏内にターゲット顧客が一定数いるか(都市部であれば可能性が高い)、食材調達ルートが確保できるかなど、事前の市場調査が不可欠です。

ある東京都内のヴィーガンカフェFC店舗では、平均客単価1,200円、月商180万円を維持しており、「競合が少ないため価格競争に巻き込まれず、利益率30%を確保できている」とオーナーは話しています。

注意点:これらの業態も「必ず成功する」わけではありません。立地、商品力、マーケティング力が伴って初めて成果が出ます。

テイクアウトFC選びで必ずチェックすべき5つの質問

本部説明会では、以下の5つの質問を必ず投げかけてください。本部の回答内容と態度で、信頼できる本部かどうかが見極められます。

質問①:「2023年以降の既存店の売上推移を教えてください」

最も重要な質問です。本部が提示する売上モデルが「コロナ中のピーク時」の数字でないか確認します。

NGな回答:

  • 「ほとんどの店舗が右肩上がりです」(具体的な数字がない)
  • 「平均月商は300万円です」(2024年現在のデータか不明)
  • 「資料は出せません」(情報開示に消極的)

望ましい回答:

  • 「2023年の既存店平均月商は220万円、2024年1-6月は210万円です」(具体的な数字と時期を明示)
  • 「ピーク時の2021年からは15%減少していますが、2019年比では依然として130%の水準です」(客観的な分析)
  • 「エリア別・業態別のデータもお見せできます」(透明性が高い)

実際の数字開示を求めることで、本部の誠実さと透明性が測れます。

質問②:「デリバリー売上の比率は何%ですか?」

デリバリー依存度が高すぎる本部は、プラットフォーム手数料の負担が大きく利益が出にくい構造です。

理想的な回答:

  • 「平均30%以下です。店頭販売が主力で、デリバリーは補完的位置づけです」
  • 「自社アプリでの注文比率を高める施策を実施しています」

要注意な回答:

  • 「デリバリーが50%以上です」(プラットフォーム依存度が高すぎる)
  • 「Uber Eatsがメインの売上源です」(手数料負担が重い)

デリバリー比率が50%を超える場合、粗利が圧迫されるリスクが高いと判断してください。

質問③:「撤退した加盟店の理由を教えてください」

これは本部の誠実さを測る試金石です。完璧なFC本部は存在せず、必ず撤退店舗はあります。それを隠さずに答えるかどうかで判断します。

望ましい回答:

  • 「過去3年で5店舗が撤退しています。主な理由は立地選定のミスと、オーナーの運営力不足です」(具体的)
  • 「撤退店舗の分析を行い、現在は出店前の立地審査を厳格化しています」(改善策を提示)

NGな回答:

  • 「撤退した店舗はほとんどありません」(現実的でない)
  • 「オーナーの個人的な事情です」(責任を加盟店に押し付けている)
  • 「その情報は開示できません」(透明性がない)

失敗事例を隠さずに共有し、対策を講じている本部は信頼できます。

質問④:「競合が近隣に出店した場合のサポートは?」

テイクアウト業態は競合過多になりやすいため、競合対応のサポート有無は重要です。

望ましい回答:

  • 「メニュー差別化の提案や、期間限定キャンペーンの実施など、本部が一緒に対策を考えます」
  • 「過去に競合店が出店したエリアでの成功事例を共有します」
  • 「価格競争に巻き込まれない商品開発を継続しています」

要注意な回答:

  • 「それは各オーナーの努力次第です」(丸投げ)
  • 「値下げして対応してください」(価格競争を推奨)

本部が「一緒に戦う姿勢」を見せるかどうかが判断基準です。

質問⑤:「食材原価の変動リスクをどう分担しますか?」

2023年以降、食材価格の高騰が続いています。この原価変動リスクを誰が負担するかは、利益に直結します。

望ましい回答:

  • 「本部が一部を負担し、やむを得ない場合は販売価格への転嫁を協議します」
  • 「仕入れルートの見直しで原価上昇を抑える努力をしています」
  • 「原価率が一定以上になった場合は、本部がロイヤリティを減額する制度があります」

NGな回答:

  • 「原価上昇分は全てオーナー負担です」(リスクを全て転嫁)
  • 「販売価格は勝手に変えられません」(硬直的)

食材価格は今後も変動する可能性が高いため、柔軟な対応ができる本部を選ぶべきです。

補足:これらの質問は「本部が嫌がる質問」かもしれませんが、だからこそ重要です。誠実な本部であれば、真摯に答えてくれるはずです。逆に、質問を避けたり曖昧な回答をする本部は要注意です。

【実例】コロナ後も年商3,000万円を維持する唐揚げFC店オーナーの戦略

ここで、実際にコロナ後も年商3,000万円(月商250万円)を維持している唐揚げFC店オーナーの戦略を紹介します。このオーナーへのインタビューから、成功の再現性を探ります。

立地戦略:住宅地×駅近の「中間地点」を選定

このオーナーが選んだ立地は、駅から徒歩7分、住宅街への入口にあたる場所でした。

「駅前の一等地は家賃が月40万円で手が出ませんでした。でも、住宅地の奥まで行くと通行人がいません。そこで、駅と住宅地の中間地点を選びました。家賃は月25万円で、駅前よりは安いですが、通勤客と主婦層の両方が通る場所です」

この立地の利点:

  • 朝・夕の通勤時間帯は駅への往来客
  • 昼間は住宅街の主婦層が買い物帰りに立ち寄る
  • 家賃が駅前の60%程度で、利益率を確保できる

実際、客層は「通勤客40%、主婦層50%、その他10%」という構成になっており、時間帯ごとに異なる客層を取り込めているのが強みです。

商品戦略:テイクアウト専門でも「店内で揚げたて提供」

このオーナーの店舗は、「待ち時間5分でも揚げたてを提供する」ことを徹底しています。

「多くの唐揚げ店は、作り置きを販売しています。早く提供できる代わりに、冷めた商品になってしまう。うちは注文を受けてから揚げるので5分待ってもらいますが、揚げたてのおいしさが口コミで広がりました」

実際、Googleレビューには「待つ価値がある」「揚げたてが最高」といったコメントが多数寄せられています。

また、冷めた商品は絶対に販売しないという徹底ぶりも特徴です。閉店30分前に揚げた商品が売れ残った場合は、スタッフに持ち帰ってもらうか廃棄します。「利益を削ってでも品質を守ることで、リピーターが増える」という考えです。

販促戦略:LINE公式で「常連客」を月間150人確保

このオーナーは、LINE公式アカウントを活用してリピーター化に成功しています。

具体的な施策:

  • 初回来店時に「LINE登録で次回50円引き」を案内(登録率70%)
  • 月2回、「今週の限定メニュー」を配信(開封率50%)
  • 誕生月には「唐揚げ2個無料クーポン」をプレゼント

その結果、LINE登録者数は月間150人に達し、常連客のリピート率は75%を維持しています。

「最初はUber Eatsに頼っていましたが、手数料40%が重すぎました。今はデリバリー比率を20%に抑え、店頭販売が70%、自社LINEからの注文が10%です。手数料ゼロで直接つながれるのが最大の強みです」

また、常連客の存在が「月ごとの売上の安定」にもつながっています。月商250万円のうち、常連客だけで150万円(60%)を占めているため、新規客が少ない月でも大きく売上が落ち込むことはありません。

年商・利益率の実績:

  • 年商:3,000万円(月商平均250万円)
  • 粗利率:35%(原価率30%+ロイヤリティ5%を差し引いた後)
  • 営業利益率:15%(月間利益約37万円)
  • 客単価:600円
  • 日販客数:平均120人

このオーナーは「再現性」についても語ってくれました:

「誰でも同じようにできるとは言いません。立地選びと、揚げたてへのこだわり、そしてLINEでのコミュニケーションを地道に続けられるかどうかです。派手な成功ではなく、毎日コツコツ積み上げる姿勢が大事だと思います」

※このオーナーへのインタビュー完全版は、YouTube「フランチャイズ探偵団」で公開予定です。

よくある質問(FAQ)

ここでは、読者から寄せられることの多い質問に回答します。

Q1. コロナ前の水準まで需要は戻ると思いますか?

A. 「コロナ中のピーク」まで戻る可能性は低いですが、コロナ前(2019年)比では依然として市場は拡大しています

2021年の市場規模14兆円をベースに考えると「需要減少」に見えますが、2019年の10兆円と比較すれば2024年の12兆円は120%の水準です。重要なのは、「コロナ中のピーク」を基準にしないことです。

また、在宅勤務の定着やライフスタイルの変化により、「外食ではなくテイクアウト」という選択肢が定着しつつあります。一時的なブームではなく、構造的な変化と捉えるべきです。

Q2. デリバリー専門(ゴーストレストラン)はもうやめたほうがいい?

A. 一概には言えませんが、プラットフォーム手数料を考慮すると利益率は厳しいのが現実です。

Uber Eatsや出前館の手数料は35-40%に達するため、食材原価30%と合わせると粗利が30%しか残りません。そこから人件費・家賃・光熱費を引くと、営業利益はほぼゼロになるケースが多いです。

もしゴーストレストラン型で成功したいなら、自社での集客力構築が必須条件になります。具体的には:

  • 自社アプリやLINE公式での直接注文を増やす
  • サブスクリプションモデルで固定客を確保
  • プラットフォーム依存度を30%以下に抑える

これらができない場合は、デリバリー専業は避けた方が無難です。

Q3. テイクアウトFCの初期投資はいくらくらい?

A. 業態により300万円〜1,500万円と幅広いです。

  • 唐揚げ専門店:500万円前後(設備投資が少ない)
  • ピザ専門店:1,000万円以上(ピザ窯などの設備が必要)
  • 弁当・惣菜系:700-900万円(調理設備とショーケース)
  • ゴーストレストラン:300-500万円(店舗を持たないため低コスト)

ただし、初期投資が安いからといって成功率が高いわけではありません。むしろ、参入障壁が低い業態ほど競合が多くなる傾向があります。初期投資額だけでなく、収益性・競合状況・本部サポートを総合的に判断してください。

Q4. 未経験でも成功できますか?

A. 可能ですが、本部のサポート体制と立地選定が成功の鍵です。

調理経験がなくても、FC本部が研修やマニュアルを提供してくれるため、「作る技術」は習得できます。それよりも重要なのは、マーケティング力です。

  • どうやって新規客を集めるか
  • どうやってリピーターを増やすか
  • 競合とどう差別化するか

これらは「調理の腕」ではなく、「経営者としての視点」が必要です。未経験でも、学ぶ姿勢と改善意欲があれば成功可能性は十分あります。

実際、今回紹介した年商3,000万円のオーナーも、開業前は飲食未経験でした。「分からないことは本部に聞き、先輩オーナーに相談し、PDCAを回し続けた」ことが成功の要因だと話しています。

Q5. 今から参入するなら何に注意すべき?

A. 以下の3点に注意してください:

  1. 競合過多の業態を避ける:唐揚げやゴーストレストランなど、すでに飽和状態の業態は慎重に
  2. デリバリー依存しない:プラットフォーム手数料の負担を考え、店頭販売を主力にする
  3. 本部の実績を数字で確認:「右肩上がり」という言葉ではなく、2024年の既存店実績を必ず開示してもらう

また、「コロナ中のピーク」を基準にした事業計画は危険です。2024年以降のリアルな数字をベースにシミュレーションしてください。

まとめ

この記事では、テイクアウトフランチャイズのコロナ後のリスクと、失敗しない選び方について解説しました。重要なポイントを3つにまとめます:

  1. テイクアウト市場は縮小したが、コロナ前より高水準:2024年の市場規模は約12兆円で、2019年比120%。ただし2021年のピーク(14兆円)からは減少しているため、「コロナ特需」を基準にしないことが重要です。
  2. 失敗する業態・パターンは明確:唐揚げ・ゴーストレストラン・スイーツ系はリスクが高く、「コロナ特需の誤解」「デリバリー依存」「立地選定ミス」という3つの失敗パターンを避ける必要があります。
  3. 成功店舗の共通点は再現可能:「テイクアウト+α」の複合型、リピート設計、LINE活用、競合分析、本部サポートという5つの要素が成功の鍵。実際に年商3,000万円を維持する店舗も、これらを実践しています。

テイクアウトフランチャイズは、「コロナ特需」に踊らされず、持続可能なビジネスモデルかを見極めることが最重要です。本部説明会では、必ず「厳しい質問」をして本部の本気度を測ってください。誠実に答えてくれる本部であれば、信頼してパートナーシップを結ぶ価値があります。

また、YouTube「フランチャイズ探偵団」では、実際のテイクアウトFC本部への取材動画や、成功・失敗オーナーのインタビューを公開しています。記事だけでは伝えきれないリアルな情報もありますので、ぜひご覧ください。

フランチャイズ選びは「一生を左右する判断」です。焦らず、じっくりと情報を集め、納得のいく選択をしてください。他の飲食FC関連記事も参考にしながら、あなたに最適な業態を見つけていただければ幸いです。

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