カレーフランチャイズは原価率とロイヤリティで利益が残らない

「カレーは原価が安くて儲かる」と聞いて、カレーフランチャイズへの加盟を検討している方は多いのではないでしょうか。実際、日本フードサービス協会の調査によると、カレー専門店市場は直近5年間で約15%成長しており、人気業態の一つです。しかし、YouTube「フランチャイズ探偵団」で複数のカレーFC加盟店オーナーに取材した結果、原価率35-45%とロイヤリティの二重負担により、想定より利益が残らないという声が多く聞かれました。

この記事では、カレーフランチャイズの収益構造について、以下の3つのポイントを数字ベースで明らかにします。①実際の原価率は飲食業界平均より5-15%高い実態、②ロイヤリティに加えて隠れたコストが月15万円以上発生するメカニズム、③月商300-500万円でもオーナー収入が10-20万円程度にとどまる理由。この記事を読むことで、カレーフランチャイズへの参入判断に必要な具体的な数字が手に入ります。

  1. カレーフランチャイズの原価率の実態【相場は35-45%】
    1. 一般的な飲食店との原価率比較表
    2. カレーFC大手3社の原価率実例
    3. 原価率が上昇する3つの要因
  2. ロイヤリティの種類と負担額の計算式【月15万円は当たり前】
    1. 売上歩合型ロイヤリティの罠
    2. 定額型ロイヤリティの落とし穴
    3. 隠れたコスト:本部への実質的な支払い
  3. 実際の収支モデル計算【月商400万でも手残り15万円?】
    1. 月商300万円店舗の損益シミュレーション
    2. 月商500万円でも安心できない理由
    3. 「儲かっている店」の共通点
  4. カレーFCで失敗する人の5つの共通パターン
    1. パターン①「原価率の説明を鵜呑みにした」
    2. パターン②「ロイヤリティ以外のコストを軽視」
    3. パターン③「立地選定を本部任せにした」
    4. パターン④「人件費のコントロールに失敗」
    5. パターン⑤「撤退条件を確認せず契約」
  5. それでもカレーFCを選ぶなら押さえるべき5つのチェックポイント
    1. チェック①原価率とロイヤリティの「実質負担」を計算する
    2. チェック②既存オーナーへの直接ヒアリング
    3. チェック③立地の独自調査は必須
    4. チェック④契約書の「撤退条項」を弁護士と確認
    5. チェック⑤自己資金比率70%以上を目安に
  6. カレーFC以外の選択肢【原価率・ロイヤリティで有利な業態】
    1. 原価率20%台の業態比較
    2. ロイヤリティゼロ〜低額の選択肢
    3. カレーの強みを活かせる代替業態
  7. よくある質問(FAQ)【カレーFCの収益性Q&A】
    1. Q1. 原価率が高くても客単価が高ければ問題ないのでは?
    2. Q2. ロイヤリティは交渉で下げられる?

カレーフランチャイズの原価率の実態【相場は35-45%】

「カレーは原価が安い」というイメージを持っている方は多いですが、これは大きな誤解です。カレーフランチャイズの実際の原価率は35-45%で、飲食業界全体の平均30%と比較すると5-15%も高い水準にあります。

なぜこのような誤解が生まれるのでしょうか。それは「カレールーだけなら確かに安い」からです。しかし、実際のカレーライスには、肉、野菜、トッピング、サイドメニューなど多くの食材が使われており、これらを合計すると原価率は大幅に上昇します。農林水産省の「外食産業市況調査」でも、カレー専門店の食材コストは年々上昇傾向にあることが報告されています。

一般的な飲食店との原価率比較表

カレー専門店の原価率が他の飲食業態と比較してどの程度高いのか、具体的に見ていきましょう。

業態 平均原価率 主な原価構成
ラーメン店 28-32% 麺・スープ・チャーシュー
居酒屋 30-35% 飲料で利益確保
カフェ 25-30% コーヒー豆・軽食
カレー専門店 35-45% 肉・野菜・ルー・トッピング

カレー専門店の原価率が高くなる理由は主に3つあります。第一に、具材の種類が多いこと。カレーには玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、肉類など多様な食材が使われます。第二に、肉の使用量が多いこと。チキンカレー、ビーフカレー、ポークカレーなど、肉類は原価の中でも高額な部類に入ります。第三に、トッピングの原価が高いこと。チーズ、揚げ物、サラダなど、客単価を上げるためのトッピングメニューは、それ自体の原価率が40-50%に達することもあります。

「ルーだけなら安い」という認識が誤解である理由は明確です。ルー単体の原価は確かに1食あたり50-80円程度と安価ですが、お客様が注文するのは「完成したカレーライス」であり、そこには米、肉、野菜、トッピングなど多くの要素が含まれます。これら全てを合算した実質原価率が35-45%になるのです。

カレーFC大手3社の原価率実例

実際のカレーフランチャイズ各社の原価率を見てみましょう。ここでは主要3社のデータをご紹介します。

CoCo壱番屋の原価率は約40-42%と言われています。これは同社のFC本部が開示している情報や、実際の加盟店オーナーへの取材から得られたデータです。CoCo壱番屋はトッピングの種類が豊富で、お客様の多くがトッピングを追加するため、ベースのカレーライスより原価率が上昇する傾向にあります。

ゴーゴーカレーの原価率は約38-40%です。金沢カレーという独自のスタイルで、キャベツの千切りが標準で付くなど、野菜類のコストが一定量発生します。また、ロースカツなどの揚げ物トッピングの人気が高く、これも原価率を押し上げる要因となっています。

中小チェーンの原価率は約35-45%とばらつきがあります。これは、メニュー構成や仕入れルート、店舗の立地によって変動するためです。都心部の店舗ほど仕入れコストが高く、地方店舗の方が比較的原価率を抑えられる傾向にあります。

ここで重要なのは、原価率だけでは判断できない「FLコスト」という視点です。FLコストとは、Food(食材費)とLabor(人件費)を合わせたコストのことで、飲食店経営では「FLコスト60%以内」が健全経営の目安とされています。カレーFCの場合、原価率40%+人件費30%=70%となり、すでにこの基準を10%超過しているケースが多いのです。

原価率が上昇する3つの要因

カレーフランチャイズの原価率が高止まりしている背景には、構造的な要因があります。

①食材仕入れ価格の変動が最大の要因です。カレーに使用する輸入スパイス、野菜、肉類は、為替レートや国際情勢の影響を受けやすく、価格が不安定です。特に2020年以降、コロナ禍やウクライナ情勢の影響で、小麦粉や食用油の価格が20-30%上昇したケースもあり、カレーチェーンの多くが値上げを余儀なくされました。しかし、値上げは客数減少のリスクを伴うため、簡単には実施できず、結果として原価率が上昇する悪循環に陥ります。

②メニューの多様化要求も原価率上昇の一因です。お客様のニーズに応えるため、多くのカレーFCはトッピングメニューを増やし続けています。チーズ、温泉卵、ソーセージ、唐揚げなど、トッピング一つひとつの原価率は30-50%に達します。トッピング販売は客単価向上に繋がりますが、同時に原価率も押し上げてしまうのです。

③食品ロスの実態も見逃せません。カレーは作り置きが可能な料理ですが、保存期限があります。夕方の時点で残っているカレーは廃棄せざるを得ないケースが多く、これが実質的な原価率を2-3%押し上げます。農林水産省の調査によると、飲食店の食品ロス率は売上の3-5%程度と言われており、カレー店も例外ではありません。特にトッピング用の生野菜や揚げ物は日持ちしないため、廃棄率が高くなりがちです。

ロイヤリティの種類と負担額の計算式【月15万円は当たり前】

カレーフランチャイズで見落とされがちなのが、ロイヤリティとその他の本部への支払いです。多くの加盟検討者は「ロイヤリティは月5万円」といった表面的な数字だけを見て判断しがちですが、実際には様々な名目で本部に支払う金額が発生し、実質的な負担は月15万円以上になるケースが少なくありません。

ロイヤリティには大きく分けて2つの方式があります。売上歩合型定額型です。カレーフランチャイズでは、売上歩合型を採用しているチェーンが多い傾向にあります。それぞれのメリット・デメリットを理解しておくことが重要です。

売上歩合型ロイヤリティの罠

売上歩合型ロイヤリティの相場は、売上の3-6%です。これを具体的な金額に換算してみましょう。

  • 月商300万円の場合:ロイヤリティ9-18万円
  • 月商500万円の場合:ロイヤリティ15-30万円
  • 月商800万円の場合:ロイヤリティ24-48万円

売上歩合型の最大の問題点は、利益が出ていなくても支払い義務があることです。たとえ赤字経営であっても、売上が発生すればロイヤリティは請求されます。これは加盟店オーナーにとって大きなリスクとなります。

さらに、売上が上がるほど負担が増える構造になっているため、努力して売上を伸ばしても、ロイヤリティの増加によって手残りが思ったほど増えないという現象が起こります。例えば、月商300万円から500万円に増やしても、ロイヤリティが9万円から15万円に増えれば、実質的な増加分は200万円ではなく194万円になります。これに人件費や光熱費の増加も加われば、売上増加のメリットはさらに薄れます。

定額型ロイヤリティの落とし穴

定額型ロイヤリティの相場は、月5-15万円です。店舗規模や立地、本部のサポート内容によって金額は変動します。

定額型のメリットは、売上に関係なく定額で予測可能なことです。月商が300万円でも800万円でも、ロイヤリティは一定なので、売上が伸びた分だけ手残りが増えやすい構造になっています。これは経営が安定してからは有利に働きます。

しかし、デメリットもあります。売上が低迷しても減額されない固定費化がそれです。開業初期や売上が落ち込んだ時期でも、毎月一定額を支払い続けなければならないため、資金繰りが厳しくなるリスクがあります。特に開業後3-6ヶ月は売上が安定しないことが多く、この間の固定費負担は経営を圧迫します。

では、売上何円以上で定額型が有利になるのでしょうか。これは損益分岐点で判断できます。例えば、売上歩合型5%と定額型10万円を比較した場合、月商200万円が分岐点です。月商200万円×5%=10万円なので、それ以上の売上が見込める場合は定額型が有利、それ以下なら歩合型が有利という計算になります。

隠れたコスト:本部への実質的な支払い

ロイヤリティとして明記されている金額以外にも、実質的に本部に支払うコストが多数存在します。これが「隠れたコスト」と呼ばれるものです。

食材・資材の強制仕入れがその代表例です。多くのカレーFCでは、カレールー、スパイス、米などの主要食材を本部指定の業者から仕入れることが契約で義務付けられています。この仕入れ価格には本部のマージンが上乗せされており、一般市場価格より10-20%高いケースが多いのです。月間の食材仕入れが100万円であれば、10-20万円が実質的な本部への支払いとなります。

広告分担金も無視できません。多くのFCでは、テレビCMやWeb広告などの全国広告費用を加盟店が分担する仕組みになっており、月1-3万円の負担が発生します。「本部がブランド認知を高めてくれるならメリットでは?」と思うかもしれませんが、都心部の店舗と地方の店舗では広告効果に差があり、必ずしも公平とは言えません。

システム利用料も月1-2万円かかります。これはPOSレジ、在庫管理システム、本部とのデータ連携などにかかる費用です。本部が開発・保守するシステムを使用する対価として支払いますが、同等の機能を持つ市販システムと比較すると割高な場合があります。

研修費・コンサル費は不定期に発生しますが、年間5-10万円程度は見込んでおく必要があります。新メニュー導入時の研修、衛生管理講習、経営指導など、様々な名目で費用が発生します。

これらを合計すると、「ロイヤリティ5万円」と聞いていたのに、実質負担は月15万円を超えるという事態が起こります。実際にYouTube「フランチャイズ探偵団」で取材したあるオーナーは、「契約書に書かれていたロイヤリティは月8万円だったが、食材仕入れマージン、広告分担金、システム利用料などを合わせると月18万円になっていた」と証言しています。

実際の収支モデル計算【月商400万でも手残り15万円?】

ここまで原価率とロイヤリティについて解説してきましたが、実際にどの程度の利益が残るのかを具体的な数字で見ていきましょう。月商が400万円あっても、オーナーの手残りは15万円程度というケースは決して珍しくありません。

カレーフランチャイズの収益構造を理解するには、損益計算書を作成して各項目を確認することが不可欠です。本部の説明では「月商300万円で利益率10%」といった楽観的な数字が提示されることがありますが、実際にはもっと厳しい現実が待っています。

月商300万円店舗の損益シミュレーション

標準的なカレーFC店舗(席数20席、営業時間11-22時)で、月商300万円を達成した場合の損益を見てみましょう。

項目 金額 売上比率
売上 300万円 100%
原価(40%) 120万円 40%
人件費(30%) 90万円 30%
家賃(10%) 30万円 10%
ロイヤリティ(5%) 15万円 5%
その他経費 20万円 約7%
営業利益 25万円 約8%
オーナー人件費控除後 10-15万円 約3-5%

この表から分かる通り、月商300万円は決して悪い数字ではありません。飲食店の平均月商は200-400万円程度と言われており、300万円は平均以上です。しかし、それでも手残りは10-15万円程度にしかならないのです。

なぜこのような結果になるのか、各項目を詳しく見てみましょう。原価率40%で120万円は先ほど説明した通りです。人件費30%(90万円)の内訳は、店長または社員1名(月給30万円)、アルバイト3-4名(時給1,000円×1日6時間×月25日=約60万円)となります。家賃10%(30万円)は都心部の路面店を想定しており、地方なら20-25万円、都心の好立地なら40万円以上になることもあります。

その他経費20万円の内訳は、光熱費(5-7万円)、消耗品・備品(3-5万円)、通信費(1-2万円)、保険料(1-2万円)、税理士費用(2-3万円)、雑費(5-8万円)などです。これらを合計すると、営業利益は25万円となります。

しかし、ここからオーナー自身の人件費を引く必要があります。オーナーが店舗で働く時間に対する対価を時給換算すると、月10-15万円程度が妥当です。つまり、実質的な利益は10-15万円にとどまるのです。

「月商300万円なのに手残り10-15万円?」と驚く方もいるかもしれませんが、これがカレーフランチャイズの現実です。原価率が高く、ロイヤリティが固定で発生し、人件費と家賃も削減しにくいため、利益が残りにくい構造になっているのです。

月商500万円でも安心できない理由

「それなら売上を増やせばいい」と考える方もいるでしょう。しかし、売上増加に伴うコスト増加も見逃せません。月商500万円の損益計算書を見てみましょう。

項目 金額 売上比率
売上 500万円 100%
原価(40%) 200万円 40%
人件費(32%) 160万円 32%
家賃(10%) 50万円 10%
ロイヤリティ(5%) 25万円 5%
その他経費 30万円 6%
営業利益 35万円 7%

月商が300万円から500万円に増えても、営業利益は25万円から35万円へ10万円しか増えていません。なぜでしょうか。

第一に、人件費が増加します。売上が増えるということは、提供する食数が増えるということです。ピーク時間帯の対応のためにアルバイトを1-2名増員する必要があり、人件費は30%から32%に上昇します。第二に、光熱費が増加します。調理回数が増えればガス代・電気代も増えます。第三に、食材ロスも増加します。仕込み量を増やせば、売れ残りのリスクも高まります。

そして最も大きいのが、売上歩合型ロイヤリティの負担増です。月商300万円のロイヤリティ15万円が、月商500万円では25万円に増加します。この10万円の増加は、営業利益の増加分とほぼ同額です。

つまり、営業利益率が10%を超えることは構造的に難しいのです。カレーFCの場合、原価率40%+人件費30-32%+家賃10%+ロイヤリティ5%+その他経費6-7%で、すでに91-94%が経費で消えてしまいます。残るのは6-9%程度であり、ここから税金や予備費を引けば、実質的な利益は3-5%程度にとどまります。

「儲かっている店」の共通点

それでも、一部には「儲かっている店」も存在します。YouTube「フランチャイズ探偵団」で取材した成功オーナーには、以下のような共通点がありました。

①立地の優位性:駅前、オフィス街、大学近くなど、ランチ需要が安定して見込める立地を確保しています。特に平日昼の稼働率が高い立地は強く、1日の売上の60-70%をランチタイムで稼ぐことができます。こうした立地では、月商500-600万円を安定的に維持できるため、利益率が改善します。

②オーナー自らがホールに立つ:人件費を削減するため、オーナーが積極的に現場に入っているケースが多いです。店長を雇わず、オーナー+アルバイト体制にすることで、人件費を売上の25-28%に抑えています。これだけで月5-10万円のコスト削減になります。

③ロイヤリティ交渉成功例:契約更新時に実績を元にロイヤリティの交渉を行い、売上歩合型から定額型に変更したり、料率を5%から3%に引き下げたりした事例があります。ただし、これは本部との信頼関係と交渉力が必要で、全てのオーナーができるわけではありません。

④デリバリー・テイクアウト比率50%以上:コロナ禍以降、デリバリーとテイクアウトに注力した店舗は成功しています。店内飲食だけに頼らず、Uber Eatsや出前館などのプラットフォームを活用することで、席数の制約を超えて売上を伸ばしています。さらに、テイクアウト容器代はかかるものの、人件費(ホールスタッフ不要)と家賃効率(回転率向上)の面でメリットがあります。

カレーFCで失敗する人の5つの共通パターン

カレーフランチャイズで失敗するオーナーには、共通するパターンがあります。ここでは、YouTube「フランチャイズ探偵団」で取材した撤退オーナーの証言をもとに、5つの典型的な失敗パターンをご紹介します。これらを知ることで、同じ過ちを避けることができます。

パターン①「原価率の説明を鵜呑みにした」

最も多い失敗パターンが、本部の原価率説明を鵜呑みにしてしまうケースです。

「カレールーの原価は1食あたり50円です。だから原価率は5%程度ですよ」と説明されると、「それなら利益が残る!」と思ってしまいがちです。しかし、これは「ルーだけ」のトリックです。実際にお客様に提供するカレーライスには、米(原価30-50円)、肉(原価150-300円)、野菜(原価50-100円)、トッピング(原価100-200円)が含まれます。これらを合計すると、1食あたりの原価は400-700円になり、客単価1,000円に対して40-70%の原価率になってしまいます。

あるオーナーは「本部の説明では原価率30%と聞いていたが、実際に計算したら42%だった。トッピングやサイドメニューの原価が想定以上に高く、利益が全然残らなかった」と語っています。

トッピング・サイドメニューの原価計算漏れも深刻です。チーズトッピング(売価150円、原価70円、原価率47%)、ロースカツ(売価300円、原価150円、原価率50%)など、トッピングは客単価を上げる一方で、原価率も大幅に上げてしまいます。本部の収支モデルでは「トッピング率30%」と想定していても、実際には50-60%のお客様がトッピングを追加するケースもあり、このズレが利益を圧迫します。

パターン②「ロイヤリティ以外のコストを軽視」

二つ目の失敗パターンは、ロイヤリティ以外の本部への支払いを軽視してしまうケースです。

先ほど説明した通り、カレーFCでは食材の指定仕入れが契約で義務付けられていることが多く、本部マージンが上乗せされた割高な調達コストが発生します。あるオーナーは「カレールーを自分で仕入れれば1kg1,500円で買えるのに、本部指定業者からは2,000円で仕入れなければならなかった。月間100kgの使用で5万円の差が出る」と証言しています。

広告分担金の負担も年々上昇するケースがあります。契約時は「月1万円」と聞いていたのに、2年目から「全国広告強化のため月3万円に変更」と通知されることもあります。加盟店側に拒否権はなく、これも実質的なロイヤリティ増加と言えます。

「思っていたより本部に支払う金額が多かった」という声は非常に多く聞かれます。契約書に記載されているロイヤリティだけを見て判断すると、開業後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することになります。

パターン③「立地選定を本部任せにした」

三つ目の失敗パターンは、立地選定を本部に任せきりにしてしまうケースです。

多くのFC本部は「商圏調査をして最適な物件を提案します」とサポートを謳っています。しかし、本部推奨物件が必ずしも最適とは限りません。本部の提案は、「本部にとって都合の良い物件(早く契約させたい、本部の不動産部門が紹介料を得られる)」である可能性もあります。

実際の失敗例として、「本部が『この立地なら月商400万円は堅い』と言ったので契約したが、実際には近隣に競合カレー店が3店舗もあり、月商200万円しか達成できなかった」というケースがあります。競合調査不足が原因です。本部の商圏調査では、同じFCチェーンの競合は調べても、他チェーンや個人経営のカレー店までは詳しく調査しないこともあります。

家賃10%ルールを超えた契約も失敗の原因です。飲食店経営では「家賃は売上の10%以内」が健全経営の目安とされています。しかし、「立地が良いから」と月40万円の物件を契約し、月商300万円しか達成できなければ、家賃比率は13.3%となり、利益を大きく圧迫します。本部が提案する物件が必ずしも家賃10%ルールを満たしているとは限らないため、自分で計算して判断する必要があります。

パターン④「人件費のコントロールに失敗」

四つ目の失敗パターンは、人件費のコントロールに失敗するケースです。

「カレーは簡単に作れるから人手は少なくて済む」と思われがちですが、実際にはカレー店は意外と人手が必要です。ランチタイムのピーク時(11時半-13時半)には、一度に10-20食の注文が入ることもあり、キッチン2名、ホール1-2名の体制が必要です。さらに、夜のディナータイム(18時-21時)にも同様の人員配置が求められます。結果として、1日あたり5-7名の人員が必要になり、人件費は想定以上に膨らみます。

オーナー不在経営の限界も見逃せません。本業を持ちながら副業としてカレーFCを経営しようとする方もいますが、オーナーが不在の場合は店長を雇う必要があり、店長人件費40-50万円が発生します。これは売上の15-20%を占める大きな固定費です。店長を雇わずにアルバイトだけで回そうとすると、責任者不在でトラブルが発生しやすく、結局オーナーが頻繁に呼び出される事態になります。

アルバイト確保難による人件費高騰も深刻です。特に地方では、飲食店のアルバイト確保が年々難しくなっており、時給を1,000円から1,200円、1,300円と引き上げざるを得ないケースが増えています。時給を200円上げると、1日6時間×月25日で月3万円、年間36万円のコスト増になります。

パターン⑤「撤退条件を確認せず契約」

五つ目の失敗パターンは、撤退条件を確認せずに契約してしまうケースです。

「失敗したらやめればいい」と軽く考えていると、撤退時に多額のコストが発生して二重の痛手を負います。契約期間中の中途解約違約金は、300-500万円に達することもあります。「契約期間5年のうち3年目で撤退したい」という場合、残り2年分のロイヤリティ相当額を違約金として請求されるケースがあります。

競業避止義務も注意が必要です。多くのFC契約には「契約終了後2年間、半径5km以内で飲食店を開業してはならない」といった条項が含まれています。これは、カレー店を撤退した後、同じ地域でラーメン店や居酒屋を開業することすら禁止される可能性があることを意味します。飲食業での独立を考えている方にとっては、大きな制約となります。

原状回復費用の負担も見落とされがちです。店舗を返却する際、内装を元の状態に戻す必要があり、解体費用が100-300万円かかることもあります。特に、厨房設備の撤去は高額になりやすく、「開業時に1,500万円かけた内装を、撤退時に300万円かけて解体する」という理不尽な状況が発生します。

それでもカレーFCを選ぶなら押さえるべき5つのチェックポイント

ここまでカレーフランチャイズの厳しい現実をお伝えしてきましたが、「それでもカレーFCに挑戦したい」という方もいるでしょう。そのような方のために、成功確率を少しでも高めるための5つのチェックポイントをご紹介します。これらを全て実践することで、リスクを最小限に抑えることができます。

チェック①原価率とロイヤリティの「実質負担」を計算する

最初のチェックポイントは、本部の説明を鵜呑みにせず、自分でエクセルで計算することです。

本部が提示する収支モデルは、往々にして「最良のケース」を想定しています。原価率は低めに、売上は高めに設定されていることが多く、そのまま信じると開業後に「こんなはずじゃなかった」となります。

自分で損益計算シートを作成し、以下の項目を「最悪のケース」で見積もってください:

  • 原価率:本部説明+5%(本部が35%と言っていたら40%で計算)
  • 人件費:売上の30-32%(店長給与、アルバイト時給1,200円で計算)
  • 家賃:売上の10-12%(家賃交渉余地がない前提)
  • ロイヤリティ:契約書記載の金額+隠れたコスト(広告分担金、システム利用料など)
  • 売上:本部予測の70%(本部が月商400万円と言っていたら280万円で計算)

この「最悪のケース」でも黒字になるかを確認してください。もし赤字になるようなら、その計画は再考が必要です。

チェック②既存オーナーへの直接ヒアリング

二つ目のチェックポイントは、既存オーナーへの直接ヒアリングです。

本部が紹介する「成功オーナー」だけでなく、厳しい状況にある店舗も必ず訪問してください。本部は当然、うまくいっている店舗を優先的に紹介しますが、そこだけを見ても実態は分かりません。

既存オーナーに質問すべき5つの項目リストは以下の通りです:

  1. 月商と手残りのリアル:「実際の月商はいくらで、オーナー収入はいくら残りますか?」
  2. ロイヤリティ以外の本部への支払い:「ロイヤリティ以外に本部に支払っている金額は月いくらですか?」
  3. 本部のサポート実態:「本部のサポートは実際に役立っていますか?形だけではありませんか?」
  4. 後悔していること:「もし契約前に戻れるなら、何を確認しますか?」
  5. 同じ条件なら再度契約するか:「今の条件で、もう一度同じFCと契約しますか?」

特に最後の質問「同じ条件なら再度契約するか」は非常に重要です。もしオーナーが「いや、しない」と答えたら、それは赤信号です。その理由を詳しく聞いてください。

チェック③立地の独自調査は必須

三つ目のチェックポイントは、立地の独自調査です。

本部の商圏調査を過信せず、自分の足で調査してください。具体的には以下を実施します:

  • 平日・休日、昼・夜の通行量カウント:平日ランチタイム、平日夜、休日昼、休日夜の4パターンで、それぞれ1時間あたりの通行量を数えます。カレー店のターゲットは「会社員・学生のランチ需要」なので、平日昼の通行量が最重要です。
  • 競合の価格帯調査:半径500m以内のランチ店(カレーだけでなく、定食屋、ラーメン店、ファストフード全て)を調査し、価格帯を確認します。あなたのカレーが800-1,000円なのに、近隣の定食屋が500-700円だと競合に苦戦します。
  • 実際に周辺店舗で食事をする:競合店で実際に食事をして、混雑状況、客層、回転率、サービスレベルを肌で感じてください。

「カレーの需要がある立地」の3条件は以下の通りです:

  1. 平日昼の人口密度が高い(オフィス街、大学近く、駅前)
  2. 競合が少ない(半径500m以内にカレー店が1店舗以下)
  3. 視認性が高い(路面店で、通りから看板が見える)

チェック④契約書の「撤退条項」を弁護士と確認

四つ目のチェックポイントは、契約書の撤退条項を弁護士と確認することです。

FC契約書は専門用語が多く、法律知識がないと理解しにくい内容が含まれています。特に以下の項目は必ず弁護士にチェックしてもらってください:

  • 中途解約時の違約金条件:「いくらで、どういう計算式で請求されるか」を明確に理解する
  • 競業避止義務の範囲:「期間(何年間)」「地域(半径何km)」「業種(飲食業全般か、カレー店のみか)」を確認
  • 契約更新時の条件変更可能性:「5年契約更新時に、ロイヤリティが変更される可能性はあるか」を確認
  • 本部の契約解除権:「どんな場合に本部から契約解除されるか」を確認

弁護士チェック費用は5-10万円かかりますが、これは必要経費です。この費用をケチって不利な契約を結ぶと、撤退時に数百万円の損失を被る可能性があります。

チェック⑤自己資金比率70%以上を目安に

五つ目のチェックポイントは、自己資金比率70%以上を目安にすることです。

カレーFC開業には1,500-2,500万円の初期投資が必要です。この全額を借入で賄うと、返済負担で経営が圧迫されます。例えば、2,000万円を借入(金利2%、返済期間7年)すると、月々の返済額は約25万円になります。これは営業利益の大部分を占め、手残りがほとんどなくなります。

理想的には、自己資金比率70%(1,500万円必要なら1,050万円は自己資金)を確保してください。借入を450万円に抑えれば、月々の返済は約5.5万円となり、経営を圧迫しません。

また、運転資金として最低3ヶ月分(200-300万円)を手元に残すことも重要です。開業後3ヶ月は売上が安定せず、赤字になることも珍しくありません。この間を乗り切るための資金がないと、開業早々に資金ショートして撤退を余儀なくされます。

「開業資金ギリギリ」での参入は高リスクです。余裕を持った資金計画を立ててください。

カレーFC以外の選択肢【原価率・ロイヤリティで有利な業態】

ここまで読んで「カレーフランチャイズは厳しいな」と感じた方もいるでしょう。そのような方のために、原価率・ロイヤリティの観点で比較優位な業態をご紹介します。カレーFCに固執せず、より収益性の高い選択肢を検討することも重要です。

原価率20%台の業態比較

原価率の観点で見ると、カレーより有利な業態は複数存在します。

業態 原価率 ロイヤリティ相場 初期投資
たこ焼き・お好み焼き 25-30% 月3-8万円 800-1,500万円
ラーメン 28-32% 売上の3-5% 1,200-2,000万円
唐揚げ専門店 25-30% 月5-10万円 500-1,000万円
カレー 35-45% 売上の3-6% 1,500-2,500万円

たこ焼き・お好み焼きは、原価率25-30%と低めです。主原料が小麦粉、キャベツ、卵、タコなどシンプルで、原価を抑えやすい構造になっています。初期投資も800-1,500万円とカレーより少なく、参入ハードルが低いです。

ラーメンは、原価率28-32%とカレーより低めです。特に、スープを自家製で作る場合は原価を抑えやすくなります。ただし、ラーメンは調理技術が必要で、修行期間が長い(1-2年)ことがネックです。

唐揚げ専門店は、原価率25-30%で、初期投資も500-1,000万円と最も少なく済みます。テイクアウト・デリバリー中心なら店舗面積も小さくて済み、家賃を抑えられます。ただし、競合が多く、差別化が難しい業態でもあります。

これらの業態は、初期投資額とのバランスも考慮する必要があります。原価率が低くても初期投資が高ければ、投資回収に時間がかかります。逆に、初期投資が少なければ、リスクを抑えてスタートできます。

ロイヤリティゼロ〜低額の選択肢

ロイヤリティの観点で見ると、以下のような選択肢もあります。

のれん分け制度は、ロイヤリティなしで、食材仕入れのみ本部から行う仕組みです。一定期間(2-3年)その店で働いた後、独立支援として店舗を持たせてもらう制度で、ロイヤリティが発生しない代わりに、食材仕入れ義務があります。ただし、のれん分けを実施しているチェーンは限られており、誰でも利用できるわけではありません。

定額1-3万円の低ロイヤリティFCも存在します。中小チェーンの中には、ロイヤリティを月1-3万円に抑え、その代わりサポートを最小限にしているところもあります。「本部のサポートは期待せず、自分で経営できる」という自信がある方には向いています。

個人店としての独立開業も選択肢です。FCに頼らず、自分でレシピを開発し、仕入れ先を開拓すれば、ロイヤリティはゼロです。ただし、ブランド力がないため集客に苦労する、仕入れ価格がFC本部より高くなる、経営ノウハウを自分で習得する必要があるなどのデメリットもあります。

カレーの強みを活かせる代替業態

「カレーが好き」「カレー店をやりたい」という気持ちがある方には、以下のような代替業態もあります。

カレーをサイドメニューに持つFCとして、ラーメン+カレー、定食屋+カレーなどの業態があります。メインはラーメンや定食で、カレーはサイドメニューとして提供する形です。こうすることで、カレー単品店より原価率を抑えつつ、カレーを提供する楽しみも得られます。

デリバリー・テイクアウト特化型も検討価値があります。店内飲食スペースを持たず、厨房のみでデリバリーとテイクアウトに特化することで、家賃を大幅に圧縮できます。10坪程度の厨房だけなら家賃10-15万円で済み、売上の5%以内に抑えられます。

キッチンカーは、初期投資・固定費を大幅削減できる選択肢です。キッチンカー購入費用は300-500万円で、店舗を構えるより大幅に安く済みます。家賃もゼロで、出店場所を柔軟に変えられるメリットがあります。ただし、天候に左右される、営業場所の確保が必要、調理スペースが狭いなどのデメリットもあります。

よくある質問(FAQ)【カレーFCの収益性Q&A】

ここまでの内容で、カレーフランチャイズの収益構造についてかなり理解が深まったと思います。最後に、読者の方から実際によく寄せられる質問にお答えします。

Q1. 原価率が高くても客単価が高ければ問題ないのでは?

確かに、客単価が高ければ1食あたりの粗利は増えます。しかし、客単価だけでは判断できません

例えば、客単価1,000円で原価率40%なら、1食の粗利は600円です。ここからロイヤリティ(売上の5%=50円)と人件費(1食あたり約300円)を引くと、粗利は250円になります。ランチタイムに100食提供しても、粗利は2.5万円/日です。月25日営業で62.5万円の粗利にしかなりません。ここから家賃、光熱費、その他経費を引けば、ほとんど利益は残りません。

重要なのは、客単価だけでなく「回転率」「稼働日数」「客数」の全てです。客単価1,000円でも、1日50食しか出ないなら売上は5万円/日=月150万円にしかならず、これでは赤字です。

Q2. ロイヤリティは交渉で下げられる?

結論から言うと、新規契約時の交渉余地はほぼゼロです。

FC本部は契約条件を標準化しており、「この人だけ特別にロイ

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