デイサービスのフランチャイズ開業を検討しているけれど、ネット上で「やめとけ」という声を見かけて、踏み切れずにいませんか?介護業界は安定しているイメージがある一方で、実際には高額な初期投資、人材不足、報酬改定リスクなど、開業後に直面する厳しい現実があります。この記事では、YouTube「フランチャイズ探偵団」での複数の介護FC本部取材と、実際のオーナーインタビューをもとに、デイサービスFCが「やめとけ」と言われる5つの決定的理由と、それでも成功している人の共通点を徹底解説します。美化も悲観もせず、事実ベースでリアルなリスクをお伝えしますので、あなた自身が開業に向いているかを判断する材料にしてください。
デイサービスFCが「やめとけ」と言われる5つの決定的理由
デイサービスのフランチャイズ開業が「やめとけ」と言われる背景には、業界特有の構造的な問題が存在します。ここでは、開業前に必ず知っておくべき5つのリスクを、データと実例を交えて解説します。これらを理解せずに開業すると、想定外の困難に直面する可能性が高くなります。
① 介護報酬改定で収益モデルが数年ごとに崩れる
デイサービスの収入源は介護保険からの報酬であり、この報酬額は国が3年に1度見直しを行います。過去の事例を見ると、2021年の改定では通所介護(デイサービス)の基本報酬が平均でマイナス0.7%となりました。わずかな減少に見えますが、月間売上が500万円の施設であれば、年間で約40万円の減収となります。
さらに問題なのは、FC本部が提示する収益シミュレーションは現行制度を前提にしているという点です。厚生労働省の「介護給付費実態統計」によると、過去10年間で介護報酬がプラス改定だったのは2回のみ。開業時の収益計画が、数年後には通用しなくなるリスクを常に抱えているのです。
- 2015年改定: マイナス2.27%(過去最大の引き下げ)
- 2018年改定: プラス0.54%
- 2021年改定: マイナス0.7%
- 2024年改定: プラス1.59%(ただし加算要件厳格化)
このように、報酬改定は経営の生命線であり、改定のたびに事業計画の見直しを迫られます。「安定した介護業界」というイメージとは裏腹に、実は制度変更に左右されやすいビジネスモデルなのです。
② 初期投資1,000万〜2,000万円+ランニングコストの重さ
デイサービスFC開業には、最低でも1,000万円以上の初期投資が必要です。内訳は以下の通りです。
| 項目 | 金額相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 物件取得費(敷金・礼金・保証金) | 200-400万円 | 立地により大きく変動 |
| 内装工事費 | 300-600万円 | バリアフリー化、浴室設置など |
| FC加盟金 | 100-300万円 | 本部により異なる |
| 設備費(送迎車両、備品) | 200-400万円 | 車両は中古でも1台100万円~ |
| 運転資金(3-6ヶ月分) | 300-500万円 | 人件費、家賃、光熱費など |
| 合計 | 1,100-2,200万円 | 自己資金+融資で調達 |
さらに、開業後のランニングコストも重くのしかかります。特にロイヤリティは、売上の5-8%または月額固定20-30万円が相場です。売上が上がるほど負担が増える「売上連動型」の場合、黒字でも手元に残る利益が少なくなるケースがあります。
実例: Aさんは初期投資1,500万円のうち1,000万円を日本政策金融公庫から融資を受けて開業しました。しかし、利用者が想定より集まらず、黒字化まで2年を要しました。その間も月々の返済額は約10万円。黒字になった後も、ロイヤリティと返済で利益の大半が消える状況が続き、生活費は配偶者の収入で賄っていたと言います。
このように、デイサービスFCは「黒字化まで平均1-2年」と言われており、その間の資金繰りが最大の関門です。自己資金が潤沢でない場合、融資の返済負担が経営を圧迫するリスクがあります。
③ 人材確保の壁:介護職員の採用難と定着率の低さ
デイサービス運営で最も深刻なのが人材不足です。公益財団法人介護労働安定センターの「介護労働実態調査」によると、介護職の有効求人倍率は約3-4倍。つまり、1人の求職者に対して3-4件の求人がある売り手市場です。
さらに問題なのは離職率の高さです。介護業界全体の年間離職率は約15-20%で、他業種と比較しても高水準です。理由は以下の通りです。
- 給与水準の限界: 介護報酬の枠内で人件費を捻出するため、大幅な昇給が難しい
- 身体的・精神的負担: 入浴介助、移乗介助などの体力仕事、利用者やその家族とのコミュニケーション
- キャリアパスの不透明さ: 小規模施設では役職ポストが限られる
FC本部は「未経験者でも採用できる」とアピールしますが、現実は教育負担が大きく、一人前になるまで時間がかかるという声が多いです。しかも、育成途中で離職されると、また一から採用・教育をやり直す悪循環に陥ります。
数字で見るリスク: 定員20名のデイサービスを運営するには、最低でも常勤換算で7-8名のスタッフが必要です(生活相談員、看護師、介護職員、機能訓練指導員など)。しかし、人員配置基準を満たせず、一時的に営業停止となるケースも実際に発生しています。人材確保ができなければ、収益以前に事業継続そのものが困難になるのです。
④ 地域密着ビジネスゆえの商圏リスク
デイサービスは半径1-2km圏内が商圏となる地域密着型ビジネスです。そのため、開業場所の選定が成否を大きく左右します。しかし、競合過多エリアでは「半径500m以内に5施設」という状況も珍しくありません。
厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」によると、全国のデイサービス事業所数は約2.5万か所。10年前と比べて約1.5倍に増加しており、特に都市部では飽和状態に近いエリアもあります。
デイサービスの利用者獲得には、ケアマネジャーとの関係構築が生命線です。ケアマネが利用者にデイサービスを紹介する際、信頼関係がある施設を優先するためです。しかし、これはFC本部任せにできない部分であり、オーナー自身が地域に根差して営業活動をする必要があります。
失敗例: Bさんは駅前の好立地で開業しましたが、高齢者の徒歩圏内ではなく、送迎範囲も限定的なエリアでした。周辺の高齢者は既に近隣の老舗デイサービスを利用しており、新規参入の余地がほとんどありませんでした。結果、稼働率が5割を超えず、1年で撤退を余儀なくされました。
開業前には、必ず以下のリサーチが必要です。
- 地域の高齢化率(市町村の統計データ)
- 要介護認定者数と、その要介護度の分布
- 半径2km以内の競合施設数とサービス内容
- 地域包括支援センターやケアマネ事業所の所在地
「駅近で集客しやすい」という一般的なビジネスの常識は、デイサービスには当てはまらないのです。
⑤ FC本部の経営ノウハウが「机上の空論」になるケース
FC加盟の最大のメリットは「本部の経営ノウハウを活用できる」ことですが、実際には現場対応力は自分次第という声が多く聞かれます。
FC本部が提供する支援内容は一般的に以下の通りです。
- 開業準備支援(物件選定、行政手続き)
- スタッフ研修プログラム
- 集客支援(チラシ、ホームページ作成)
- 経営指導(月次報告、改善提案)
しかし、実際のオーナーからは「マニュアルは充実しているが、地域ごとの特性には対応できない」「SVの訪問は3ヶ月に1回程度で、困った時に相談できない」といった不満の声も上がっています。
特に注意すべきは、本部の直営店実績です。直営店を持たないFC本部の場合、ノウハウが実地で検証されていない可能性があります。実際に、直営店なしで加盟店を募集し、後にトラブルになったケースも報告されています。
実例: Cさんが加盟したFC本部は、開業時の支援は手厚かったものの、開業後はほぼ放置状態。「ロイヤリティに見合う支援が得られない」と感じたCさんは、契約期間中の解約を申し出ましたが、高額な違約金を請求され、泣く泣く契約を継続しているそうです。
FC本部を選ぶ際は、以下を必ず確認してください。
- 直営店の運営実績(何年運営しているか、見学可能か)
- 既存オーナーの満足度(最低3名以上に話を聞く)
- SVの訪問頻度と相談体制
- ロイヤリティに対する支援内容の妥当性
このように、FC本部の「サポート」は契約前の謳い文句と実態が異なる場合があるため、冷静な見極めが必要です。
このセクションのまとめ: これらの5つの理由から、「介護業界は安定=デイサービスFCも安泰」という安易な考えは危険です。ただし、後述するように、これらのリスクを理解した上で対策を打てる人は成功しています。重要なのは、リスクを知った上で自分が対応できるかを見極めることです。
それでも成功している人の共通点:データで見る「向いている人」
ここまでリスクを強調してきましたが、実際にデイサービスFCで成功しているオーナーも数多く存在します。彼らに共通するのは、「リスクを理解した上で、適切な準備と行動をしている」という点です。ここでは、成功オーナーの属性と行動パターンを分析します。
介護業界経験者 vs 異業種参入者:どちらが有利?
デイサービスFC開業において、業界経験の有無はどれほど影響するのでしょうか。結論から言えば、「どちらも成功例がある」が答えです。ただし、それぞれ異なる強みと弱みがあります。
業界経験者の強み:
- 介護保険制度の理解があるため、報酬改定への対応が早い
- ケアマネジャーや医療機関とのネットワークがある
- 介護現場の実務を理解しているため、スタッフ教育がスムーズ
- 人材採用時の見極め力がある
異業種参入者の強み:
- 経営者視点で数字管理ができる
- マーケティング・営業のスキルを持ち込める
- 資金調達やM&Aなどビジネスの経験値が高い
- 業界の「常識」に囚われず、新しい発想で差別化できる
複数のオーナーへの取材から得られたデータでは、業界経験者の平均黒字化期間は約18ヶ月、異業種参入者は約24ヶ月という結果が出ています。経験者の方が早期に軌道に乗る傾向がありますが、異業種参入者でも学習意欲と地域密着の姿勢があれば十分に成功可能です。
最も重要なのは、「経験の有無」よりも「開業前にどれだけ準備したか」です。業界未経験でも、現場研修を半年以上行い、ケアマネへの営業活動を開業前から始めた人は、経験者と同等かそれ以上の成果を出しています。
成功している人の5つの行動パターン
実際に成功しているオーナーの行動を分析すると、以下の共通点が浮かび上がります。
- 開業前に現場研修を半年以上実施
FC本部の研修だけでなく、他のデイサービス施設で実際に働き、現場の流れを体で覚えています。これにより、開業後のトラブルにも冷静に対処できます。 - 地域のケアマネを最低30件訪問
開業前から地域のケアマネジャーを一軒一軒訪問し、「営業」ではなく「関係構築」を行います。顔を覚えてもらうだけでも、開業後の紹介につながります。 - 採用は開業3ヶ月前から開始
人材確保に最もコスト・時間をかけています。採用サイトだけでなく、ハローワーク、介護職員向けの合同説明会など、あらゆる手段を使って人材を集めます。 - 初年度の売上目標を低めに設定
無理な集客でサービスの質を落とさないよう、稼働率60-70%を初年度の目標とし、まずは「評判の良い施設」としての基盤を作ります。 - FC本部依存せず独自の強みを構築
機能訓練特化、認知症対応、看護師常駐など、他施設にない独自の強みを持つことで、競合との差別化を図っています。
これらの行動に共通するのは、「FC本部任せにせず、自分で考え行動する」姿勢です。FC加盟のメリットはノウハウ提供ですが、それを実行に移すのはオーナー自身です。成功者は、FC本部を「パートナー」として活用しながらも、最終的な責任は自分にあると理解しています。
【チェックリスト】あなたはデイサービスFC開業に向いている?
ここまで読んで、「自分は開業すべきか」迷っている方もいるでしょう。以下のチェックリストで自己診断してみてください。YESの数によって、開業の適性を判断できます。
資金面
- □ 自己資金が500万円以上ある
- □ 2年間無収入でも生活できる貯蓄がある(または配偶者の収入がある)
- □ 融資の返済計画を明確にシミュレーションできる
スキル・経験面
- □ 介護業界で3年以上の実務経験がある(またはゼロから学ぶ覚悟がある)
- □ マネジメント経験(5名以上の部下指導)がある
- □ 地域でのコミュニケーション・営業活動に抵抗がない
覚悟面
- □ 開業後2-3年は休日なしの覚悟がある
- □ 介護報酬改定のリスクを理解し、柔軟に対応できる
- □ FC本部に頼りすぎず、自分で考え行動できる
地域・市場面
- □ 開業予定地の高齢化率・要介護認定者数をリサーチ済み
- □ 半径2km以内の競合施設を把握している
- □ ケアマネジャーとのネットワーク構築の手段がある(または構築する計画がある)
結果の解釈
10個以上のYES: リスクを理解した上での開業検討価値があります。ただし、資金面と覚悟面の項目が全てYESであることが最低条件です。
6-9個のYES: もう少し準備期間を設けるべきです。特にNOがついた項目を重点的に改善してください。業界経験を積む、自己資金を貯める、地域リサーチを徹底するなど、具体的なアクションが必要です。
5個以下のYES: 現時点での開業はリスクが高すぎます。別の事業を検討するか、数年かけて準備を整えることをお勧めします。特に資金面と覚悟面でNOが多い場合、開業後に後悔する可能性が高いです。
このチェックリストは、実際の成功・失敗事例を分析して作成したものです。全てにYESがつく人はほとんどいませんが、重要なのは「自分の弱みを自覚し、それをどう補うか」を考えることです。
デイサービスFC選びで絶対に確認すべき7つのポイント
「やめとけ」と言われる理由を理解した上で、それでも開業を決意した方へ。ここでは、FC本部選びで失敗しないための7つの確認ポイントを解説します。契約前に必ずチェックしてください。
① 本部の直営店実績と運営歴
まず確認すべきは、FC本部が直営店を持っているかです。直営店がない、またはあっても運営歴が3年未満の場合、ノウハウが実地で検証されていない可能性があります。
直営店がある場合、必ず見学を申し出てください。施設の雰囲気、スタッフの対応、利用者の様子などを自分の目で確認することで、FC本部が提供するサービスの質が分かります。本部が見学を渋る場合は、要注意です。
また、運営歴も重要です。介護報酬改定は3年に1度なので、最低でも1回の改定を乗り越えた実績がある本部を選ぶべきです。改定への対応ノウハウがあるかどうかが、長期的な安定性を左右します。
② ロイヤリティの仕組みと総コスト
ロイヤリティには大きく分けて売上連動型と固定型があります。それぞれのメリット・デメリットを理解してください。
| 形態 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 売上連動型(5-8%) | 売上に応じて変動 | 開業初期は負担が軽い | 売上が伸びると負担増。黒字でも利益が薄い |
| 固定型(月20-30万円) | 売上に関係なく定額 | 売上が増えても負担は一定 | 開業初期は重い負担。赤字でも支払い義務 |
さらに注意すべきは隠れコストです。契約書をよく読むと、以下のような費用が別途請求されるケースがあります。
- 研修費(追加研修は有料)
- システム利用料(月額数万円)
- 販促物費(チラシ、パンフレット作成)
- 更新料(契約更新時に数十万円)
「初期費用が安い」とアピールする本部でも、ランニングコストで回収される仕組みになっている場合があります。5年間の総コストをシミュレーションし、複数の本部を比較してください。
③ 契約期間と中途解約条件
FC契約は通常5年契約が一般的ですが、契約書で必ず確認すべきは以下の点です。
- 中途解約の違約金:残存期間のロイヤリティ全額請求されるケースもあり
- 更新料:契約更新時に数十万円~100万円が必要な場合も
- 競業避止義務:契約終了後、一定期間同業種での開業を禁止される条項
特に注意すべきは、「撤退したくてもできない」縛りです。経営が苦しくなっても、高額な違約金のために泣く泣く継続するオーナーもいます。契約前に弁護士にチェックしてもらうことを強く推奨します。
④ 開業後の支援体制(SVの訪問頻度、相談窓口)
FC本部の支援は、開業前だけでなく開業後こそ重要です。以下を確認してください。
- スーパーバイザー(SV)の訪問頻度:月1回?3ヶ月に1回?
- 相談窓口の対応時間:平日9-17時のみ?休日・夜間も対応?
- 緊急時のサポート:事故発生時、行政監査時などの対応マニュアルがあるか
「困った時に電話がつながらない」「SVが形式的な訪問しかしない」という不満は、既存オーナーからよく聞かれます。契約前に、実際のオーナーに支援の実態を聞くことが最も確実です。
⑤ 既存オーナーの声(離脱率・満足度)
FC本部を評価する最も信頼できる情報源は、既存オーナーの生の声です。本部に「何人のオーナーと話せるか」を聞いてください。3名以上と話せることが望ましいです。
既存オーナーに聞くべき質問例:
- 黒字化までの期間はどのくらいでしたか?
- FC本部の支援で最も役立ったものは何ですか?
- 逆に、期待外れだった点はありますか?
- ロイヤリティは妥当だと感じますか?
- もし今から開業するなら、同じFC本部を選びますか?
また、離脱率(契約期間中に脱退したオーナーの割合)も重要な指標です。離脱率を開示しない本部は、何か隠している可能性があります。「過去5年間で何人が契約を解除しましたか?」と直接聞いてください。
⑥ 競合対策・差別化戦略の有無
デイサービスは競合が多い業界です。他施設との差別化がなければ、利用者を獲得できません。FC本部が提供する差別化プログラムを確認してください。
差別化の例:
- リハビリ特化型:機能訓練指導員を複数配置し、個別訓練プログラムを提供
- 認知症対応型:認知症ケア専門士が在籍し、BPSD(行動・心理症状)への対応力を強化
- 看護師常駐型:医療的ケアが必要な利用者を受け入れ可能
- 送迎範囲の広さ:複数台の送迎車両で広範囲をカバー
ただし、差別化プログラムがあっても、それを実行できる人材と設備が必要です。「機能訓練特化」を謳っても、機能訓練指導員が採用できなければ意味がありません。実現可能性も含めて検討してください。
⑦ 撤退・売却時のサポート
最後に、「最悪のシナリオ」を想定しているFC本部かどうかを確認してください。経営が立ち行かなくなった場合、事業譲渡やM&Aのサポートがあるかは重要です。
- M&A仲介業者との提携があるか
- 事業譲渡時のFC契約の扱い(譲受人に引き継ぎ可能か)
- 撤退時の設備処分サポート
「撤退の話は縁起でもない」と思うかもしれませんが、撤退支援があることは本部の誠実さの証です。「必ず成功する」と断言する本部よりも、「万が一の時はこう対応します」と明示する本部の方が信頼できます。
これら7つのポイントを全て確認し、納得できるFC本部を選んでください。焦って決めず、最低でも3社以上を比較することをお勧めします。
「やめとけ」と言われても開業すべき3つのケース
ここまで多くのリスクを挙げてきましたが、条件が揃えば開業を検討する価値があるケースも存在します。以下の3つに当てはまる場合、前向きに検討してください。
ケース1: 地域の要介護者数が増加中&競合が少ないエリア
市町村が公表している「介護保険事業計画」を確認すると、今後3-6年の要介護者数の予測が記載されています。高齢化率が30%を超え、要介護認定者数が増加傾向にあるエリアは、需要が見込めます。
さらに、半径2km以内にデイサービスが2施設以下という競合が少ないエリアであれば、新規参入の余地があります。ただし、自治体の新規指定方針も確認してください。自治体によっては、供給過多を理由に新規指定を制限している場合があります。
このようなエリアは、都市部よりも地方や郊外に多く見られます。「過疎地だから需要がない」と思われがちですが、逆に「高齢化が進んでいるのにサービスが不足している」ブルーオーシャンが存在するのです。
ケース2: 介護業界で5年以上の実務経験+資金が潤沢
介護業界での実務経験が5年以上あり、かつ自己資金が1,000万円以上ある場合、成功確率は大幅に上がります。
業界経験があれば、以下の強みを持っています。
- 介護保険制度の理解が深く、報酬改定への対応が早い
- ケアマネジャーや医療機関とのネットワークがある
- 介護現場の実務を理解しているため、スタッフ教育がスムーズ
- 人材採用時の見極め力がある
さらに、自己資金が潤沢であれば、初期の資金繰り不安が軽減されます。融資の返済負担が少ない分、サービスの質向上や人材確保に資金を振り向けられるため、競合との差別化がしやすくなります。
「経験×資金」の組み合わせは、デイサービスFC開業において最強の条件です。
ケース3: FC本部が強力なブランドと実績を持つ(大手企業系など)
ニチイ学館、セントケア、ベネッセなど、大手企業系のFC本部は、以下の点で安心感があります。
- ケアマネジャーからの信頼度が高く、紹介を受けやすい
- 研修プログラムや経営支援が充実している
- 資金力があるため、FC本部自体が破綻するリスクが低い
- M&A仲介など、撤退時のサポートも手厚い
ただし、ロイヤリティは高めに設定されていることが多いです。売上の7-8%、または月額30万円以上の固定ロイヤリティが一般的です。そのため、収益性については慎重にシミュレーションしてください。
「ブランド力を活かして早期に稼働率を上げ、ロイヤリティ負担を上回る利益を出す」という戦略が取れる場合、大手FC本部を選ぶメリットがあります。
よくある質問(FAQ)で解消するデイサービスFC開業の疑問
ここでは、デイサービスFC開業を検討する際によく寄せられる質問に回答します。
Q1: 無資格・未経験でもデイサービスFC開業はできますか?
制度上は可能です。 介護保険法では、デイサービスの管理者に資格要件はありません。ただし、生活相談員、看護職員、機能訓練指導員には有資格者が必要です。
しかし現実的には、業界理解なしでの開業は失敗率が高いです。介護保険制度の仕組み、ケアプランの読み方、利用者やご家族とのコミュニケーション方法など、現場で学ぶべきことは多岐にわたります。
最低でも介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)を取得し、半年程度の現場実習を経てから開業することを強く推奨します。FC本部の研修だけでは、実践的なスキルは身につきません。
Q2: 黒字化までの期間と、その間の生活費はどうすればいい?
デイサービスの平均黒字化期間は1-2年です。利用者数が定員の7割に達するまでが目安です。この間、役員報酬をゼロまたは最低限に抑える覚悟が必要です。
生活費は、以下のいずれかの方法で確保してください。
- 配偶者の収入:家族の理解と協力が不可欠
- 貯蓄:最低でも2年分の生活費(月30万円×24ヶ月=720万円)を別途確保
- 副業:開業初期は時間に余裕があるため、可能であれば副業で収入を得る
「開業すればすぐに収入が得られる」と考えるのは危険です。黒字化まで無収入の期間を乗り切る計画を立ててください。
Q3: デイサービス経営で年収1,000万円は現実的ですか?
可能性はありますが、条件が揃う必要があります。 定員20名規模のデイサービスで、以下の条件を満たせば年収1,000万円に到達できます。
- 稼働率80%以上
- 平均単価8,000円以上(加算を積極的に取得)
- 営業利益率15%以上
売上例の計算:
- 月間売上:8,000円×20名×稼働率80%(16名)×営業日25日=320万円
- 年間売上:320万円×12ヶ月=3,840万円
- 営業利益(15%):576万円
- ロイヤリティ控除後:約400-500万円
この数字は3-5年かけて達成するのが現実的です。「初年度から高収入」は幻想です。また、年収1,000万円を得るには、複数店舗展開や、加算取得による単価アップが必要になるでしょう。
Q4: FC本部とのトラブル事例はありますか?
実際に報告されているトラブル事例は以下の通りです。
- 「約束した支援がない」:契約時に説明された研修や経営指導が実施されない
- 「ロイヤリティが高すぎる」:利益の大半がロイヤリティで消える
- 「契約解除できない」:高額な違約金を請求され、泣く泣く継続
- 「本部が倒産」:FC本部自体が経営破綻し、サポートが受けられなくなる
これらのトラブルを回避するには、事前の契約書確認と、既存オーナーへのヒアリングが必須です。特に契約書は、弁護士に依頼してチェックしてもらうことを強く推奨します。費用は5-10万円程度ですが、後々のトラブルを考えれば安い投資です。
トラブル発生時の相談先として、日本フランチャイズチェーン協会や専門の弁護士に相談してください。
Q5: 自己資金ゼロでも融資は受けられますか?
現実的には非常に困難です。 日本政策金融公庫の「新創業融資制度」では、原則として自己資金が創業資金総額の10分の1以上あることが目安とされています。
自己資金ゼロの場合、以下の問題があります。
- 金融機関からの信用が得られない
- 事業計画の実現可能性が疑われる
- 開業後の資金繰りが非常に厳しくなる
最低でも300-500万円の自己資金を貯めてから開業を検討してください。自己資金が多いほど、融資審査は通りやすくなりますし、開業後の経営も安定します。
Q6: 介護報酬改定で経営が悪化したら、どう対応すればいい?
介護報酬改定で収入が減少した場合、以下の対応策があります。
- 加算の取得で単価アップ:個別機能訓練加算、入浴介助加算、口腔機能向上加算など、取得できる加算を増やす
- 稼働率向上:定員に対する利用者数を増やす(ただしサービスの質を落とさない範囲で)
- コスト削減:光熱費、消耗品費、広告費などの見直し
- サービスの多角化:訪問介護や居宅介護支援など、他サービスとの複合化
- 最終手段:事業譲渡・M&A:どうしても経営が立ち行かない場合、早めに事業譲渡を検討
実際に、2021年の報酬改定で減収となったオーナーが、個別機能訓練加算Ⅱを取得することで単価を月5,000円アップさせ、収益を回復させた事例があります。改定はピンチですが、同時に加算取得の見直しのチャンスでもあるのです。
まとめ
デイサービスFCが「やめとけ」と言われる理由は、以下の5つに集約されます。
- 介護報酬改定リスク:3年に1度の制度変更で収益モデルが崩れる
- 高額な初期投資:1,000万円以上の資金が必要で、黒字化まで1-2年
- 人材不足:採用難と高い離職率で、人員確保が最大の課題
- 地域商圏の狭さ:競合過多エリアでは利用者獲得が困難
- FC本部依存の危険性:本部の支援が期待外れのケースもある
しかし、これらのリスクを理解し、適切な準備と行動をすれば成功は可能です。業界経験または学習意欲があり、地域密着の営業活動ができ、2年間の資金繰りを確保できる人にとっては、依然として魅力的なビジネスモデルです。
最も重要なのは、「自分が向いているか」を冷静に判断することです。本記事のチェックリストで自己診断を行い、複数のFC本部を比較検討してください。その際、必ず既存オーナーへのヒアリングと、契約書の専門家チェックを忘れずに行ってください。
「フランチャイズ探偵団」では、実際のデイサービスFCオーナーへの取材動画も公開しています。リアルな声を聞いてから、最終判断をすることをお勧めします。あなたの決断が、後悔のないものになることを願っています。

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