「ハウスクリーニングのフランチャイズに加盟したいけど、ロイヤリティが高すぎて手取りが少なくなるのでは…」そんな不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。実際、月商50万円稼いでもロイヤリティで5〜7万円が本部に支払われ、想像以上に手元に残らないケースも少なくありません。
この記事では、ハウスクリーニングフランチャイズのロイヤリティ相場を徹底解説し、高すぎる本部を見極める方法、さらには独立開業との比較まで詳しくお伝えします。ロイヤリティの仕組みを正しく理解することで、加盟後に「こんなはずじゃなかった」と後悔するリスクを大きく減らせます。
フランチャイズ選びで最も重要なのは、ロイヤリティに見合った価値が得られるかという視点です。それでは、具体的な相場から見ていきましょう。
ハウスクリーニングFCのロイヤリティ相場
ハウスクリーニング業界のロイヤリティは、大きく分けて3つの課金方式があります。それぞれの特徴を理解することで、自分に合った本部を選びやすくなります。
売上比率型:売上の8-15%
最も一般的なのが売上比率型で、毎月の売上に対して一定の割合をロイヤリティとして支払う方式です。ハウスクリーニングFCでは8〜15%の範囲で設定されていることが多く、売上が増えるほど支払額も増える仕組みになっています。
メリットは、売上が少ない月はロイヤリティも少なく済むこと。一方で、売上が伸びるほど本部への支払いも増えるため、「頑張って稼いでも本部に取られる」という不満を持つオーナーもいます。業界では10%前後が標準的な水準と言われています。
固定費型:月3-10万円
固定費型は、売上に関係なく毎月決まった金額を支払う方式です。ハウスクリーニングFCでは月額3〜10万円程度が相場となっています。
この方式のメリットは、売上が大きく伸びても支払額が変わらないため、高収益を上げたオーナーほど得をする点です。ただし、開業初期で売上が少ない時期でも固定額を支払う必要があるため、資金繰りに余裕がないと厳しくなる可能性があります。
複合型:最低保証+売上比率
複合型は、「月商30万円までは固定3万円、それを超えたら売上の10%」といったように、固定費と売上比率を組み合わせた方式です。
本部側からすると売上が少なくても一定の収益が確保でき、オーナー側からすると初期の負担が比較的軽いというバランス型と言えます。ただし、計算が複雑になるため、契約前にシミュレーションをしっかり行うことが重要です。
業界平均は売上の10%前後
ハウスクリーニングフランチャイズ業界全体で見ると、ロイヤリティの平均は売上の10%前後が相場となっています。これより大幅に高い場合は、その対価として何が得られるのかをしっかり確認する必要があります。
逆に5%以下など極端に安い場合も、サポート体制が不十分な可能性があるため注意が必要です。大切なのは「安い・高い」だけでなく、支払う金額に見合った価値があるかを見極めることです。
ロイヤリティの計算方法|売上50万円の場合のシミュレーション
実際にロイヤリティがどれくらいの負担になるのか、月商50万円のケースで3つのパターンを比較してみましょう。
パターンA:売上比率10%の場合
最も一般的な売上比率10%のケースです。
- 月商50万円×10%=ロイヤリティ5万円
- 粗利60%と仮定すると、粗利30万円-ロイヤリティ5万円=手取り25万円
ここからさらに家賃、車両費、広告費などの経費を差し引くため、実際の手元に残る利益はさらに少なくなります。月商50万円でも、オーナーの実質的な収入は15〜20万円程度というケースが多いのが現実です。
パターンB:固定5万円の場合
固定費型で月額5万円を支払うケースです。
- 売上に関係なくロイヤリティ5万円
- 粗利30万円-ロイヤリティ5万円=手取り25万円
この場合、月商50万円ならパターンAと同じ負担ですが、月商が30万円に落ち込んでも5万円を支払う必要があります。売上が少ない月は資金繰りが厳しくなるリスクがあるため、安定して売上を確保できる自信がある人向けと言えます。
パターンC:複合型の場合
「月商30万円以下は固定3万円、30万円を超えたら10%」という複合型のケースです。
- 月商50万円の場合:50万円×10%=ロイヤリティ5万円
- 月商25万円の場合:ロイヤリティ3万円(固定)
開業初期で売上が安定しない時期は負担が軽く、売上が伸びてきたら本部にも還元する仕組みです。リスクを分散できる点で、初めてフランチャイズに加盟する人には安心感があります。
ロイヤリティが「高すぎる」本部の3つの特徴
ロイヤリティが相場よりも高い本部には、共通した特徴があります。加盟前にこれらのポイントをチェックしましょう。
【特徴1】相場より5%以上高い(15%以上)
業界相場が10%前後のところ、15%以上のロイヤリティを設定している本部は注意が必要です。もちろん、それに見合った充実したサポートやブランド力があれば問題ありませんが、説明会で「なぜ高いのか」を明確に説明できない本部は避けるべきです。
実際、大手で知名度があるからという理由だけで15%を設定しているケースもあり、加盟後に「割に合わない」と感じるオーナーが多いのが実情です。
【特徴2】サポート内容が薄いのに高額
ロイヤリティが高くても、以下のようなサポートが充実していれば納得できます。
- 定期的な技術研修・フォローアップ
- 本部からの案件紹介・集客支援
- 専任の担当者による経営相談
- 最新の清掃技術やサービスの情報提供
しかし、契約後はほとんどサポートがなく、「困った時に連絡しても返事が遅い」「研修が年1回だけ」といったサポートが薄い本部で高額ロイヤリティを取られるのは明らかに損です。
【特徴3】後から値上げする条項がある
契約書の中に「本部の判断でロイヤリティを変更できる」という条項が含まれている場合は要注意です。加盟時は10%だったのに、数年後に12%に値上げされるケースも実際にあります。
契約書は必ず弁護士にチェックしてもらうか、少なくとも値上げ条項の有無は自分でも確認しましょう。「値上げは双方合意の上で行う」と明記されている本部を選ぶことが重要です。
実例:ロイヤリティで苦しむオーナーたち
実際にロイヤリティの負担で苦労しているオーナーの声を紹介します。
月商80万でもロイヤリティ12万で手取り30万台
あるハウスクリーニングFCで2年目のオーナーAさん(40代男性)のケースです。必死に営業して月商80万円を達成したものの、ロイヤリティ15%で毎月12万円を本部に支払い、さらに材料費や車両費、広告費を差し引くと、手元に残るのは30万円台という状況でした。
「脱サラして独立したのに、会社員時代よりも収入が少ない。しかもロイヤリティが高すぎて、頑張って売上を上げても本部が儲かるだけ」とAさんは語ります。
売上が上がるほど本部が儲かる仕組みへの不満
売上比率型のロイヤリティは、オーナーが努力して売上を伸ばすほど本部の取り分も増えるという構造です。「自分が営業して獲得したお客様なのに、なぜ本部に15%も払わないといけないのか」という不満を持つオーナーは少なくありません。
特に、開業から数年経ってリピーター客が増えてくると、本部のサポートがなくても売上を維持できるようになります。その段階で「ロイヤリティが無駄に感じる」という声が多く聞かれます。
独立したら利益が2倍になった元オーナーの声
あるFCから独立したBさん(50代男性)は、「ロイヤリティがなくなっただけで、利益が2倍近くになった」と話します。月商60万円で、FC時代はロイヤリティ6万円を支払っていましたが、独立後は全額が自分の収入になりました。
ただし、Bさんは「FC時代に培った技術とノウハウ、そして顧客基盤があったからこそ独立できた」とも語っており、FCと独立はどちらが絶対的に良いとは言えないというのが現実です。
ロイヤリティが安いFC本部ランキングTOP5
ハウスクリーニング業界でロイヤリティが比較的安い本部を紹介します。ただし、安いだけで選ぶと失敗するため、サポート内容とのバランスを必ず確認してください。
- おそうじ本舗:固定3万円(売上規模により変動)
- ダスキン:売上の5〜8%(商品仕入れ含む)
- おそうじ革命:売上の8%
- ハウスクリーニングのコジワン:固定5万円
- カジタク:売上の10%
※上記は一般的な目安であり、契約内容や地域によって異なる場合があります。
注意点:ロイヤリティが安い本部は、その分サポートが薄いケースもあります。「安いから」という理由だけで選ぶのではなく、研修内容、集客支援、本部の実績などを総合的に判断することが重要です。特に未経験者の場合、多少ロイヤリティが高くてもサポートが充実している本部の方が成功率は高くなります。
ロイヤリティの対価として得られるもの
ロイヤリティは決して「本部に取られるお金」ではなく、対価として様々なサービスを受けるための費用です。具体的に何が得られるのかを確認しましょう。
ブランド力・集客支援
フランチャイズ最大のメリットは、確立されたブランド力を使えることです。「おそうじ本舗」や「ダスキン」など知名度のあるブランドであれば、開業直後から信頼感を持ってもらえます。
また、本部が全国規模でWeb広告やテレビCMを展開しているため、個人では不可能な集客力を活用できます。これは特に開業初期において大きなアドバンテージになります。
研修・技術指導
未経験からハウスクリーニング業を始める場合、技術習得は最大の課題です。FC本部では通常、開業前の集中研修と、定期的なスキルアップ研修を提供しています。
エアコンクリーニング、浴室清掃、床のワックスがけなど、プロとして必要な技術を体系的に学べることは、ロイヤリティを支払う価値の一つと言えます。
本部からの案件紹介
本部に寄せられた問い合わせを、エリアのオーナーに振り分けてくれる仕組みがある本部もあります。特に大手FCでは、コールセンターで一括受付した案件を各地のオーナーに配分するため、営業活動をしなくても仕事が入ってくるというメリットがあります。
ただし、本部からの紹介案件だけでは十分な売上を確保できないケースも多いため、自分でも集客努力は必要です。
経営サポート・相談窓口
開業後は、経営面での悩みや困りごとが次々と出てきます。「売上が伸びない」「クレームが来た」「人を雇いたいが方法がわからない」など、経営全般の相談に乗ってくれる窓口があることは心強いサポートです。
特に初めて独立する人にとって、経験豊富な本部スタッフのアドバイスは非常に価値があります。
【重要】対価に見合っているか冷静に判断
ここまで紹介したサポートが充実していれば、ロイヤリティを支払う価値はあります。しかし、実際には「契約時の説明と違った」「サポートがほとんどない」というケースも少なくありません。
加盟前に必ず確認すべきポイント:
- 研修は何回、何時間受けられるのか
- 困った時の相談窓口は機能しているか(既存オーナーに確認)
- 本部からの案件紹介は実際にどれくらいあるのか
- 広告宣伝費は別途徴収されるのか、ロイヤリティに含まれているのか
これらを数字と事実で確認することが、失敗しないFC選びの鉄則です。
ロイヤリティ交渉は可能?減額を引き出す方法
「ロイヤリティを下げてもらうことはできないのか?」という疑問を持つ人も多いでしょう。現実的な交渉の可能性について解説します。
原則、契約書通りで交渉余地は少ない
結論から言うと、一般的なオーナーがロイヤリティを値下げしてもらうのは極めて難しいのが現実です。フランチャイズ契約は本部が作成した契約書に基づいて行われるため、個別の交渉余地はほとんどありません。
「他の本部はもっと安いから値下げしてほしい」と交渉しても、「それなら他の本部と契約してください」と言われるのがオチです。
複数店舗出店時に優遇される場合も
ただし、2店舗目、3店舗目を出店する際にはロイヤリティ優遇が受けられるケースがあります。例えば「1店舗目は10%だが、2店舗目以降は8%」といった条件です。
複数店舗を展開できるオーナーは本部にとっても貴重な存在なので、条件面での交渉がしやすくなります。将来的に事業を拡大したい人は、この点も加盟時に確認しておくと良いでしょう。
売上が大きいオーナーは交渉の余地あり
月商が200万円、300万円を超えるような売上トップクラスのオーナーであれば、本部側も関係を維持したいため、ロイヤリティ減額の交渉に応じてくれる可能性があります。
実際、「このままだと独立を考えている」と伝えることで、ロイヤリティを2〜3%下げてもらったという事例もあります。ただし、これはあくまで実績を出しているオーナーだけに許される交渉であることを理解しておきましょう。
ロイヤリティゼロで独立開業との比較
「それなら最初からフランチャイズに加盟せず、独立開業した方が良いのでは?」という疑問について、メリット・デメリットを整理します。
独立のメリット:ロイヤリティゼロ・自由度高い
独立開業の最大のメリットは、売上が全て自分の収入になることです。月商50万円なら、経費を差し引いた利益がそのまま手元に残ります。ロイヤリティ10%のFCと比較すると、年間で60〜100万円以上の差が生まれます。
また、サービス内容や価格設定を自由に決められるため、自分のビジョンで事業を展開できる自由度の高さも魅力です。
独立のデメリット:集客・ブランド力ゼロからスタート
一方で、独立開業はゼロから信頼を築く必要があるという大きなハードルがあります。「〇〇さんのハウスクリーニング」という個人名では、最初は誰も依頼してくれません。
集客のためのWebサイト制作、SEO対策、広告費なども全て自己負担です。また、技術面でも独学で習得しなければならず、軌道に乗るまでに1〜2年かかるケースが多いのが現実です。
どちらが得か損益分岐点を計算
FC加盟と独立開業、どちらが得かは自分の経験やスキル、資金力によって異なります。以下の目安で判断すると良いでしょう。
FCが向いている人:
- ハウスクリーニング未経験で技術に不安がある
- 集客や経営ノウハウがない
- 早期に安定した収入を得たい
- ブランド力を活用したい
独立が向いている人:
- すでにハウスクリーニングの実務経験がある
- Web集客やマーケティングの知識がある
- 時間をかけてでも利益を最大化したい
- 自分のやり方で事業を展開したい
また、「最初はFCで3〜5年修行し、ノウハウを身につけてから独立する」という戦略も有効です。ロイヤリティは「独立するための授業料」と考えれば、決して無駄ではありません。
まとめ
この記事では、ハウスクリーニングフランチャイズのロイヤリティについて徹底解説しました。重要なポイントは以下の3つです。
- 業界相場は売上の10%前後:15%以上は高すぎるため、その対価が明確でない本部は避けるべき
- ロイヤリティの対価を冷静に評価:ブランド力、研修、集客支援など、支払う価値があるかを数字と事実で確認する
- 独立との比較も検討:自分のスキルや目標に応じて、FC加盟と独立開業のどちらが適しているか損益分岐点を計算する
ロイヤリティは決して「本部に搾取されるお金」ではなく、成功するための投資です。ただし、高すぎる本部やサポートが薄い本部を選んでしまうと、その投資は無駄になります。
次のステップとしては、複数のFC本部の説明会に参加し、ロイヤリティとサポート内容を比較することをおすすめします。また、可能であれば既存のオーナーに直接話を聞き、「実際にロイヤリティに見合った価値があるか」を確認しましょう。焦らず慎重に選ぶことが、加盟後の成功につながります。
コメント