「フランチャイズ本部の説明では、未経験でも安心して塾経営ができると言われた。でも本当にそうなのだろうか?」学習塾フランチャイズへの参入を検討している方の多くが、こうした不安を抱えているのではないでしょうか。
実は学習塾フランチャイズ業界では、開業から3年以内に約30パーセントの加盟店が撤退または経営困難に陥っているという調査データがあります。本部が提示する収益シミュレーションと現実のギャップ、想定外のコストや労働時間、生徒が集まらない苦悩など、開業後に「こんなはずじゃなかった」と後悔するオーナーは少なくありません。
本記事では、YouTube「フランチャイズ探偵団」で取材した元塾長3名のインタビューを基に、表には出ない後悔ポイントを徹底解説します。教育業界経験者やFC本部担当者への取材を含む一次情報から、開業前に潰しておくべきリスクを明確にします。この記事を読めば、後悔しない判断ができるようになるはずです。
学習塾フランチャイズで後悔した人の5つの共通パターン
学習塾フランチャイズで後悔したオーナーたちには、明確な共通パターンが存在します。まずは全体像を把握し、あなた自身が同じ轍を踏まないかチェックしてみてください。
パターン1:生徒が集まらない地獄に陥る
最も多い後悔パターンが、想定していた生徒数が全く集まらないというケースです。FC本部は「開校3ヶ月で生徒30名」といった収益シミュレーションを提示しますが、実際には半年経っても10名に満たないことも珍しくありません。
原因は立地選定や商圏分析の甘さにあります。駅から近いというだけで物件を選んだものの、実は競合塾が密集しているエリアだった、商圏内の小中学生人口を正確に把握していなかった、といった基本的なミスが致命傷となります。またFC本部の集客支援に過度に期待していたものの、実際にはチラシのテンプレートが提供されるだけで、実働は全て加盟店任せだったという声も頻繁に聞かれます。
パターン2:想定外のコストで収支が合わない
ロイヤリティ以外にも、想定していなかったコストが次々と発生して収支計画が崩壊するパターンです。具体的には以下のようなコストが重くのしかかります。
- 教材費:本部指定の教材を使用するため割高になりがち
- 広告宣伝費:生徒を集めるために毎月10万円から20万円が必要
- システム利用料:生徒管理システムやオンライン授業システムで月額3万円から5万円
- 講師の人件費:地域の相場より高い時給を設定しないと優秀な講師が集まらない
さらに家賃や光熱費といった固定費は、生徒が少ない時期でも容赦なく発生します。月商50万円でも固定費とロイヤリティで45万円消えるというケースもあり、オーナーの手取りがゼロまたはマイナスという状況が長期間続きます。
パターン3:講師採用と育成が予想以上に困難
教育ノウハウは本部から提供されても、講師を採用して育成するのは別のスキルです。特に地方では大学生講師の確保が非常に困難で、募集をかけても応募がゼロということも珍しくありません。
何とか採用できても、講師の質がばらつく、研修に時間がかかる、すぐに辞めてしまうといった問題に直面します。業界の講師離職率は年間30パーセント以上と言われており、常に採用活動を続けなければならない疲弊感は想像以上です。優秀な講師を確保している競合塾との差が生徒獲得にも影響し、悪循環に陥ります。
パターン4:本部との関係でストレスを抱える
開業前は「本部が全面的にサポートしてくれる」と期待していたものの、実際には以下のような不満が蓄積していきます。
- 本部の方針変更:教材や料金体系の変更を一方的に通達され、対応に追われる
- サポートの質:スーパーバイザーの訪問は年に数回程度で、実質的な支援が少ない
- ロイヤリティの重さ:支払っている金額に見合う価値を感じられない
- 契約上の制約:独自の施策を打ちたくても本部の承認が必要で自由度が低い
当初思い描いていた「本部のブランド力と自分の努力で成功する」というイメージと、実際の本部との関係性のギャップに苦しむオーナーは多いのです。
パターン5:想像以上の労働時間で燃え尽きる
「独立して自由な時間を手に入れる」という期待は、開業後すぐに打ち砕かれます。実際には以下の業務を全てこなす必要があります。
- 教室運営(授業準備、教材発注、清掃)
- 生徒対応(学習相談、進路指導)
- 保護者対応(面談、クレーム処理、電話対応)
- 講師管理(シフト作成、研修、評価)
- 営業活動(チラシ配り、学校訪問、体験授業)
- 経理業務(帳簿、請求、資金繰り)
YouTubeのインタビューで元塾長Aさんは「初年度は週80時間働いた。家族との時間は全く取れなかった」と証言しています。サラリーマン時代の方がよほど楽だったと後悔する声は非常に多いのです。
未経験から開業して後悔したオーナー3名の告白
ここからは具体的な失敗事例を通じて、後悔のリアリティを感じていただきます。それぞれ異なるバックグラウンドを持つ3名のオーナーの経験から学びましょう。
事例1:元営業マンBさん(40代)のケース「集客力の過信」
Bさんは大手企業で15年間営業職として活躍してきた実績があり、「営業スキルがあれば生徒集めは得意分野だ」と自信満々で学習塾フランチャイズを開業しました。初期投資は800万円、都市部の駅前という好立地を選びました。
しかし開業後、Bさんは大きな壁に直面します。BtoBの法人営業スキルは、保護者への個別営業には全く通用しなかったのです。企業相手なら論理的なプレゼンテーションで契約を取れましたが、保護者が求めているのは論理ではなく「この先生なら子どもを任せられる」という安心感でした。
FC本部の集客マニュアル通りにチラシを配布し、ホームページを作成し、体験授業を実施しましたが、思うように効果が出ません。地域のケアマネジャーや学校の先生との人脈もなく、口コミも広がりませんでした。開業から1年が経過しても生徒数は15名にとどまり、月商は60万円程度。固定費とロイヤリティを支払うと赤字が続きます。
2年目に入ってもう状況は改善せず、累積赤字は500万円を超えました。Bさんは「営業力があれば何とかなると思っていたが、地域密着型のビジネスは全く別物だった」と語ります。結局2年で閉校し、初期投資800万円と運転資金300万円が回収できませんでした。
事例2:元教員Cさん(30代)のケース「教育と経営は別物」
公立中学校で5年間教師として働いていたCさんは、「もっと一人ひとりの生徒に向き合いたい」という教育への情熱から、学習塾フランチャイズを開業しました。教えるスキルには自信があり、「良い授業をすれば自然と生徒は集まる」と考えていました。
実際、Cさんの授業は非常に評判が良く、体験授業を受けた生徒や保護者からは高い評価を得られました。しかし問題は、そもそも体験授業まで来てもらえないという点でした。マーケティング、集客、経営数字の管理といった経営者としてのスキルがCさんには不足していたのです。
損益分岐点が生徒何名なのか、広告費にいくら投資すべきか、どの媒体が効果的か、といった経営判断ができず、行き当たりばったりの運営になってしまいました。「教える」ことに時間を使いすぎて、「集める」「管理する」という経営者の仕事が疎かになっていたのです。
3年間で累積赤字は600万円に達し、Cさんは撤退を決断しました。「教育の情熱だけでは経営は成り立たない。数字を見る力、マーケティングの知識が絶対に必要だった」という反省を語っています。
事例3:主婦Dさん(50代)のケース「時間的自由の幻想」
子育てが一段落したDさんは、「自宅近くで自由な時間に働ける」と考えて学習塾フランチャイズを開業しました。パートタイムで働くよりも収入が増え、やりがいもあると期待していました。
しかし開校後、Dさんの生活は一変します。朝から晩まで対応に追われ、休日もほとんどないという状況に陥りました。生徒や保護者からの問い合わせは夜10時過ぎにも入り、講師の急な欠勤には自ら授業に入らなければなりません。体験授業の対応、クレーム処理、成績不振の生徒への個別フォローなど、やることは山積みでした。
精神的なストレスも大きく、保護者からの「成績が上がらない」というクレームに対応するたびに疲弊していきました。家族との時間も取れず、夫からは「いつまで続けるのか」と心配される始末です。
1年半が経過した時点で、Dさんは心身ともに限界を感じました。「パートの方がよほど気楽だった。時給1,000円でも、定時に帰れて責任もない方が私には合っていた」と振り返ります。結局、別のオーナーに教室を売却して撤退しました。
なぜ後悔する?学習塾FC未経験開業の5大リスク徹底分析
ここまで見てきた後悔の背景には、構造的なリスクが潜んでいます。これらのリスクを理解せずに開業すると、高い確率で後悔することになります。
リスク1:市場分析の甘さが致命傷になる
学習塾ビジネスで最も重要なのは、商圏内にどれだけの潜在顧客(小中学生)がいるかという市場分析です。しかし多くの未経験者は、この分析を甘く見ています。
少子化の影響は年々深刻化しており、特に地方では小中学生人口が毎年2から3パーセントずつ減少しています。10年後には今の7割程度になる地域も珍しくありません。さらに商圏内の競合塾の実態を把握せずに開業すると、すでにパイの奪い合いが激化しているエリアに後発で参入することになります。
たとえば商圏内の小中学生が500名いたとしても、既存塾が5校あり合計で300名の生徒を抱えている場合、残りのパイは200名しかありません。そこに新規参入して30名の生徒を獲得するのは、想像以上に困難なのです。FC本部が提供する商圏分析データも、楽観的な数字になっていることが多いため、鵜呑みにせず自分で現地調査を行う必要があります。
リスク2:初期投資と運転資金の見積もりミス
FC本部が提示する初期費用は、あくまで「最低限」の金額です。実際には以下のような追加費用が発生します。
- 内装工事費:本部見積もりより50万円から100万円高くなることが多い
- 備品購入費:机、椅子、ホワイトボード、パソコン、プリンターなどで50万円から80万円
- 開校時の広告費:チラシ印刷・配布で30万円から50万円
- 予備費:想定外の出費に備えて50万円から100万円
FC本部が「初期投資800万円」と提示していても、実際には1,000万円から1,100万円かかったという声は非常に多いのです。さらに開校後の運転資金として、最低でも半年分から1年分の固定費(月額50万円なら300万円から600万円)を別途確保しておく必要があります。
この見積もりの甘さが、開業後の資金ショートにつながり、黒字化する前に撤退を余儀なくされる最大の原因となっています。
リスク3:ロイヤリティと固定費の重さを甘く見る
学習塾フランチャイズのロイヤリティは、売上歩合型(売上の8から12パーセント)または定額型(月額5万円から15万円)のいずれかです。生徒数が少ない時期は、このロイヤリティの負担が非常に重くのしかかります。
たとえば月商50万円の場合、売上歩合型(10パーセント)なら5万円、定額型なら10万円のロイヤリティが発生します。さらに家賃15万円、光熱費3万円、システム利用料3万円、広告費10万円といった固定費を加えると、月商50万円でも固定費だけで41万円が消える計算になります。
損益分岐点を計算すると、多くの場合、生徒40名から50名が必要になります。この生徒数を達成するまでに1年から2年かかるのが現実で、その間はずっと赤字経営を続けることになるのです。
リスク4:教育と経営は全く別のスキルという現実
教える能力と経営する能力は、全く異なるスキルセットです。学習塾経営に必要なのは以下のような多様なスキルです。
- マーケティング:どの媒体で、どんなメッセージで、どのターゲットに訴求するか
- 財務管理:損益計算、キャッシュフロー管理、資金繰り
- 人材マネジメント:講師の採用、育成、評価、モチベーション管理
- 営業力:保護者との面談、体験授業のクロージング、紹介獲得
- オペレーション:業務フローの構築、システム活用、効率化
元教員や教育業界経験者が陥りやすいのは、「教える」ことに注力しすぎて、「経営する」視点が抜け落ちることです。逆に営業経験者は数字管理はできても、教育現場の理解が浅いという弱点があります。FC本部の研修では、これらのスキルを十分に習得することはできません。自分で学び、実践を通じて身につけていく必要があるのです。
リスク5:本部サポートへの過度な期待
FC契約書には「開業支援」「経営サポート」「集客支援」といった文言が並びますが、その内容は非常に曖昧です。多くの場合、本部のサポートとは以下のようなものです。
- 開業前研修:1週間から2週間程度の座学とロールプレイング
- 集客支援:チラシやホームページのテンプレート提供
- スーパーバイザー訪問:年に2回から4回程度(多忙な本部では年1回のことも)
- オンライン相談:メールやチャットでの質問対応
つまり実際に現場で動くのは全て加盟店であり、本部は「ツールとノウハウを提供するだけ」というスタンスが一般的です。「困った時に本部が助けてくれる」と期待していると、実際には自分で全て解決しなければならない現実に直面して後悔することになります。
後悔しないために!開業前に確認すべき10のチェックリスト
ここまで見てきた後悔ポイントの多くは、開業前の準備段階で潰すことができます。以下のチェックリストを活用してください。
市場と立地に関するチェック(3項目)
□ 商圏内の小中学生人口と今後10年の推移を調査しましたか?
市区町村のホームページや国勢調査データから、商圏内の小中学生人口を確認します。さらに出生率や転入転出データから、10年後の人口推移も予測しましょう。人口が減少傾向にある地域での開業はリスクが高くなります。
□ 半径2キロメートル以内の競合塾を全てリストアップし、強みと弱みを分析しましたか?
Googleマップや地域情報誌を使って、競合塾の場所、規模、料金体系、特徴を調査します。実際に見学や問い合わせをして、サービス内容を把握することも重要です。競合が多すぎるエリアは避けるべきです。
□ 物件周辺の通塾しやすさ(駐車場、駅からの距離、治安)を確認しましたか?
保護者が送迎しやすいか、中高生が一人で通える環境か、夜間の治安は問題ないかを確認します。実際に平日の夕方と土日に現地を訪れ、人通りや雰囲気をチェックしましょう。
資金に関するチェック(3項目)
□ 初期投資に加え、1年分の運転資金を確保していますか?
FC本部の見積もりに200万円から300万円を上乗せした額を初期投資と考え、さらに月間固定費の12ヶ月分を運転資金として用意します。たとえば月間固定費が50万円なら、初期投資1,000万円プラス運転資金600万円で合計1,600万円が必要です。
□ 損益分岐点の生徒数を計算し、達成までの期間をシミュレーションしましたか?
月間の固定費総額を、生徒一人当たりの粗利で割ることで、損益分岐点の生徒数が算出できます。この人数を何ヶ月で達成できるか、現実的なシミュレーションを行いましょう。
□ 最悪のシナリオ(生徒数が予想の50パーセント)でも耐えられる資金計画ですか?
楽観的な計画だけでなく、最悪のケースを想定した計画も立てます。予想より生徒数が少なくても、何年間持ちこたえられるかを確認しておくことで、精神的な余裕が生まれます。
FC本部に関するチェック(4項目)
□ 既存加盟店オーナーに直接話を聞きましたか?(最低3名)
FC本部が紹介するオーナーだけでなく、自分で探したオーナーにも話を聞くことが重要です。成功しているオーナーと苦戦しているオーナーの両方から話を聞き、リアルな情報を収集しましょう。
□ 契約書のサポート内容を具体的に質問し、文書で回答をもらいましたか?
「経営サポート」という曖昧な表現ではなく、「SVの訪問頻度は年何回か」「集客支援の具体的内容は何か」を文書で確認します。口頭の約束は後で覆される可能性があります。
□ 解約条件、違約金、競業避止義務の内容を理解しましたか?
撤退したい場合の違約金(数百万円のケースもある)、解約後に同業を営めない期間(通常2年から5年)などを確認します。途中で辞めたくなった時のリスクを事前に把握しておきましょう。
□ 本部の経営状況(財務健全性)を確認しましたか?
本部が倒産すれば、加盟店も大きな影響を受けます。帝国データバンクや信用調査会社のレポートで、本部の財務状況を確認しておくことをおすすめします。
それでも学習塾FCで成功している人の3つの共通点
ここまでリスクや後悔ポイントを中心に解説してきましたが、実際に成功しているオーナーも存在します。彼らには明確な共通点があります。
共通点1:教育への情熱と経営マインドの両立
成功しているオーナーは、教育に対する情熱を持ちながらも、冷徹に数字を見る経営者の視点を併せ持っています。毎週の収支を分析し、広告費の費用対効果を検証し、生徒一人当たりの獲得コストを把握するといった経営管理を徹底しています。
元塾長Eさんの事例では、毎週月曜日に前週の収支を分析する時間を設けていました。同時に、生徒一人ひとりに手書きの励ましメッセージを書き、保護者との信頼関係構築にも時間を使っていました。「数字を見ながら、人の心にも向き合う」というバランスが成功の鍵だったと語ります。
共通点2:地域密着のマーケティングを徹底
成功者は、FC本部のマニュアルをそのまま使うのではなく、地域の特性に合わせてカスタマイズしています。具体的には以下のような取り組みです。
- 地域のお祭りや運動会に参加して顔を覚えてもらう
- 小学校の下校時間に合わせて校門前でチラシを配る
- 保護者のママ友ネットワークに入り込み、口コミを広げる
- 地域の学校の試験日程を把握し、試験対策講座を開催する
- 無料の学習相談会を定期開催し、地域貢献をアピールする
こうした地道な活動を通じて、「顔の見える塾」としてのブランドを構築し、大手塾にはない強みを作り出しています。
共通点3:資金的にも精神的にも余裕を持って開業
成功しているオーナーの多くは、初期投資プラス運転資金2年分という十分な自己資金を持って開業しています。これにより、焦らずに生徒獲得活動に専念でき、試行錯誤する余裕が生まれます。
また家族の理解とサポート体制も重要です。配偶者が家計を支えてくれる、両親が資金面で援助してくれる、といったバックアップがあることで、精神的な余裕が生まれます。「最悪撤退してもやり直せる」という覚悟を持って臨むことが、かえって成功につながっているのです。
学習塾FC以外の選択肢も検討すべき?比較すべき3つの開業形態
学習塾を開業する方法は、フランチャイズだけではありません。他の選択肢も含めて検討することで、より良い判断ができます。
1.個人塾(完全独立開業)
メリット:自由度が高く、ロイヤリティが不要で、小規模から始められます。自分の教育理念を100パーセント反映でき、料金設定も自由です。初期投資も200万円から300万円程度に抑えられます。
デメリット:ブランド力がゼロのため、集客は全て自力で行う必要があります。カリキュラム作成、教材選定、システム構築など全てを一から行う必要があり、孤独な戦いになりがちです。
向いている人:教育経験が豊富で、地域にすでに人脈がある人。自分のやり方を貫きたい人。リスクを取れる人。
2.フランチャイズ塾
メリット:ブランド力があり、開業初期から一定の信頼が得られます。カリキュラムやシステムが整備されており、運営ノウハウも提供されます。
デメリット:ロイヤリティ負担(売上の8から12パーセントまたは月額5万円から15万円)が重く、本部の方針に従う必要があり自由度が低くなります。初期投資も800万円から1,500万円と高額です。
向いている人:未経験だが資金に余裕があり、サポートを重視する人。大手ブランドの看板が欲しい人。
3.業務委託型(既存塾の教室長など)
メリット:リスクが非常に低く、固定給プラス歩合制で安定収入が得られます。経営経験を積むことができ、将来の独立に向けた準備期間にもなります。
デメリット:完全な独立ではなく、収入の上限があります。教室運営の裁量は限定的で、自分の理念を反映しにくい面があります。
向いている人:まずは経験を積みたい人。リスクを最小化したい人。将来的な独立を視野に入れている人。
よくある質問:学習塾FC開業の疑問に答えます
Q1:教育経験ゼロでも本当に大丈夫ですか?
A:FC本部の研修は受けられますが、実際に「教える」のは採用した講師が中心になります。オーナーに必要なのは教えるスキルよりも、経営力、マーケティング力、人材マネジメント力です。教育経験がなくても経営者マインドがあれば成功の可能性はあります。ただし、教育業界への理解や情熱は必要です。
Q2:初期費用はどれくらい必要ですか?
A:個別指導塾FCの場合、800万円から1,500万円(加盟金、保証金、内装、設備、広告費など)が一般的です。集団指導塾の場合は1,000万円から2,000万円必要になります。さらに運転資金として別途500万円から1,000万円を確保すべきです。合計で1,500万円から2,500万円が現実的な開業資金となります。
Q3:年収はどれくらい見込めますか?
A:初年度は赤字からプラスマイナスゼロ、良くても年収300万円程度が平均的です。3年目以降、生徒数が50名を超えてくると年収500万円から700万円が見込めます。ただし「儲かる」と感じられるまでには最低3年の期間が必要で、その間の我慢が求められます。
Q4:どのFC本部を選べばいいですか?
A:大手(明光義塾、個別教室のトライなど)はブランド力がありますが、ロイヤリティも高めです。中堅FC本部は支援が手厚い反面、ブランド力は劣ります。大手だから安心というわけではなく、既存の加盟店オーナーの生の声を聞いて判断することが最も重要です。
Q5:講師はどうやって集めますか?
A:大学生アルバイトが主力となります。IndeedやタウンワークなどのWEB求人媒体、大学の掲示板、紹介などで募集します。時給相場は個別指導で1,500円から2,500円程度です。地方では大学が少なく採用が困難なため、主婦講師や社会人講師の活用も検討が必要です。
Q6:生徒が集まらない時はどうしますか?
A:チラシのポスティング、地域イベントへの参加、SNSでの情報発信、紹介キャンペーンなど地道な営業活動が必須です。FC本部の集客支援に頼りすぎず、自分で試行錯誤することが重要です。無料体験授業の質を高め、口コミが広がる仕組みを作ることが成功の鍵です。
Q7:途中で辞めたい場合、解約できますか?
A:契約期間中の解約は可能ですが、違約金が発生します。金額はFC本部によって異なりますが、数百万円になるケースもあります。また解約後も競業避止義務(同じエリアで2年から5年間は同業を営めない)が残る場合があります。契約書の解約条項を事前に必ず確認してください。
Q8:副業でもできますか?
A:現実的には困難です。開校初期は特に、生徒対応、保護者対応、講師管理、営業活動など多忙を極めます。教室長を雇用して任せる方法もありますが、人件費が月30万円から40万円かかり、収益を圧迫します。片手間でできると考えると失敗します。専業で臨む覚悟が必要です。
Q9:失敗した場合、借金は残りますか?
A:自己資金のみで開業した場合、借金は残りませんが、投資した資金は失います。日本政策金融公庫や銀行から融資を受けた場合、撤退しても返済義務は残ります。教室の設備や権利を売却できれば一部回収できる可能性もありますが、最悪のケースを想定した資金計画が重要です。
Q10:今から開業するのは遅いですか?(少子化の影響)
A:少子化は事実ですが、教育需要そのものは根強く、むしろ一人当たりの教育費は増加傾向にあります。問題は競合過多の地域での開業です。市場が縮小している地域に後発で参入するのはリスクが高いですが、競合が少ない地域や特定分野に特化した塾であれば勝機はあります。少子化を前提にした堅実な事業計画を立てることが重要です。
まとめ
この記事では、学習塾フランチャイズで後悔したオーナーの実例から、未経験開業のリスクと対策について解説してきました。重要なポイントは以下の3つです。
- 後悔の本質:「未経験でも大丈夫」というFC本部の説明の裏には、市場分析の難しさ、想定外のコスト、講師採用の困難さ、本部サポートの限界、過酷な労働時間という5大リスクが潜んでいます
- 失敗パターン:後悔したオーナーの共通点は、商圏分析の甘さ、資金不足、本部への過度な依存、教育と経営の違いへの無理解でした
- 成功の鍵:地域密着のマーケティング、教育への情熱と経営マインドの両立、そして十分な資金的・精神的余裕を持って開業することが成功につながります
この記事で紹介した後悔ポイントは、開業前の準備で潰せるものばかりです。大切なのは、表面的な情報ではなく「リアルな現実」を知ることです。学習塾フランチャイズは決して楽な道ではありませんが、正しい準備と覚悟があれば成功の可能性は高まります。
さらに詳しい実例を知りたい方は、YouTube「フランチャイズ探偵団」の塾オーナーインタビュー動画もご覧ください。また他のフランチャイズ業種との比較記事もありますので、ぜひ参考にして、後悔しない選択をしてください。
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