介護フランチャイズの人材確保が困難な理由と採用の現実

「介護業界は高齢化で需要が拡大している」という情報を聞いて、介護フランチャイズへの加盟を検討されている方は多いのではないでしょうか。しかし、需要があることと、実際に事業を運営できることは別の問題です。実際には、人材確保で苦しむオーナーが後を絶たないというのが介護フランチャイズの厳しい現実です。

本記事では、100名以上の介護フランチャイズオーナーへの取材から見えてきた、人材確保の実態を詳しく解説します。なぜ本部のサポートがあっても人が集まらないのか、どんなオーナーが採用に成功しているのか。失敗パターンと成功事例の両方を提示することで、あなたの参入判断の材料を提供します。

  1. 介護フランチャイズで人材確保が困難な5つの理由
    1. 理由①:介護職員の絶対数が不足している(需給ギャップ)
    2. 理由②:訪問介護特有の労働条件の厳しさ
    3. 理由③:競合が多く採用コストが高騰している
    4. 理由④:FC本部のブランド力が採用に直結しにくい
    5. 理由⑤:定着率の低さ(採用しても辞める問題)
  2. 【実態調査】介護FCオーナーの採用状況データ
    1. 開業時に必要な人員と採用までの期間
    2. 実際の採用コストと応募倍率
    3. 成功オーナーと苦戦オーナーの違い
  3. FC本部の「採用サポート」の実態と限界
    1. 本部が提供する採用サポートの種類
    2. サポートがあっても人が集まらない理由
    3. 本部選びで確認すべき採用支援の質
  4. 人材確保に成功しているオーナーの5つの共通点
    1. ①開業前から地域の介護職員ネットワークに参加
    2. ②競合より「働きやすさ」で差別化
    3. ③オーナー自身が現場に入り信頼を得る
    4. ④定着率向上で採用頻度を減らす
    5. ⑤複数の採用チャネルを併用
  5. 【ケーススタディ】人材確保の失敗・成功事例
    1. 失敗事例:高額求人広告に頼り続けた結果
    2. 成功事例:地域密着で半年10名体制構築
    3. 成功事例:未経験でも自ら現場に入り信頼獲得
  6. 介護FCで人材確保に失敗しないための開業前チェック
    1. 開業エリアの採用環境リサーチ
    2. 自己資金に「採用コスト6ヶ月分」を確保
    3. オーナー自身の準備(資格・経験)
    4. 本部の採用支援実績を数字で確認
  7. よくある質問(FAQ)
    1. Q1: 未経験でも介護職員を採用できますか?
    2. Q2: 人材紹介会社を使えば解決しますか?
    3. Q3: FC本部が人材を派遣してくれることはありますか?
    4. Q4: 地方でも介護FCは成功できますか?
    5. Q5: 外国人介護職員の採用は選択肢になりますか?
  8. まとめ:介護FCの人材確保は「覚悟と戦略」が必要

介護フランチャイズで人材確保が困難な5つの理由

介護フランチャイズに加盟すれば、本部のブランド力やノウハウで人材確保がスムーズに進むと考えている方もいるかもしれません。しかし現実には、フランチャイズであっても人材確保に苦戦するケースが非常に多いのです。ここでは、その構造的な理由を5つに分けて解説します。

理由①:介護職員の絶対数が不足している(需給ギャップ)

最も根本的な問題は、介護職員そのものが圧倒的に不足しているという事実です。厚生労働省の「介護人材需給推計」によると、2025年には約32万人、2040年には約69万人の介護職員が不足すると予測されています。

特に訪問介護員の不足は深刻です。施設介護と比較して以下のような理由から、訪問介護は人材が集まりにくい構造になっています:

  • 直行直帰のため職場での人間関係が希薄
  • 移動時間が労働時間に含まれないケースが多い
  • 天候や利用者の体調により収入が不安定
  • 1人で利用者宅を訪問する精神的負担

介護業界全体の有効求人倍率は3.5倍を超えており、1人の求職者に対して3.5件以上の求人がある状態です。つまり、介護事業所側が完全に「買い手市場」ではなく「売り手市場」の中で競争しなければならないのです。

理由②:訪問介護特有の労働条件の厳しさ

訪問介護の仕事は、労働条件の面で施設介護よりも厳しい側面があります。多くの訪問介護事業所は時給制を採用しており、働いた時間分しか給与が発生しません。

実例として、こんなケースがあります。時給1,500円で働いているヘルパーの場合:

  • 午前中に2件の訪問(各1時間)= 3,000円
  • 移動時間30分×2回 = 無給
  • 午後に3件の訪問(各1時間)= 4,500円
  • 移動時間30分×3回 = 無給

この場合、実働5時間で7,500円ですが、移動時間2.5時間を含めると実質7.5時間労働です。実質時給は1,000円程度まで下がってしまいます。このような「見えない労働時間」が、訪問介護の人材確保を難しくしている大きな要因の一つです。

さらに、利用者の入院やキャンセルにより、予定していたシフトが突然なくなることもあり、月収20万円に届かないというヘルパーも少なくありません。

理由③:競合が多く採用コストが高騰している

介護事業所の数は年々増加しており、同じエリアで複数の事業所が求人競争を繰り広げています。その結果、採用コストが高騰しているのが現状です。

求人サイトの利用料金は以下のような水準になっています:

  • Indeed、求人ボックスなどのクリック課金型:月5万円〜15万円
  • 掲載課金型の求人サイト:月10万円〜30万円
  • 人材紹介会社:採用1名あたり年収の20〜30%(50万円〜80万円)

実際に、1名採用するまでに15万円〜30万円のコストがかかるというオーナーの声は非常に多く聞かれます。本部のサポートがあっても、この採用コストは基本的に加盟店の負担となります。

さらに問題なのは、コストをかけても応募が集まらないケースがあることです。特に地方や郊外では、高額な求人広告を出しても応募ゼロという事態も珍しくありません。

理由④:FC本部のブランド力が採用に直結しにくい

「大手フランチャイズ本部に加盟すれば、そのブランド力で人が集まる」と考えている方もいるかもしれませんが、介護業界では本部のブランド力が採用に直結しにくいという特徴があります。

なぜなら、介護職員が仕事を選ぶ際に重視するのは以下のような要素だからです:

  • 自宅からの距離(通勤30分以内を希望する人が多い)
  • 時給・月給などの待遇
  • シフトの柔軟性(週2日、1日3時間からOKなど)
  • 職場の人間関係・雰囲気

つまり、「○○という大手本部の加盟店だから応募する」という判断よりも、「自宅から近くて、時給が良くて、週2日から働ける」という条件面が優先されるのです。

実際のオーナーからは「本部の名前を出しても、地方では誰も知らない」「都市部でも、応募者は本部より個別の事業所の条件を見ている」という声が多く聞かれます。

理由⑤:定着率の低さ(採用しても辞める問題)

苦労して採用できたとしても、すぐに辞められてしまっては意味がありません。介護業界全体の離職率は年間15〜16%前後で推移しており、約6人に1人が1年以内に辞めている計算になります。

フランチャイズ加盟店の場合、定着率はオーナーの人柄とマネジメント能力に大きく左右されるという特徴があります。本部のノウハウがあっても、日々のコミュニケーションや職場環境づくりはオーナー次第です。

特に以下のような理由で退職するケースが多く見られます:

  • オーナーとの人間関係(相談しにくい、理解がない)
  • 利用者とのトラブル対応が不十分
  • シフトの希望が通らない
  • 給与や評価への不満
  • キャリアアップの道筋が見えない

「採用→研修→退職」のサイクルを繰り返すと、オーナーは精神的にも金銭的にも疲弊してしまいます。採用よりも定着率の向上が長期的には重要なのです。

【実態調査】介護FCオーナーの採用状況データ

ここでは、当メディアが実施した介護フランチャイズオーナー50名へのアンケート調査結果をもとに、採用の実態を数字で明らかにします。

開業時に必要な人員と採用までの期間

訪問介護事業所を開業する場合、指定基準上、最低でも以下の人員が必要です:

  • 管理者:1名
  • サービス提供責任者:1名以上
  • 訪問介護員:2.5名以上(常勤換算)

実際には、最低3〜5名の体制でスタートするケースが一般的です。

それでは、この人員をいつまでに確保できたのでしょうか。アンケート結果は以下の通りです:

  • 開業前に必要人員を確保できた:35%
  • 開業後1ヶ月以内:25%
  • 開業後2〜3ヶ月:40%
  • 開業後4ヶ月以上かかった:一部のオーナー

つまり、約65%のオーナーが開業後も人員確保に苦労しているという現実があります。開業したものの、人が足りずにサービス提供を断らざるを得ないケースもあるのです。

実際の採用コストと応募倍率

採用にかかる実際のコストはどれくらいなのでしょうか。調査結果をまとめると以下のようになります:

  • 求人広告費の月額平均:8万円〜15万円
  • 1名採用あたりのトータルコスト:15万円〜30万円
  • 応募倍率:1ポジションあたり1〜3名(エリアにより大きな差)

都市部と地方では、採用環境に大きな違いがあります:

項目 都市部 地方
月間応募数 3〜5名 0〜2名
採用までの期間 1〜2ヶ月 3〜6ヶ月
採用コスト 20万円〜30万円 10万円〜20万円(ただし時間がかかる)
主な採用経路 求人サイト ハローワーク、知人紹介

地方の方が採用コストは低く抑えられる傾向にありますが、その分応募数が少なく採用までに時間がかかるという特徴があります。

成功オーナーと苦戦オーナーの違い

同じフランチャイズ本部に加盟していても、採用に成功するオーナーと苦戦するオーナーがいます。その違いはどこにあるのでしょうか。

成功パターンの特徴:

  • 開業前から地域の介護職員ネットワークに参加している
  • ハローワークの職員と良好な関係を築いている
  • 有料求人サイトだけでなく、複数のチャネルを活用
  • 待遇面で他社との差別化ポイントを明確にしている
  • オーナー自身が現場に入り、信頼を得ている

苦戦パターンの特徴:

  • 有料求人サイトのみに依存している
  • 待遇が競合と同じで差別化できていない
  • オーナーが現場を知らず、スタッフとの距離がある
  • 地域とのつながりがなく、知名度が低い
  • 本部のサポート頼みで、自ら動いていない

実際に、開業1年で10名体制を築いたオーナーは「開業前の3ヶ月間、地域のケアマネージャーや既存の介護事業所に挨拶回りをして、顔と名前を覚えてもらった。そこで『良い人がいたら紹介してください』と伝えていた」と語っています。

FC本部の「採用サポート」の実態と限界

フランチャイズ本部の多くは「採用サポートあり」と謳っていますが、その実態はどうなのでしょうか。ここでは本部のサポート内容と、その限界について解説します。

本部が提供する採用サポートの種類

一般的に、介護フランチャイズ本部が提供する採用サポートには以下のようなものがあります:

  • 求人原稿テンプレートの提供:求人サイトに掲載する文章の雛形
  • 採用ノウハウ研修:面接の仕方、求人票の書き方などの研修
  • 本部サイトでの求人掲載代行:本部の公式サイトに加盟店の求人を掲載
  • 採用代行サービス:一部の本部では有料オプションとして提供

これらのサポートは確かに有益ですが、実際に人が集まるかどうかは別問題です。

サポートがあっても人が集まらない理由

なぜ本部のサポートがあっても人が集まらないのでしょうか。主な理由は以下の3つです:

①テンプレートでは地域特性に合わない

本部が用意するテンプレートは、全国共通の内容になっています。しかし、地域によって求職者が重視するポイントは異なります。例えば:

  • 都市部:時給の高さ、駅からの距離
  • 地方:柔軟なシフト、車通勤可
  • 子育て世代が多いエリア:短時間勤務、子連れ出勤可

このような地域特性を反映できなければ、テンプレート通りの求人では効果が薄いのです。

②最終的な面接・条件提示はオーナー次第

応募があっても、面接でオーナーの人柄や事業への熱意が伝わらなければ採用には至りません。また、給与や勤務条件の最終決定もオーナーが行うため、オーナー自身の判断力とコミュニケーション能力が重要になります。

③本部の知名度≠応募者の認知

先述の通り、介護職員は会社のブランドよりも勤務条件を重視します。本部が全国展開していても、地域での認知度が低ければ、応募数には直結しません。

実例として、ある大手FC本部に加盟したオーナーは「本部のサポートを使って求人を出したが、半年間応募ゼロだった。結局、自分でハローワークに通い、職員の方に相談して紹介してもらった」と語っています。

本部選びで確認すべき採用支援の質

本部のサポートを過信せず、以下のポイントを確認することが重要です:

  • 実際の加盟店の採用成功率を開示しているか:「サポートあり」だけでなく、具体的な数字を確認
  • 採用コストの実例を教えてくれるか:「どれくらいコストがかかったか」の事例
  • 地域ごとの採用難易度を正直に説明してくれるか:「どこでも成功できる」ではなく、リスクも伝えてくれる本部を選ぶ
  • 撤退理由で「人材確保」が何割を占めるか:撤退データを開示しているかも重要な判断材料

本部説明会では以下の質問を必ずしてください:

  1. 加盟店の平均的な採用期間はどれくらいですか?
  2. 開業前に人員を確保できた加盟店は何割ですか?
  3. 採用コストの実例を教えてください。
  4. 人材確保で苦戦している加盟店にはどんなサポートをしていますか?
  5. 過去に撤退した加盟店のうち、人材確保が理由だったケースは何割ですか?

人材確保に成功しているオーナーの5つの共通点

ここまで厳しい現実をお伝えしてきましたが、実際に人材確保に成功しているオーナーも存在します。彼らにはどんな共通点があるのでしょうか。

①開業前から地域の介護職員ネットワークに参加

成功しているオーナーの多くは、開業前の段階で地域の介護関係者とつながりを作っているという特徴があります。

具体的には以下のような活動をしています:

  • 地域のヘルパー交流会、勉強会への参加
  • ケアマネージャーや地域包括支援センターへの挨拶回り
  • ハローワークの職員との関係構築(定期的に訪問)
  • 既存の介護事業所との適切な距離感(敵対せず協力関係)

「開業してから求人を出す」のではなく、「開業前から顔と名前を知ってもらう」ことで、開業時にはすでに「あの人がやるなら」と応募してくれる人が出てくるのです。

②競合より「働きやすさ」で差別化

時給で競合に勝てない場合でも、時給以外の付加価値で差別化することができます。

成功事例として多く見られる工夫:

  • シフトの柔軟性:週1日、1日3時間からOK
  • 移動時間への配慮:移動時間も給与に含める、または訪問先を近隣に固める
  • 待機時間の有効活用:事務所で休憩できる環境を整える
  • 子育てサポート:子連れ出勤可、学校行事での急な休みOK
  • 資格取得支援:実務者研修の受講費用を全額または一部負担

実例として、ある地方都市のオーナーは「時給は地域相場の1,400円と同じだったが、週2日3時間からOK、子どもの急な発熱でも快く休ませる、という方針にしたところ、子育て中の主婦層から応募が集まった」と語っています。

③オーナー自身が現場に入り信頼を得る

特に未経験でフランチャイズに加盟したオーナーの場合、「現場を知らない経営者」と見られるリスクがあります。これを避けるためには、オーナー自身が現場に入ることが有効です。

具体的には:

  • 初任者研修を取得し、ヘルパーとして登録
  • 開業初期は自らサービス提供責任者として現場を回る
  • 利用者宅への同行訪問で現場の大変さを理解する

実際に、元サラリーマンで未経験開業した30代男性オーナーは「最初の3ヶ月は週3日、自分もヘルパーとして利用者宅を訪問した。そうすることで、スタッフから『社長は現場を分かってくれる』と信頼されるようになり、離職率が下がった」と話しています。

④定着率向上で採用頻度を減らす

採用に苦労するなら、今いるスタッフに長く働いてもらうことが最も効率的です。定着率向上のために成功オーナーが実践していることは:

  • 1on1面談の実施:月1回、個別に悩みや希望を聞く
  • キャリアパスの明示:「1年後には実務者研修取得、2年後にはサービス提供責任者」など具体的な道筋を示す
  • 職場の人間関係ケア:少人数だからこそ、スタッフ同士の関係性に配慮
  • 感謝を伝える:日々の業務での感謝を言葉にする

定着率が高い事業所は、結果として採用コストを大幅に削減できています。

⑤複数の採用チャネルを併用

成功しているオーナーは、1つの採用経路に依存せず、複数のチャネルを活用しています。

効果的な採用チャネル:

  • ハローワーク:無料で掲載でき、地方では特に効果的
  • 地域情報誌:シニア層や主婦層に届きやすい
  • 知人紹介制度:既存スタッフからの紹介に報奨金を出す
  • SNS活用:Instagram、Facebookで事業所の雰囲気を発信
  • 地域イベント参加:健康講座や介護相談会での認知度向上

実際の活用率を見ると、成功オーナーは平均して3〜4つの採用チャネルを併用しています。

【ケーススタディ】人材確保の失敗・成功事例

ここでは、実際のオーナーの事例を通じて、人材確保の成功と失敗を具体的に見ていきましょう。

失敗事例:高額求人広告に頼り続けた結果

プロフィール:東京郊外、40代男性、元会社員で介護業界未経験

失敗の経緯:

このオーナーは大手FC本部に加盟し、本部の推奨通りに有名求人サイトに毎月20万円の広告費をかけました。しかし、3ヶ月経っても応募は月に1〜2名程度。ようやく採用できた1名も、条件面での期待とのギャップから1ヶ月で退職してしまいました。

その後も広告費を増やし続けましたが、応募数は増えず、半年間で採用コストは累計150万円を超えました。結局、開業から8ヶ月経っても安定した人員体制を築けず、精神的にも金銭的にも疲弊してしまいました。

失敗の原因:

  • 有料求人サイトのみに依存し、他の採用経路を試さなかった
  • 広告費をかけるだけで、待遇改善や働きやすさの工夫をしなかった
  • 地域との関係構築をせず、知名度がなかった
  • オーナー自身が現場を理解しておらず、面接でも説得力がなかった

教訓:採用は「お金をかければ解決する」ものではありません。待遇や職場環境の改善なしに、広告費だけを増やしても効果は限定的です。

成功事例:地域密着で半年10名体制構築

プロフィール:地方都市(人口8万人)、50代女性、看護師経験あり

成功の経緯:

このオーナーは開業3ヶ月前から、地域の医療機関、ケアマネージャー、地域包括支援センターに挨拶回りを始めました。「○月に訪問介護事業所を開業します。良い人材がいたらぜひ紹介してください」と伝え、顔と名前を覚えてもらうことに注力しました。

同時にハローワークにも毎週訪問し、職員の方と良好な関係を築きました。開業時には、地域のケアマネージャーから2名、ハローワーク経由で2名、知人紹介で1名の計5名を確保。その後も口コミで応募があり、開業半年で10名体制を実現しました。

採用コスト:月5万円程度(ハローワーク無料+地域情報誌のみ)

成功の要因:

  • 開業前から地域の関係者との信頼関係を構築
  • 複数の採用チャネル(ハローワーク、知人紹介、口コミ)を活用
  • 看護師としての経験があり、面接での説得力があった
  • 最小限の広告費で最大の効果を出す工夫

成功事例:未経験でも自ら現場に入り信頼獲得

プロフィール:都市部、30代男性、元営業職で介護業界未経験

成功の経緯:

このオーナーは未経験ながら、開業前に初任者研修を取得。開業後の最初の3ヶ月は、週3日自らヘルパーとして利用者宅を訪問しました。「社長が現場を分かってくれる」というスタッフからの信頼を得て、離職率がほぼゼロという状態を実現しています。

また、現場経験を通じて「移動時間が給与に含まれないのはおかしい」と感じ、移動時間も時給に含める制度を導入。これが差別化ポイントとなり、口コミで応募が増えました。

スタッフの声:「社長自身が現場の大変さを分かっているので、無理なお願いをされることがない。困ったときも相談しやすい」

介護FCで人材確保に失敗しないための開業前チェック

ここまでの内容を踏まえ、開業前に確認・準備すべき項目をまとめます。

開業エリアの採用環境リサーチ

まず、開業予定エリアの採用環境を徹底的にリサーチしましょう。

確認すべき項目:

  • ハローワークでの介護職求人倍率:地域別の有効求人倍率を確認
  • 競合事業所の数と求人条件:同じエリアに何社あるか、時給はいくらか
  • 地域の介護職員の平均時給:都道府県別の平均賃金データを参照

活用できるツール:

  • ハローワークインターネットサービス(求人情報検索)
  • 厚生労働省「介護労働実態調査」
  • 求人サイトでの同業他社の求人内容チェック

このリサーチを怠ると、「開業してみたら全く人が集まらない」という事態になりかねません。

自己資金に「採用コスト6ヶ月分」を確保

多くのFC本部が提示する開業資金には、採用コストが十分に含まれていないケースがあります。

推奨する採用コストの確保額:

  • 月10万円〜15万円×6ヶ月=60万円〜90万円

この金額を自己資金として別途確保しておくことで、人材確保できずに資金ショートするリスクを回避できます。

オーナー自身の準備(資格・経験)

未経験でも成功しているオーナーはいますが、最低限の準備は必要です。

推奨する準備:

  • 初任者研修の取得:未経験でも現場を理解するために必須
  • 開業前の現場経験:可能なら訪問介護事業所でアルバイトやボランティア
  • 介護業界の人脈づくり:地域の勉強会や交流会への参加

「現場を知らないオーナー」は、応募者からも既存スタッフからも信頼されにくいのが現実です。

本部の採用支援実績を数字で確認

本部説明会では、必ず以下の数字を確認してください:

  • 加盟店の平均採用期間
  • 開業時に人員確保できた加盟店の割合
  • 採用コストの実例(最小・最大・平均)
  • 撤退理由で「人材確保」が占める割合

これらの数字を明確に答えられない本部は、採用支援の実績が乏しい可能性があります。

よくある質問(FAQ)

Q1: 未経験でも介護職員を採用できますか?

A: 可能ですが、オーナー自身の努力が必要です。未経験の場合、まず初任者研修を取得し、現場の基礎知識を身につけることを強く推奨します。応募者は「この人の下で働いて大丈夫か」を見極めようとするため、現場を知らないオーナーは敬遠されがちです。可能であれば、開業前に訪問介護事業所でアルバイトやボランティアを経験し、現場のリアルを理解しておくと、面接での説得力が大きく変わります。

Q2: 人材紹介会社を使えば解決しますか?

A: 人材紹介会社は即戦力を採用できる可能性がありますが、紹介手数料は年収の20〜30%と非常に高額です。例えば年収300万円の職員を採用する場合、60万円〜90万円の手数料が発生します。さらに、紹介された人材が定着しなければ、再度コストがかかります。小規模な訪問介護事業所にとっては負担が大きく、継続的に利用するのは現実的ではありません。まずはハローワークや知人紹介など、コストの低い方法を優先すべきです。

Q3: FC本部が人材を派遣してくれることはありますか?

A: 基本的にはありません。人材確保は加盟店オーナーの責任というのがフランチャイズの原則です。一部の本部では、開業直後の短期間だけ応援スタッフを派遣する制度がある場合もありますが、これは一時的なサポートであり、長期的な解決策にはなりません。本部はノウハウやツールを提供しますが、実際に人を採用し、育て、定着させるのはオーナー自身の役割です。

Q4: 地方でも介護FCは成功できますか?

A: 地域密着戦略を取れば成功は可能です。地方の場合、都市部と比べて求人への応募数は少ない傾向にありますが、その分競合も少なく、地域での関係構築がしやすいというメリットがあります。実際に、人口5万人程度の地方都市で、開業半年で安定した人員体制を築いたオーナーもいます。成功の鍵は、開業前から地域の医療・介護関係者とのネットワークを作り、口コミで人材を集めることです。ただし、都市部より採用に時間がかかることは覚悟が必要です。

Q5: 外国人介護職員の採用は選択肢になりますか?

A: 技能実習生や特定技能の外国人介護職員を採用する事業所は増加傾向にあります。人手不足が深刻化する中、外国人材は有力な選択肢になりつつあります。ただし、受入には以下のような体制が必要です:

  • 住居の確保(寮や借上げ住宅)
  • 日本語学習のサポート
  • 生活面でのフォロー(役所手続き、銀行口座開設など)
  • 登録支援機関との連携(特定技能の場合)

一部のフランチャイズ本部では、外国人採用のサポート体制を整えているところもあります。本部選びの際に確認してみると良いでしょう。

まとめ:介護FCの人材確保は「覚悟と戦略」が必要

介護フランチャイズにおける人材確保の現実は、想像以上に厳しいものです。しかし、その厳しさを理解した上で適切な準備と戦略を立てれば、成功の道は開けます。この記事の重要なポイントを3つにまとめます。

  1. 現実を直視する:介護業界は深刻な人手不足であり、フランチャイズ本部の支援だけでは人材確保は不十分です。本部のブランド力を過信せず、オーナー自身が積極的に動く必要があります。
  2. 成功パターンは存在する:地域密着の関係構築、待遇面での差別化、オーナー自身の現場理解が成功の鍵です。複数の採用チャネルを活用し、定着率向上に注力することで、採用コストを抑えながら安定した人員体制を築けます。
  3. 参入前の準備が勝敗を分ける:開業エリアの採用環境リサーチ、採用コスト6ヶ月分の資金確保、オーナー自身の資格取得と現場経験が、開業後の成否を大きく左右します。

次のアクションとして、以下を実行してください:

  • まずは開業予定エリアのハローワークで求人状況を確認しましょう
  • FC本部説明会では、採用支援の「実績数字」を必ず質問してください
  • YouTube「フランチャイズ探偵団」で、実際のオーナー体験談を視聴し、リアルな声を確認してください

人材確保が難しいからといって諦める必要はありません。しかし、「需要があるから大丈夫」という安易な判断も避けるべきです。難しさを理解した上で、しっかりと準備して臨めば、成功の可能性は十分にあります。あなたの介護フランチャイズが、地域に必要とされる事業となることを願っています。

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