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おウチdeお肉が「達人の一品」へ移行、ロイヤリティ0円フランチャイズの実態とは

おウチdeお肉が「達人の一品」へ移行、ロイヤリティ0円フランチャイズの実態とは

無人販売所という業態は、コロナ禍以降の非接触ニーズや省人化の流れに乗って急速に広がりました。しかし冷凍食品を中心とした無人販売FCの中には、競合過多や価格競争によって撤退を余儀なくされる店舗も少なくありません。今回ご紹介する「おウチdeお肉」も、まさにそうした岐路に立たされたブランドのひとつです。そんな中、加盟金・ロイヤリティともに無料という異色のモデル「達人の一品」への転換が進んでいると聞き、現役オーナーの飲み会に潜入取材を敢行しました。本記事では、その転換の背景と仕組み、そして独立開業を検討する方が知っておくべきポイントを解説していきます。

おウチdeお肉から「達人の一品」へ―ブランド転換の背景

取材のきっかけは、おウチdeお肉のオーナーたちが集まる懇親会でした。会場に向かう道中、まず目に入ったのは看板がすでに「達人の一品」へと変わっている店舗です。かつてのおウチdeお肉の面影を壁紙などに残しつつも、店構えは新ブランドへと着実に切り替わりつつある様子がうかがえました。

看板が達人の一品に変わった店舗外観
おウチdeお肉から達人の一品へ切り替わった店舗の看板

商品ラインナップにも変化が見られます。取材時にはカット済みロールケーキなど、これまで見たことのない商品が並んでいました。価格も「小分け50個で3500円」といった思い切った設定がされており、無人販売所特有の「ボランティア的フランチャイズ」という独自路線がすでに商品構成にも表れている印象を受けました。

刷新された商品ラインナップの様子
カット済みロールケーキなど新しい商品も並ぶ店内

達人の一品とは何か―加盟金・ロイヤリティ無料のフランチャイズモデル

そもそも「達人の一品」とは、特定のオーナーが本部として君臨する一般的なフランチャイズとは性質が異なります。中心人物である井口氏がデザインした店名・コンセプトのもと、無人販売所の常識を覆すべく、安価なOEM商品やオリジナルシャンプー、ひのきの一枚板といった、これまでの冷凍食品中心の無人販売所にはなかった商品を並べていく取り組みです。

達人の一品がオーナー制ではないことを説明する場面
達人の一品は特定オーナー制ではなく井口氏主導のブランドだと語られた

驚くべきは、この達人の一品には加盟金もロイヤリティも一切発生しないという点です。通常のフランチャイズであれば、本部への加盟金や毎月のロイヤリティが収益を圧迫する要因になりがちですが、達人の一品はその概念自体を撤廃しています。ただし裏を返せば「本部のせいにできない」仕組みでもあり、すべての結果が自分自身の実力にかかってくるという厳しさも併せ持っています。

加盟金もロイヤリティも何もないと語る場面
「加盟金もロイヤリティも何もない」という核心的な発言

無人販売所オーナーの値下げ戦略で赤字から黒字化した実例

懇親会では、あるオーナーが自身の店舗の経営改善について具体的な数字を交えて報告していました。開業から1年以上が経過し、月商が20万円を切るところまで落ち込んでいた店舗が、価格戦略の見直しによって50万円近くまで回復したというのです。実に2.5倍以上の売上改善であり、参加者からも驚きの声が上がっていました。

月商20万円台から50万円へ回復した経緯を語る場面
月商が20万円台から約50万円まで回復した具体的な報告

その要因は、周辺のスーパーよりも明確に安い価格ラインを設定し、毎日のように商品を入れ替えながら50円単位で価格を調整し続けたことにあります。ただし、このオーナー自身も「冷凍食品だけで新規参入者が勝負するのは難しい」と冷静に分析しており、今後はプライベートブランド商品をいかに開発していけるかが生き残りの鍵になると強調していました。

冷凍食品の価格戦略とPB商品の必要性を語る場面
冷凍食品での価格競争の限界とプライベート商品開発の重要性

プライベート商品開発の裏側―ドレッシング・シャンプー・ひのき一枚板

達人の一品の大きな特徴は、冷凍食品にとどまらないオリジナル商品の展開です。取材中に紹介された「女性フール」というオリジナルドレッシングは、既存メーカーに卸売りを断られたことをきっかけに、自社で開発に踏み切ったという経緯を持つ商品でした。ほかにも日焼け止めや虫除け成分を配合したオールインワンのハンドクリームなど、オーナーからのアイデアを本部の開発チームが形にする体制が整いつつあるとのことです。

オリジナルドレッシング女性フールの紹介シーン
メーカーとの取引が叶わず自社開発に至ったオリジナルドレッシング

さらに象徴的なのが、ひのきの一枚板という「飛び道具」的商品です。樹齢250年を超える貴重な天然木を活用し、仕入れ値がほぼ原価という条件で提供することで、他の商品の利益を支える役割を担っています。シャンプーの詰め替えなどは赤字覚悟の価格設定になっている一方、月の売掛金だけで1000万円以上を本部側が一時的に立て替えているという発言もあり、本部側の相当な負担のもとにこの支援体制が成り立っていることがうかがえました。

ひのき一枚板の利益構造を説明する場面
ひのき一枚板という飛び道具的商品の仕入れ構造
月の売掛1000万円を本部が肩代わりしていると語る場面
本部が月商1000万円規模の売掛を一時的に負担しているという発言

加盟条件と現状の店舗数―公募はしないフランチャイズの理由

気になる加盟店舗数ですが、取材時点でおウチdeお肉から達人の一品への切り替えを決めたオーナーは46店舗にのぼるとのことでした。全体のおよそ3分の1がすでに移行を決めている計算になり、ボランティア型という特殊な仕組みながら一定の支持を集めていることがわかります。

現状46店舗が移行済みと語られる場面
現時点で46店舗がすでに達人の一品へ移行済みという報告

一方で、達人の一品は現状、公募を行う予定がないとも明言されています。加盟対象はあくまで元おウチdeお肉のオーナーに限られ、しかも「本部は何もしない」ことに納得できる自己責任型の考え方に共感できる人でなければ長続きしないだろう、という厳しい前提が語られました。看板や内装についても特に指定はなく、極端に言えば店名を変えなくても構わないという、非常に緩やかでありながらシビアな加盟条件になっています。

自己責任と本部は何もしないという条件を語る場面
「自己責任」「本部は何もしない」という加盟の前提条件

発注代行など今後の有料サポート構想と「ボランティア型FC」の将来性

完全無料の支援体制がいつまでも続くわけではなく、将来的には一部有料サービスの導入も検討されているようです。具体的には、LINEで発注内容を伝えるだけで各業者への発注作業を代行してもらえる仕組みを、月額1万円程度で提供する構想が語られました。まとまったロイヤリティを一括で徴収するのではなく、発注代行なら1万円、別の作業なら5000円というように、必要なサービスごとに細かく料金を分けて設定する方針のようです。

LINE発注代行を月額1万円で構想する場面
LINEでの発注代行を月額1万円程度で行う構想が語られた

ただし、これらの有料サービスもあくまで将来的な話であり、当面は既存46店舗がしっかりと黒字化し、毎月のストレスなく経営できる状態を作ることが最優先だと繰り返し強調されていました。「儲かる」ことよりも「損をしなくなる」ことを目指す姿勢は、無人販売所という業態が抱えてきた過度な期待値を是正しようとする試みとも言えるでしょう。

まずは既存店舗の黒字化が最優先と語る場面
「まずは今の46店舗が黒字になることが最優先」という今後の方針

まとめ―ボランティア型FCという新しい選択肢

今回の潜入取材からは、無人販売所というビジネスモデルが抱える構造的な課題と、それに対する現場発の解決策の一端が見えてきました。加盟金・ロイヤリティを完全に無料にすることで参入障壁を下げつつ、その分すべての結果を自己責任とすることで、安易な参入を防ぐという設計は、従来のフランチャイズの常識とは一線を画すものです。

独立開業を検討する方にとって、達人の一品のような「支援はあるが甘くはない」モデルは、ロイヤリティ負担のない魅力的な選択肢に映るかもしれません。ただし現状は公募を行っておらず、既存のおウチdeお肉オーナーに限定された取り組みである点には注意が必要です。フランチャイズ選びの際は、目先のロイヤリティの有無だけでなく、本部がどこまで手厚く支援してくれるのか、逆にどこまで自己責任が求められるのかを、事前にしっかり見極めることが成功への第一歩と言えるでしょう。